特許費用を抑える4つの対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

本記事では、特許の費用が高くてお悩みの中小企業経営者や起業家の皆様に向け、その費用面の課題を乗り越えるために検討すべき4つの対策(分割払い・助成金/補助金・特許庁の費用減免・株式による支払い)を具体的な制度や条件、手続き、注意点も含めて解説します。知財の収益化を視野に入れつつ、特許の費用負担を賢く軽減する方法を一緒に考えていきましょう。

目次

対策1.分割払いで負担分散

特許出願にかかる費用が一度に大きくのしかかる場合、分割払いによって支払いのタイミングを分散させる方法があります。具体的には、特許出願や特許明細書の作成を依頼する弁理士や特許事務所の報酬を複数回に分けて支払うよう交渉することが可能です。実際、中小企業やスタートアップ向けに分割払い制度を用意している特許事務所も存在します。例えば、ある特許事務所では「手数料が10万円以上の案件については10回以内の分割払い制度を導入しました」と明記しており、多くの小規模事業者からの要望に応えています(参考文献1)。また別の事務所でも「中小企業やベンチャー企業のお客様には、割引制度や分割払いの制度もご用意しております。これらの制度を利用すれば初期費用を低く抑えることが可能です」と案内しています(参考文献2)。このように弁理士費用の分割払いや分割請求を受け付けている事務所を選ぶことで、特許の費用の一括支出を避け、資金繰りを楽にできます。

分割払いの具体的な形態としては、月々一定額を支払う方法や、出願時・中間処理時・特許査定時といった節目ごとに支払う方法などがあります。特に後者は「着手金+成功報酬」の形式とも呼ばれ、出願時に一定額を払い、特許が成立したときに残額(成功報酬)を支払う仕組みです。成功報酬型であれば、特許が取得できなかった場合には大きな支払いを回避できるメリットがあります。ただしこの場合でも出願準備に要した弁理士の労力に見合う着手金は必要ですし、特許取得後には成功報酬を支払う義務が生じるため、将来の支出計画は立てておく必要があります。

加えて、日本の特許出願制度自体も費用の発生時期を段階的に遅らせる余地があります。例えば、特許出願から審査請求を行うまで最大3年の猶予があるため(出願審査請求期間は出願日から3年以内)、資金状況に合わせて審査請求料の支払い時期を調整できます。また特許査定後の特許料(登録料)も、通常は第1~3年分をまとめて納付しますが、4年目以降の年金(維持費用)は年ごとに支払うことができます。これら制度上認められた支払いタイミングの猶予を活用し、知財予算を年度内で平準化するのも一つの戦略です。ただし審査請求を遅らせると特許権取得がその分遅れ、知財の収益化(製品保護やライセンスによる収益獲得)も先延ばしになる点には注意しましょう。競合他社に先に権利を取られるリスクや、市場参入のタイミングも総合的に考慮し、分割払いとスピードのバランスを検討することが重要です。

実践上の注意点として、分割払いを利用する場合は、弁理士事務所との合意内容を書面で交わすことをお勧めします。支払い回数や各回の金額、支払い期限を明確に定め、トラブル防止につなげましょう。また、分割払いだからといって最終的な総支払額が増えないか(分割手数料や利息等の有無)も確認が必要です。幸い、上記の例(参考文献1・2)では特別な手数料なく分割に応じているケースが多いようですが、事務所によって条件は異なります。資金繰りに不安がある場合は率直に相談し、自社の状況に合った支払いプランを提案してもらいましょう。

対策2.助成金・補助金の活用

公的な助成金・補助金を利用して、特許取得にかかる費用負担を軽減する方法も有効です。国や自治体には、中小企業や個人事業主等の知的財産取得を支援する制度が多数用意されています。例えば、自治体レベルでは各都道府県や市区町村が独自に「特許出願費用助成」「知的財産権取得補助金」などの制度を設けている場合があります(参考文献3)。こうした制度を活用すれば、特許出願に要する弁理士費用や特許庁への費用の一部を補助金として受け取ることができます。

具体的な例として、東京都町田市では「特許権等取得事業補助金」という制度があり、市内の中小企業者が特許権(または実用新案・意匠・商標)を取得する際の経費の一部を補助しています(参考文献4)。これは他社製品との差別化や競争力向上を目的に、対象者の要件(市内事業者であること等)を満たせば特許出願や審査請求に要した費用の一部について補助金交付を受けられるものです。自治体によって補助内容や上限額、受付期間は様々ですが、補助率が費用の1/2や2/3、上限数十万円程度といったケースが多く見られます。申請には事前登録や書類提出が必要で、出願前後一定期間内に申請しなければならないこともありますので、地元自治体の公募情報を早めにチェックしておきましょう。

