三菱UFJ銀行のスタートアップ支援と知財の収益化の可能性

株式会社IPリッチのライセンス担当です。近年、政府による「スタートアップ育成5か年計画」の開始もあり、スタートアップ支援の機運が高まっています。本記事では、三菱UFJ銀行が関西地域で展開しているスタートアップ支援の具体策をご紹介し、それらの取り組みと知的財産の収益化(特許の活用)の関わりについて、IPリッチの視点を交えて解説します。

目次

関西地域におけるスタートアップ支援の背景と三菱UFJ銀行の役割

三菱UFJ銀行は関西エリアでスタートアップ・エコシステムの構築に深く関与しています。2020年8月には大阪府・大阪市・堺市・大阪産業局とスタートアップ拠点都市形成の連携協定を締結し、関西を「グローバル拠点都市」としてスタートアップ支援を強化する体制を整えました。その一環として、2021年2月に大阪市に会員制イノベーション拠点「MUIC Kansai」(ミューイック関西)を開設しています。MUIC Kansaiは観光産業が抱える課題解決やスタートアップ支援を目的に活動を開始し、既に10件以上の事業が実証実験段階に進んでいます。従来型の起業支援施設が単なる交流の場に留まりがちだったのに対し、MUIC Kansaiは社会課題の発掘からソリューションのPoC(実証実験)、社会実装までを一貫して行うプラットフォームです。大企業や自治体など会員組織とスタートアップを越境連携させ、単なるマッチングにとどまらない共創によって新規事業創出に取り組む点が大きな特徴となっています。こうした包括的支援を通じて、関西経済の活性化と2025年大阪・関西万博の成功に貢献することもMUIC Kansaiの重要なミッションです。

三菱UFJ銀行はグループ全体でスタートアップへの資金供給と事業支援にも積極的です。ベンチャーキャピタルである三菱UFJキャピタルによる出資、銀行による融資、信託銀行の証券代行や株式管理プラットフォーム提供、証券会社によるIPO支援など、各専門分野のサービスを総動員して成長段階に応じたサポートを行っています。その結果、国内外スタートアップ向けの投融資枠は約9,000億円規模に拡大しており、グループが支援するスタートアップの時価総額合計を2026年度に20兆円まで高める目標も掲げています。このような取組みが評価され、経団連の「スタートアップフレンドリー スコアリング2023」では、回答企業約150社中で金融グループとして最高位に選出され、特に「資金の提供」分野で最高評価のAランクを獲得しました。つまり、関西に限らず全国・グローバルな視点でスタートアップ支援に注力する中で、関西地域はMUIC Kansaiを中心とした取り組みの先進事例となっているのです。

資金提供と投資によるスタートアップ支援(ベンチャー投資・SAFE型投資など)

スタートアップにとって資金供給は成長の生命線です。三菱UFJ銀行グループでは、ベンチャーキャピタルの直接投資や提携ファンドを通じたエクイティ資金提供を積極化しています。例えば、三菱UFJキャピタルは多彩な分野のスタートアップに出資し、これまで多数のIPO実績を上げてきました。また2023年にはMUFGグループ戦略会社であるMUFGイノベーション・パートナーズ(MUIP)が総額200億円規模の新ファンドを組成するなど、投資枠を拡充しています(参考:MUIPプレスリリース)。さらに銀行本体も成長性の高いベンチャー企業に対する融資や、新しい融資手法の開発に取り組んでいます。

特筆すべき新たな資金提供スキームとして、SAFE型投資があります。SAFE(Simple Agreement for Future Equity)とは将来の株式取得権契約による資金調達手法で、海外スタートアップ投資で広く使われるものです。三菱UFJ銀行などが設立した関西イノベーションセンター(MUIC Kansaiの運営団体)は2025年4月、日本で初めてこの「SAFE型新株予約権出資」を実行しました。第1号案件として、インバウンド富裕層向けの観光コンテンツ開発スタートアップである株式会社OUGI(本社:東京)に対し、SAFE型新株予約権を用いて出資を行っています。SAFEによりシード・アーリー期の企業に簡易かつ迅速な資金供給が可能となり、実証実験(PoC)の費用を投資して成果創出を後押しする狙いがあります。MUIC Kansaiでは「経済的リターンの追求よりも本来の支援機能を重視する」という方針のもと、日本の法制度に合わせて独自にSAFE契約をアレンジして導入しました。このようなSAFE型投資の活用により、これまで銀行が直接出資できなかった超早期のスタートアップにも資金提供が可能となり、将来のEXIT時(IPOやM&A時)に応じたリターンを得る形で伴走支援するモデルが生まれています。新しい資金スキームへの挑戦は、関西発のスタートアップ支援策の先端例と言えるでしょう。

