大学の宝をビジネスに!中小企業こそ挑戦したい「産学連携」完全ガイド

はじめに:あなたの会社に眠る、新たな成長エンジン
株式会社IPリッチのライセンス担当です。激化する市場競争の中で、研究開発に多くのリソースを割くことが難しいと感じている中小企業の経営者様も多いのではないでしょうか。実は、最先端の技術や革新的なアイデアの源泉は、大学にも眠っています。この記事では、大学の研究成果という「宝」をビジネスに繋げる「産学連携」について、初心者の方にも分かりやすく、そのメリットから具体的な始め方、成功のポイントまでを網羅的に解説します。
多くの中小企業にとって、大学は「象牙の塔」であり、連携は大企業だけに限られた話だというイメージが根強くあります。しかし、その認識はもはや過去のものです。現在、産学連携は中小企業が自社の競争力を飛躍的に高めるための、驚くほど身近で強力な戦略ツールとなっています。この記事を通じて、その固定観念を覆し、貴社の持続的な成長とイノベーションを加速させるための、実践的なロードマップをご提供します。
そもそも産学連携とは?基本の「き」を解説
産学連携という言葉を耳にしたことはあっても、その具体的な意味や形態については詳しく知らないという方も少なくないでしょう。ここでは、その基本的な概念と目的を解き明かしていきます。
産学連携・産学官連携の定義
「産学連携(さんがくれんけい)」とは、その名の通り、「産(産業界=民間企業)」と「学(大学や高等専門学校などの教育・研究機関)」が協力し合う関係性を指します 。主な目的は、大学が持つ基礎研究の成果や専門的な知見を、企業の製品開発や新サービスの創出といった実用化に結びつけることです。
これに「官(国や地方公共団体)」が加わった形が「産学官連携(さんがくかんれんけい)」です 。政府や自治体が、補助金制度の設立、連携を仲介する機関の設置、政策的な後押しなどを通じて、企業と大学の協力を円滑に進める役割を担います 。
この「官」の存在は、単なる言葉の違い以上の重要な意味を持ちます。国が産学官連携を推進しているという事実は、それが個々の企業の利益追求だけでなく、新たなイノベーションの創出や地域経済の活性化といった、国全体の戦略的目標に合致する活動であることを示しています 。リソースが限られている中小企業にとって、この公的な支援体制は、連携に踏み出す際の大きな安心材料となり、資金調達や情報収集の面で強力な追い風となります。
産学連携の主な形態
産学連携には、企業のニーズや目的、大学との関与の深さに応じて、いくつかの代表的な形態があります。
- 共同研究: 企業と大学が、共通の研究開発テーマについて対等な立場で協力し、それぞれの研究者や設備、資金などを出し合って研究を進める形態です 。双方の知見を融合させることで、単独では達成困難な革新的な成果を目指します。
- 受託研究: 企業が抱える特定の研究開発課題について、その解決を大学に委託する形態です 。企業は研究費用を負担し、大学は研究成果を企業に報告します。特定の技術的課題をスピーディーに解決したい場合に有効です。
- 技術指導: 企業の技術的な課題や問題点に対し、大学の研究者が専門的な知見に基づいて助言や指導を行う形態です 。比較的短期間かつ低コストで専門家のアドバイスを得られるため、連携の第一歩として活用しやすい手法です。
- 大学発ベンチャーとの連携: 大学の研究成果を事業化するために設立されたスタートアップ企業と協力する形態です 。最先端技術のライセンスを受けたり、共同で事業開発を行ったりすることで、スピーディーに市場へ参入することを目指します。
これらの形態は一つに限定されるものではなく、初期段階では技術指導から始め、信頼関係が構築された後で共同研究へと発展させるなど、段階的に連携を深めていくことも可能です。
中小企業が大学と組むべき5つのメリット
産学連携は、単に新しい技術を手に入れるだけの取引ではありません。それは、中小企業の経営基盤そのものを強化し、持続的な成長を可能にする変革の機会をもたらします。ここでは、中小企業が享受できる5つの具体的なメリットを掘り下げて解説します。
1. 最先端の技術と専門知識が手に入る
最大のメリットは、自社だけでは到底獲得できない高度な専門知識や最先端技術にアクセスできる点です 。特定の分野で長年研究を続けてきた専門家(教授や研究者)を、いわば「世界トップクラスの研究開発部門」としてパートナーに迎えることができます。これにより、製品の高付加価値化、開発期間の短縮、そしてこれまで参入できなかった新しい市場への挑戦が可能になります。
2. 高価な研究設備を低コストで利用できる
新製品開発には、数千万円、場合によっては億単位の投資が必要となる高度な分析機器や実験設備が不可欠なことがあります 。これらをすべて自社で揃えるのは、多くの中小企業にとって現実的ではありません。産学連携を活用すれば、大学が保有する最新鋭の設備を、比較的低コストで利用することが可能になります。これは、研究開発に伴う初期投資のリスクを大幅に軽減する上で、極めて大きな利点です。