国レベルの支援策としては、経済産業省 特許庁が実施する「海外出願支援事業」が代表的です。これは、中小企業が海外に特許や商標を出願する際、その費用の1/2を補助する制度で、各都道府県の中小企業支援センター等を窓口に全国の中小企業が利用できます(参考文献5)。海外への特許出願は翻訳や各国代理人費用もかさみ負担が大きいですが、本制度を活用すれば費用の半額を国が負担してくれるため、グローバル展開を目指す中小企業には大変有難い支援策です。また、独立行政法人INPIT(知財総合支援窓口)でも各種補助金情報の提供や申請支援を行っています。

さらに、経済産業省中小企業庁が所管する「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」などの大型補助金でも、事業計画の中で特許取得費用を計上すれば結果的に補助対象となる場合があります。例えば新製品開発プロジェクトに対して交付される補助金の使途に、特許出願に必要な経費(試験研究費や外注費としての弁理士費用等)を含めることも可能です。ただし、これら競争率の高い補助金は事業全体の計画審査があり、知財費用だけを狙って採択を受けるのは容易ではありません。より直接的な知財補助としては前述の自治体補助金や特許庁の減免・助成制度を検討すると良いでしょう。

実践上の注意点として、助成金・補助金を利用する際は、公募時期と申請手続に注意してください。多くの補助金は年度ごとに募集期間が限られており、事前相談や申請書類の準備が必要です。申請から交付決定まで時間がかかる場合もあるため、特許出願のスケジュールと照らし合わせて計画しましょう。また、補助金は後払い(事後精算)方式が一般的で、一旦自社で費用を立て替え、後から補助金分が支給される流れです。資金に余裕がない場合は、一時立替の負担も考慮する必要があります。さらに、補助金を受けた場合には一定期間その特許を維持する義務が課されるケースや、成果報告が必要なケースもあります。不正受給防止の観点から経費の使途証憑も厳格にチェックされますので、支出証拠(領収書や振込記録)はきちんと保管しておきましょう。

対策3.特許庁の費用減免制度の利用

特許庁には、中小企業や個人事業主等を対象にした特許料等の減免制度があります。これは所定の条件を満たすことで、特許庁に支払う審査請求料や特許料(年金)が大幅に軽減される制度です(参考文献6)。2019年の法改正により手続きが簡素化され、全国の中小企業や大学等が広く対象となりました(参考文献6)。

減免措置の内容を具体的に見ると、審査請求料および特許料(1~10年分)の額が「中小企業、個人事業主、大学、官公庁等の場合は1/2、中小ベンチャー企業・小規模企業等の場合は1/3」に軽減されます(参考文献7)。つまり、該当すれば審査請求料・年金が半額~3分の1で済むという非常に有利な制度です。例えば「スタートアップ企業(創業まもない中小企業)」であれば本制度により審査請求料・特許料が3分の1に、また一般的な中小企業や大学なら2分の1に軽減されます(参考文献8)。これは特許の費用の大部分を占める審査請求料(特許庁印紙代は通常15万円以上)や特許料(年額数千~数万円を最大10年分)を大きく圧縮できるため、該当する企業にとって見逃せないメリットです。

では減免制度の対象となる条件は何かというと、大きく企業規模や設立年数で区分されています。中小企業基本法等で定義される中小企業者であれば原則1/2減免の対象になりますが、さらに要件を満たす「中小ベンチャー企業」や「小規模企業」であれば1/3まで減額されます(参考文献8)。具体的には、中小ベンチャー企業とは「設立後10年未満」かつ「資本金または出資総額が3億円以下」などの条件を満たす法人、または開業後10年未満の個人事業主を指します。一方、小規模企業は常時使用する従業員数が製造業で20人以下、商業・サービス業で5人以下といったさらに小規模な事業者を指し、こちらも審査請求料・特許料が3分の1に軽減される場合があります。自社がどの区分に当てはまるかで減免率が異なるため、出願前に特許庁の案内ページで最新の対象要件を確認しておきましょう(参考文献6)。