イノベーション拠点「MUIC Kansai」による伴走支援と事業共創

前述のMUIC Kansaiは、単なる資金支援に留まらないハンズオン支援を特徴としています。MUIC Kansaiではテーマを観光・インバウンドに絞り、会員企業(関西の大手企業や自治体等)とスタートアップが協働して課題解決型のプロジェクトを推進しています。具体的には、課題ヒアリングを通じて有望なテーマを選定し、スタートアップと大企業のチームを組成してPoCを実施、その成果を事業化・社会実装まで結びつけるプロセスを取ります。例えば、コロナ禍に着想を得たリモート観光サービスの実証では、高齢者向けオンライン観光事業へのピボット(方向転換)を経て事業化するなど、社会状況の変化に応じた柔軟な事業創出も行われました。こうしたプロジェクト型支援はすでに累計40件以上検討され、そのうち10件超が実証段階を経て事業リリースに至っています。

MUIC Kansaiは物理的なコワーキングスペース・イベントスペース(大阪・淀屋橋)を備えており、スタートアップにとってネットワーキングや相談ができる場でもあります。会員制のため利用には加入条件がありますが、スタートアップ企業も会員として参画可能です。特に観光・地域課題に関するビジネスアイデアを持つスタートアップにとって、MUIC Kansaiのプログラムに参加し、大企業との協業機会を得られるメリットは大きいでしょう。

また、MUIC Kansaiを舞台にしたアクセラレーションプログラムの展開も行われています。代表例が2021年に始動した「MUFG ICJ ESGアクセラレーター」です。これはインクルージョン・ジャパン社と協働し、邦銀初のESG特化型アクセラレータープログラムとして大阪を実証フィールドに開催されました。大阪府・市・堺市・大阪産業局が後援につき、脱炭素や循環型経済などESG領域で事業創出を目指す全国・海外のスタートアップを募集し、約130社が応募しています(2021年12月時点)。同プログラムでは、大賞企業に賞金100万円や協賛企業との面談機会が提供され、参加スタートアップと事業会社・VC・行政の協働によって社会的インパクトと経済的リターンの両立を加速させる狙いがありました。舞台を大阪に設定し、2025年万博に向けた実装を見据えるなど、地域と連動したアクセラレーションも関西ならではの取り組みです。このようにMUIC Kansaiは、自ら課題解決プログラムを運営するだけでなく、外部のアクセラレータープログラムを誘致・協業する拠点としても機能し始めています。

ビジネスサポートプログラム「Rise Up Festa」による成長支援

三菱UFJ銀行が全国規模で展開するスタートアップ支援策として、MUFGビジネスサポート・プログラム「Rise Up Festa」があります。これは新規性・独創性のある事業に挑戦するベンチャー企業を公募し、書類・プレゼン審査を経て優れた企業を選出、長期的に“Rise Up Family”として伴走支援するプログラムです。現在まで年1回ペースで開催され、第12回(2025年度)の募集が行われています。

Rise Up Festaの特徴は、単なるピッチコンテストに留まらない総合的な成長支援メニューにあります。まず、最終審査会(デモデイ)では大手企業のイノベーション担当者が多数参加・視聴し、会場で直接ネットワーキングが行われます。これにより参加スタートアップは事業提携や共同研究、PoC実施などビジネスマッチングの大きな機会を得られます。次に、ファイナリスト企業には最終審査会前にビジネスプランのブラッシュアップ期間が設けられ、外部有識者やMUFGグループの専門スタッフが各社の課題解決や計画高度化に向けたメンタリングを提供します。さらに、受賞企業(最優秀賞・優秀賞に選ばれた企業)には、三菱UFJ銀行内の成長支援専門担当者が各社に1名ずつバディ任命され、担当支店と連携しつつ、MUFGグループのソリューションを総動員した継続支援が約束されています。具体的には、大企業との事業マッチングのアレンジ、各種金融サービスの提供、経営課題に応じたコンサル紹介など、企業の成長ステージに応じた伴走支援が受けられます。このようにRise Up Festaは、受賞後も長期間にわたり企業の成長にコミットする仕組みとなっており、単発の表彰で終わらないのが大きな強みです。