3. 公的支援の獲得と企業信用の向上
大学との連携プロジェクトは、その社会的意義や技術的な革新性が高く評価される傾向にあります。そのため、国や自治体が提供する研究開発関連の補助金や助成金の採択率が格段に向上します 。公的な資金援助は、企業の自己負担を軽減するだけでなく、「国が認めたプロジェクト」として企業の社会的信用度を高める効果もあります。この信用は、金融機関からの融資や新たな取引先の開拓においても有利に働くでしょう。
4. 新たなビジネスネットワークが広がる
大学は、多様な分野の研究者や他の企業との広範なネットワークを持っています。連携を通じて教授やコーディネーターと良好な関係を築くことで、自社の技術課題に関連する別の専門家や、製品の潜在的な顧客となる可能性のある企業を紹介してもらえることがあります 。一つの連携が、予期せぬビジネスチャンスや新たな協業関係へと繋がる、強力なネットワーキング効果が期待できます。
5. 人材育成と採用の絶好の機会
共同研究などに学生が参加する場合、それは未来の技術者を育成し、見極める絶好の機会となります 。学生は実践的な課題に取り組むことで成長し、企業は自社の業務や文化に触れた優秀な人材を早期に発見できます。これは、採用難に悩む中小企業にとって、単なる短期的な開発プロジェクトを超えた、長期的な人材確保戦略の一環となり得ます。
これらのメリットは個別に存在するのではなく、相互に関連し合って好循環を生み出します。例えば、最先端技術(メリット1)を活用して開発した製品が補助金(メリット3)を獲得し、その実績が新たなネットワーク(メリット4)を呼び込み、プロジェクトに参加した学生が将来の社員(メリット5)となる。産学連携は、このような企業の成長を加速させるエコシステムを構築するための、戦略的な一手なのです。
産学連携のはじめ方:3つの実践ステップ
産学連携に多くのメリットがあることは理解できても、「具体的に何から始めればいいのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。ここでは、初心者でも迷わずに進められるよう、プロセスを3つのシンプルなステップに分けて解説します。
ステップ1:自社の課題を明確にする
意外に思われるかもしれませんが、最も重要なステップは大学を探すことではなく、自社を深く見つめ直すことです。産学連携の成否は、この最初のステップで8割が決まると言っても過言ではありません。「何か良い技術はないか」といった漠然とした期待で大学の門を叩いても、実りある成果には繋がりません 。
まずは、以下の点を具体的に言語化しましょう。
- 解決したい経営課題は何か?: 「新製品で売上を20%向上させたい」「製造コストを15%削減したい」「競合にはない独自技術で差別化したい」など、具体的な目標を設定します。
- 自社の強みと弱みは何か?: 自社が持つ技術やノウハウ、市場での立ち位置を客観的に分析し、何が足りないのか(技術、人材、設備など)を明確にします。
- 投資できるリソースはどれくらいか?: 連携にかけられる予算と、プロジェクトを担当する人員、そして許容できる開発期間を現実的に見積もります。
課題が明確であればあるほど、大学側も協力の可否を判断しやすく、最適な研究者や技術を提案しやすくなります。この「自社の課題の明確化」こそが、羅針盤のない航海に出るのを防ぎ、連携を成功に導くための第一歩です。
ステップ2:最適なパートナー大学・研究者を探す
自社の課題という羅針盤を手に入れたら、次はいよいよパートナー探しです。やみくもに探すのではなく、効率的な方法を活用しましょう。
- データベースで探す: 科学技術振興機構(JST)が運営する「J-STORE」などのデータベースでは、全国の大学や公的研究機関が生み出した技術シーズ(事業化の可能性がある研究成果)を検索できます 。キーワードで検索し、自社の課題解決に繋がりそうな研究を見つけることができます。
- イベントに参加する: 学会や技術展示会、JSTが主催する「イノベーション・ジャパン-大学見本市」のような産学マッチングイベントに足を運ぶのも有効です 。研究者本人から直接話を聞けるだけでなく、その場で相談できる機会もあります。
- 専門のコーディネーターに相談する: 後述する支援機関には、企業と大学を繋ぐ専門家である「コーディネーター」や「マッチングプランナー」が在籍しています 。自社の課題を伝えれば、最適な大学や研究者を探し出し、紹介してくれます。
ステップ3:大学の「産学連携窓口」に相談する
連携したい大学や研究者の候補が見つかったら、いよいよコンタクトを取ります。ここで絶対に守るべき重要なルールがあります。それは、研究者個人に直接アプローチするのではなく、必ず大学の公式な「産学連携窓口」を通して相談することです 。
多くの大学には、「産学連携推進本部」や「研究協力課」といった専門部署が設置されています 。この窓口は、企業からの相談を一元的に受け付け、学内の適切な研究者へ繋いだり、契約手続きをサポートしたりするために存在します。いきなり研究者に連絡すると、研究者が対応に困惑したり、大学としての正式な手続きが踏めずに話が進まなかったりする可能性があります。
公式窓口に連絡する際は、ステップ1で明確にした自社の課題や相談内容をまとめた資料を準備しておくと、その後のやり取りが非常にスムーズに進みます。
あなたは一人じゃない!中小企業を支える支援体制
産学連携への道のりは、決して孤独なものではありません。中小企業が安心して挑戦できるよう、国や地域には手厚いサポート体制が整備されています。しかし、支援機関が多岐にわたるため、どこに何を相談すれば良いのか分かりにくいのも事実です。ここでは、主要なサポート機関の役割を整理し、それぞれの活用法を解説します。
中小企業のための産学連携サポート機関
| 機関種別 | 主な機能 | こんな時に相談 |
| 大学の産学連携窓口 | 各大学への公式な入口。学内研究者の紹介、契約手続きの管理、プロジェクトの調整役を担う 。 | 特定の大学と連携したい場合や、その大学が持つ技術シーズについて詳しく知りたい時。 |
| JST(科学技術振興機構) | 全国の大学シーズを網羅したデータベースの提供、マッチングプランナーによる仲介、大規模な研究開発プロジェクトへの資金提供など、全国規模での支援を展開 。 | 特定の技術分野で全国から最適なパートナーを探したい時や、大型の補助金を活用したい時。 |
| よろず支援拠点 | 国が各都道府県に設置している無料の経営相談所。産学連携を含む、売上拡大や経営改善など、幅広い相談にワンストップで対応 。 | 「何から始めれば良いか分からない」という段階で、産学連携が自社の戦略にどう役立つか、全体的なアドバイスが欲しい時。 |
| 商工会議所 | 地域に根差した企業の支援機関。地元の大学とのマッチングイベントの開催や、地域内でのネットワーク構築を支援 。 | 地元の大学や企業との連携を考えている時や、地域コミュニティ内での紹介を期待する時。 |
| 国や自治体の補助金制度 | 中小企業庁の「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」など、産学連携を対象とした多様な補助金・助成金を提供 。 | 共同研究や試作品開発にかかる資金的な負担を軽減したい時。 |
この表を見れば分かるように、中小企業が産学連携を進める各段階において、それぞれ専門的なサポートを提供してくれる機関が存在します。例えば、アイデアがまだ漠然としている初期段階では「よろず支援拠点」で壁打ちを行い、具体的な技術ニーズが固まってきたら「JST」のデータベースを活用し、連携候補の大学が決まったらその大学の「産学連携窓口」にコンタクトを取る、といったように、状況に応じて相談先を使い分けることが成功への近道です。これらの支援機関は、いわば産学連携という航海における経験豊富な水先案内人です。積極的に活用し、連携というゴールまで安全かつ効率的にたどり着きましょう。
成功事例に学ぶ!産学連携で飛躍した中小企業
理論や手順だけでなく、実際の成功事例を知ることは、産学連携の可能性をより具体的にイメージする上で非常に有効です。ここでは、分野の異なるいくつかの事例を紹介し、中小企業が大学の知恵をいかにして自社の強みに変えていったかを見ていきましょう。
1. 食品加工:未利用資源から新たな価値を創造(もちもちまぐろ)
和歌山県那智勝浦は生マグロの水揚げ日本一ですが、水揚げ量の7割を占めるビンチョウマグロは比較的安価で取引されることが課題でした。そこで地元の事業者が近畿大学と連携し、独自の脱水処理技術を応用。ビンチョウマグロに「もちもち」とした新たな食感を付与することに成功しました。この「もちもちまぐろ」は、これまでになかった食感が高く評価され、地域の新たな特産品として注目を集めました。メディアにも多数取り上げられ、商品価値の向上と地域活性化に大きく貢献した事例です 。
2. 製造業:異分野への挑戦で高付加価値市場へ(高分子ナノファイバー医療用チューブ)
高級ニット製品のミシンを製造していた圓井繊維機械株式会社は、京都工芸繊維大学との出会いをきっかけに、自社の編物技術を先端医療分野に応用する挑戦を始めました。大学の持つ材料科学の知見と、同社が長年培ってきた独自の製編技術を融合させ、ステンレスとポリエステルを編み込み、さらにポリウレタンナノファイバーを巻き付けた特殊な医療用チューブの開発に成功。これにより、複雑な血管や気管への適用が期待される、高付加価値な医療機器市場への参入を果たしました 。