賞金や副賞も充実しています。第11回(2024年)では最優秀企業3社に各2百万円の事業支援金が贈られたほか、協力企業である三菱UFJキャピタルからも特別賞(キャピタル賞)として1社に2百万円の出資相当の賞金が提供されています。さらに、2025年開催分では大阪・関西万博に関連した特典も用意されました。Rise Up Festaの表彰企業の中から1~2社が、2025年万博会場内の「大阪ヘルスケアパビリオン」展示ゾーンへの出展企業に選抜される枠が設けられています。万博という大舞台で自社サービス・技術をPRできるチャンスであり、スタートアップにとって大きな訴求力となるでしょう。

なお、第11回Rise Up Festaではテーマ領域を「いのちを救う(ヘルスケア・ライフサイエンス等)」「いのちに力を与える(環境・エネルギー等)」「いのちをつなぐ(スマートシティ・宇宙・Well-being等)」の3分野に設定し、これら成長が期待される領域で新事業に挑戦する企業を広く募集しました。こうした重点分野は国の重点施策やSDGs課題とも連動しており、社会課題解決型のスタートアップが応募しやすいテーマ設定と言えます。第11回では最終審査会を2024年7月に大阪で開催するなど、関西での盛り上げにも力を入れており、万博を控えた地域ニーズに応えるスタートアップの発掘も意識されています。

スタートアップが支援を受けるための条件と選考のポイント

優れた支援プログラムに応募しても、条件を満たさなければ採択は困難です。三菱UFJ銀行のRise Up Festaを例に、スタートアップが支援を受けるための主な条件や傾向を整理します。

まず基本的な応募資格として、法人格を有し事業を開始していること(国内登記済み企業であること)が必須です。アイデア段階のチームではなく、すでに会社設立済みで事業を進めているスタートアップである必要があります。また、募集分野に合致し、新規性・独創性のある事業に取り組んでいることも条件です。既存事業の延長ではなく、新しい市場や領域を切り拓くチャレンジ精神が求められます。加えて、プログラムの各フェーズ(書類審査・プレゼン審査・メンタリング期間・最終審査会)に継続的に参加できることも要件として明示されています。選抜後のハンズオン支援を最大限活用するため、経営陣が時間を確保してコミットできることが重要です。

審査の過程では、事業プランの革新性・成長性に加え、経営チームの熱意と実行力、市場規模や社会的インパクトなども評価される傾向があります。Rise Up Festaの場合、一次・二次審査には三菱UFJ銀行や信託銀行、キャピタル(VC)、コンサルティング会社などグループ内外の専門家が審査員として関わり、多面的に事業性をチェックします。最終審査では経産省や大阪産業局、大学教授、会計士などが加わり、技術・市場・財務のバランスを見ています。このことから、大企業と組んでスケールしうるビジネスか、社会課題の解決につながるかが重要なポイントと考えられます。自社単独で完結するビジネスよりも、金融機関や大企業との協業余地がある事業の方が、銀行系プログラムでは高く評価されやすいでしょう。

また、提出書類にも注意が必要です。一次審査通過後には登記簿謄本や株主一覧、直近2期分の決算書類など詳細な情報提出が求められます。これは銀行グループとしてコンプライアンスや財務健全性を確認するプロセスでもあります。スタートアップとはいえ基本的な法令順守や財務管理ができていることが信頼の前提となるため、応募時から資料整備や情報開示に誠実に対応する姿勢が肝要です。総じて、革新的なビジネスモデルと社会への貢献可能性を示しつつ、経営基盤の信頼性もアピールできる企業が支援を勝ち取りやすいと言えます。

知財の収益化とスタートアップ支援の関わり【IPリッチの視点】

以上のようなスタートアップ支援策を活用する際、知的財産(特に特許)の戦略は見落とせない要素です。支援を提供する側の金融機関や大企業にとっても、スタートアップが有する特許や独自技術は重要な評価ポイントになります。実際、投資家向けピッチ資料に特許出願状況や知財戦略を盛り込むことで、技術的優位性をアピールし資金調達に有利に働くケースも多々あります。MUFGのRise Up Festaでも、知財専門家(弁理士)のアドバイザー参加が見られるなど、知財面の目利きを意識した体制が組まれています。これは、独自技術を適切に権利化・活用しているスタートアップは成長性が高いと見做される傾向を示唆しています。

一方で、スタートアップ自身が知財を「守りの道具」として抱え込むだけでは十分ではありません。知財の収益化(マネタイズ)こそが成長戦略の鍵となります。例えば、自社で使い切れていない特許があれば、他社にライセンスしてライセンス収入を得ることも可能です。実際に大企業では、自社では事業化しない特許を積極的に外部展開して収入源にする動きもあります。スタートアップも同様に、特許を取得するだけでなくどうビジネスに活かすかが重要です。自社製品・サービスに実装して競争力の源泉とするのはもちろん、他社へのライセンシングによる収益化も検討すべき有力な選択肢です。場合によっては特許を軸にした新規事業を立ち上げたり、特許同士のクロスライセンスを契機に大企業と事業提携することも有効でしょう。知財を単なる防御策に留めず、収益を生み出す成長ドライバーとして活用する発想が求められます。