3. 地域課題解決:IoT技術で鳥獣被害対策(まる三重ホカクン)
農業における鳥獣被害という深刻な地域課題に対し、鳥羽商船高等専門学校(高専も大学と同様に連携の重要なパートナーです)は、携帯電話の通信網を利用した害獣罠の遠隔監視・操作システム「まる三重ホカクン」を開発しました。スマートフォンで罠の映像を確認し、遠隔操作で作動させることができるこのシステムは、見回りの労力を大幅に削減し、捕獲効率を向上させました。地域のニーズに技術で応え、新たなビジネスを創出した好例です 。
これらの事例に共通しているのは、中小企業が自社の現場で直面している具体的な「課題」や「ニーズ」を持ち込み、大学がそれに対する科学的・技術的な「解決策(シーズ)」を提供している点です。成功する産学連携は、大学が一方的に技術を押し付けるのではなく、企業の持つ市場や現場への深い理解と、大学の持つ専門的知見が交差する点で生まれるのです。このことは、連携を始める前の「自社の課題の明確化」がいかに重要であるかを改めて示唆しています。
知っておきたい注意点:産学連携の壁を乗り越える
産学連携は大きな可能性を秘めていますが、成功への道は常に平坦とは限りません。異なる文化を持つ組織同士が協力するため、いくつかの「壁」が存在します。事前にこれらの課題を理解し、対策を講じておくことが、スムーズな連携の鍵となります。
文化とスピード感の違い
企業が市場の動向に迅速に対応し、短期的な利益を追求するのに対し、大学の研究は学術的な真理の探究を目的とし、長期的な視点で行われるのが一般的です。この「時間軸」と「価値観」の違いが、プロジェクトの進行において摩擦を生むことがあります 。企業が求めるスピード感と、大学が重視する研究の厳密さとの間で、認識のズレが生じないよう、プロジェクト開始前にお互いの目標とスケジュール感をすり合わせておくことが不可欠です。
コミュニケーションの壁
研究者は専門用語を多用する傾向があり、企業の担当者にとっては理解が難しい場合があります。逆に、企業の持つ市場の常識やビジネス上の制約が、研究者には伝わりにくいこともあります 。この壁を乗り越えるためには、定期的な進捗報告会を設け、お互いの「当たり前」を丁寧に説明し合う努力が求められます。また、大学の産学連携コーディネーターに間に入ってもらい、双方の意思疎通を円滑にするのも有効な手段です。
知的財産権の複雑さ
共同研究から生まれた発明やノウハウの権利をどう扱うかは、最もトラブルになりやすい問題の一つです。企業は成果を独占して事業化したいと考える一方、大学の研究者は研究成果を論文として公表し、学術界に貢献したいと考えます。この利害の対立は、連携の障害となり得ます 。この問題については、次のセクションで詳しく解説しますが、事前に明確なルールを取り決めておくことが絶対条件です。
資金と人的リソースの課題
産学連携は「無料の相談所」ではありません。共同研究には大学への研究費用の支払いが必要ですし、自社内でもプロジェクトを管理・推進するための担当者を配置する必要があります 。特に、大学とのやり取りや進捗管理には相応の時間と労力がかかります。経営者は、産学連携を単なる外部委託ではなく、自社の重要な「投資」と位置づけ、必要な資金と人的リソースを確保する覚悟が求められます。
これらの課題は、いずれも連携を開始する前の準備段階で、その多くを回避または軽減することが可能です。後述する「共同研究契約書」の締結プロセスは、単なる法的手続きではなく、これらの潜在的な問題を事前に洗い出し、双方の合意形成を図るための重要なコミュニケーションの機会なのです。
成功の要!「知的財産」の取り扱いルール
産学連携の成果は、多くの場合、特許やノウハウといった「知的財産」として結晶化します。この知的財産の取り扱いを事前に明確に定めておくことは、連携を成功させる上で最も重要な要素です。曖昧なまま進めてしまうと、後々深刻なトラブルに発展しかねません。ここでは、IP(知的財産)の専門家の視点から、最低限押さえておくべきポイントを解説します。
すべての基本となる「共同研究契約書」
研究を開始する前に、必ず企業と大学の間で「共同研究契約書」を締結します 。この契約書は、研究の目的や期間、費用負担といった基本事項に加え、知的財産の取り扱いに関するルールを定める、プロジェクトの憲法とも言える重要な文書です。雛形は各大学が用意していますが、内容を十分に理解し、自社の意向を反映させることが肝要です。
契約書で定めるべき主要な知財条項
共同研究契約書の中でも、特に以下の項目については、慎重に協議し、明確に定めておく必要があります。
- 権利の帰属(誰のものになるか?): 共同研究によって生まれた発明の特許を受ける権利は、原則として、その発明への貢献度に応じて企業と大学の「共有」となります 。どちらか一方の単独所有とすることは稀です。学生が発明に関わった場合も、大学の規則に則って貢献度に応じて権利が発生することがあります 。
- 費用の負担(誰が費用を支払うか?): 特許を出願する際の費用(出願料、弁理士費用など)や、権利を維持するための費用(特許料)をどちらが負担するかを定めます。一般的には、その発明を事業で活用する企業側が、これらの費用を全額負担するケースが多く見られます 。
- 実施権(誰がどのように使えるか?): 特許権が共有の場合、企業がその発明を製品化して販売するためには、大学の持分に対する「実施権」を得る必要があります。この際、他の企業には実施させない「独占的実施権」とするのか、他社にも実施を許諾する可能性のある「通常実施権」とするのかを明確にします 。中小企業にとっては、一定期間の独占的実施権を確保することが、事業の成功に不可欠となる場合が多いでしょう。
- 秘密保持(どこまで秘密にするか?): 企業にとっては、開発中の技術情報は重要な営業秘密です。一方で、大学の研究者には研究成果を論文などで公表する責務があります。そのため、契約書で秘密情報の範囲を定義し、どの情報を、いつまで、どのように秘密として扱うかを定めます 。例えば、「特許出願が完了するまでは公表を控える」といった具体的な取り決めを行います。
これらの知的財産に関する交渉は、単なる法律上の手続きではありません。それは、連携の成果(=成功)をどのように分かち合うかを話し合う、未来志向の対話です。この交渉プロセスを通じて、お互いの真の目的や優先順位を理解し合うことができれば、その後の研究開発もスムーズに進むでしょう。逆に、この段階で合意形成が難しいようであれば、その連携自体を見直す必要があるかもしれません。知的財産の交渉は、パートナーシップの健全性を測るリトマス試験紙なのです。
大学の「宝」を、企業の「収益」へ
ここまで、中小企業が産学連携を活用するための具体的なステップと要点を解説してきました。大学に眠る最先端の技術や知識は、まさに「宝」です。そして産学連携は、その宝を発掘し、自社のビジネスという形で輝かせるための、極めて有効な手段です。文化の違いや知的財産の取り扱いといった乗り越えるべき壁は確かに存在しますが、事前の入念な準備と、JSTやよろず支援拠点といった豊富なサポート体制をうまく活用することで、それらのリスクは十分に管理可能です。
産学連携の最終的なゴールは、単に良い製品を作ることだけではありません。それは、共同研究を通じて生み出された特許やノウハウといった「知的財産」を、企業の持続的な収益源へと転換させる「知財の収益化」にあります。取得した特許は、自社製品を競合から守る「盾」となるだけでなく、他社にライセンス供与することでロイヤリティ収入を生む「矛」にもなり得ます。このように、知的財産を戦略的に活用することで、一つの製品のライフサイクルを超えた、長期的かつ安定的な事業基盤を構築することが可能になるのです。産学連携は、未来の収益を生み出す価値ある知的財産ポートフォリオを築くための、戦略的投資と言えるでしょう。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
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- 第2部 第1章 第6節 新たな付加価値を創出する中小企業, https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b2_1_6.html
- 中小企業の産学連携はメリット多数!成功のポイントや事例を解説, https://www.marusans.com/?p=13248
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- 共同研究・受託研究等, https://www.innovation.hirosaki-u.ac.jp/05assets/documents
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- 共同研究契約書(ひな型), https://www.saci.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2007/10/sanga04.doc
- 発明・特許に関する手続き, https://airimaq.kyushu-u.ac.jp/patent/patent-forms-list/
- 知的財産に関するQ&A, https://www.ipc.nagasaki-u.ac.jp/06_q_a.html
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