知財の収益化は、スタートアップに追加のキャッシュをもたらすだけでなく、金融機関からの評価向上にもつながります。特許収入が継続的にあれば、銀行融資の審査で売上の安定性として評価される可能性がありますし、知財を担保とした融資(IPファイナンス)の道も開けます。さらに、オープンイノベーションを進める大企業にとっては、スタートアップからライセンスを受けることで自社のイノベーションを加速できるため、優良な知財を持つスタートアップほど連携ニーズが高まるという現象も起きています。以上を踏まえると、MUFG銀行の提供するマッチング機会やアクセラレーションを最大限活用するためにも、スタートアップ側は自社保有特許の棚卸しと戦略的な活用プランを用意しておくべきです。

具体的な提案として、スタートアップは早期から知財戦略を経営戦略に統合することが重要です。自社のコア技術を特定し権利化するだけでなく、その特許で「どのように稼ぐか」という視点を持ちましょう。製品販売による直接収益だけでなく、特許ライセンス料や特許の売却益も視野に入れて事業計画を策定するのです。例えば、主要事業と関係の薄い特許は思い切って売却し、その資金を主力事業の成長投資に充てる戦略も考えられます。また、他社と共同研究する際には自社の知財権利をしっかり確保しつつ、成果特許を共同出願して将来的に共有利益を生む仕組みを作ることもできます。知財契約の段階から専門家の助言を仰ぎ、自社に有利かつウィンウィンな権利スキームを構築することが大切です。

最後に、知財の収益化を図る際には信頼できる外部プラットフォームの活用も効果的です。特許の流通市場は情報の非対称性が大きく、スタートアップ単独でライセンシー(特許実施先)を探すのは困難な場合があります。そこで弊社IPリッチでは、特許をお持ちの企業や個人が自らの特許を登録し収益化を図れる場「PatentRevenue」を提供しています。スタートアップの皆様も、自社特許を遊休資産にせず積極的に活用することで、新たな収益源や資金調達手段を得られる可能性があります。知財の観点からも柔軟な発想で収益機会を追求し、MUFG銀行の支援プログラムと組み合わせて事業成長のシナジーを創出していきましょう。

※特許をお持ちの方は、PatentRevenue(https://patent-revenue.iprich.jp)への特許登録もぜひご検討ください。知財の収益化を専門にサポートするプラットフォームを通じて、新たな価値創出にチャレンジしましょう。

(本記事はAIを用いて作成しています。)


参考文献リスト

  1. 三菱UFJフィナンシャル・グループ「社会課題解決を担うイノベーション創出拠点『MUIC Kansai』」(2022年7月14日)mufg.jpmufg.jp
    URL: https://www.mufg.jp/profile/strategy/dx/articles/0094/index.html
  2. ニッキンONLINE「MUIC、スタートアップへ出資 SAFE型新株予約権をアレンジ」(2025年4月25日)nikkinonline.com
    URL: https://www.nikkinonline.com/article/268802
  3. 三菱UFJ銀行「MUFGビジネスサポート・プログラム『Rise Up Festa』公式ページ (第11回概要)」(2024年閲覧)bk.mufg.jpbk.mufg.jp
    URL: https://www.bk.mufg.jp/houjin/festa/
  4. インクルージョン・ジャパン (PR TIMES)「邦銀初!ESGアクセラレータープログラム始動『MUFG ICJ ESGアクセラレーター』開催とベンチャー企業募集のお知らせ」(2021年12月8日)prtimes.jpprtimes.jp
    URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000064719.html
  5. 堺市プレスリリース「株式会社三菱UFJ銀行、大阪府・大阪市・大阪産業局とのスタートアップ・エコシステム拠点都市形成に関する連携協定を締結」(2020年8月19日)city.sakai.lg.jp
    URL: https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/toshi/nakamozu-innovation/ekosisutemu/osaka-ecosystem.files/UFJ_kyouteisyo.pdf
  6. 三菱UFJフィナンシャル・グループ「産業育成、イノベーション支援 (サステナビリティ報告)」(2023年)mufg.jpmufg.jp
    URL: https://www.mufg.jp/csr/social/01/index.html
  7. EXPACTコラム「スタートアップが知っておくべき知財戦略のポイント」(2023年8月3日)expact.jp
    URL: https://expact.jp/ip-strategy/
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