手続き方法も比較的簡単です。減免対象に該当する場合、特許出願時の審査請求書や特許料納付書に「減免を受ける旨」を記載するだけで申請が完了します(参考文献9)。2019年以降は減免申請書や証明書類の提出が原則不要となり、願書にチェックを入れる程度の手間で利用できるようになりました。この手続きの簡略化により、中小企業の皆様は専門知識がなくとも弁理士に頼むことなく減免申請が可能です。とはいえ、念のため依頼している弁理士にも減免制度を利用したい旨を伝えておくと安心でしょう。多くの弁理士は本制度を把握していますが、スタートアップ企業側から積極的に共有することで手続き漏れを防止できます。

実践上の注意点として、減免制度を確実に享受するためには、自社が条件を満たしていることを各費用の納付時点で維持している必要があります。例えば、設立9年目の企業が1年目~3年目分の特許料を減免適用で納付した後、10年目を迎えてしまうと、4年目以降の年金については「創立10年未満」の要件を満たさなくなるため減免を受けられなくなる可能性があります。そのため、急成長中のスタートアップは減免対象から外れるタイミングに注意し、場合によっては減免適用期間内に複数年分の特許料をまとめて前納しておくことも検討しましょう。幸い、特許料は一度に何年分かまとめて納付することも可能で(例えば4年目~10年目分を一括納付など)、その際各年の端数処理を行えば減免状態を維持したまま将来分を支払うことができます。また、減免申請時の企業規模によって判定されるため、仮に途中で資本金増資や従業員増加があっても申請済みの分には影響しないとされていますが、新たに審査請求を出す特許についてはその時点の規模で判定されます。常に最新の自社状況に照らして適用可否をチェックし、利用できるうちはフルに活用する姿勢が大切です。

対策4.株式による支払い

現金資金が乏しい場合、弁理士や知財コンサルタントへの報酬を自社の株式で支払う(エクイティ・コンペンセーション)という選択肢も考えられます。これは、特許関連業務に対する対価として現金の代わりに自社の株式(またはストックオプション)を渡すものです。スタートアップ企業では、顧問弁護士や技術顧問など外部の専門家に対して、成功報酬的な意味合いで株式を付与するケースが見られます(参考文献10)。実際、IPO(株式上場)準備の場面では、主幹事証券や弁護士等の外部専門家にストックオプションを与えてインセンティブとする例があり、これは成功報酬の支払い手段の一つとして機能します(参考文献10)。特許出願においても同様に、特許が成立して事業が成功した際にその対価を株式の価値で受け取ってもらう形にすれば、出願時点でのキャッシュアウト(現金支出)を大幅に削減できます。

株式報酬の具体的な方法としては、新株予約権(ストックオプション)を発行して弁理士に付与する方法や、特許業務の報酬相当額分の株式を現物出資的に渡す方法などが考えられます。ストックオプションであれば、一定の条件(例えば「特許権の成立」や「次回資金調達成功」など)を満たしたときに弁理士が権利行使できるよう契約で定めておくことで、成果に応じた報酬支払いが可能になります。また、株式を付与することで弁理士等を株主として取り込み、長期的な協力関係を築けるメリットもあります。彼らにとっても、将来その株式の価値が上がれば利益を得られるため自社の事業成功や知財の収益化にコミットしやすくなるという利点があります。

しかし、株式による支払いには留意点も多いです。まず、引き受け手である弁理士側の合意が必要であり、全ての事務所が株式報酬に応じてくれるわけではありません。特に未上場企業の株式評価は不確実で流動性も低いため、敬遠される場合もあります。そのため、この手法を検討する際は自社の将来性を十分に説明し、信頼関係を構築することが前提となります。また、株式を発行・交付するには株主総会決議や契約書の作成など法的手続きが必要です。ストックオプションの場合も、会社法や税法上の要件(例えば発行対象が取締役以外の場合の手続き)をクリアする必要があります(参考文献10)。専門家への付与とはいえ、既存株主の持ち株比率が希薄化する点にも注意が必要でしょう。将来の資本政策に与える影響を見据え、何株(またはストックオプション何口)を渡すのか慎重に検討してください。

実践上の注意点として、株式報酬による合意を結ぶ場合は、契約内容を明文化することが不可欠です。例えば「〇〇特許の出願~権利化業務の報酬として、普通株式△株(またはストックオプション△個)を付与する」「特許未成立の場合の取り扱い」「株式譲渡制限や権利行使期限」など、細部まで決めておきましょう。万一、特許が却下された場合に報酬をどう調整するか、といったシナリオも取り決めておく必要があります。また、株式の価値評価について合意しておかないと、後々「貰った株式の時価が報酬額に満たなかった/超過していた」といった齟齬が生じる恐れもあります。税務面でも、株式報酬は給与所得や譲渡所得として課税され得るため専門家に確認しましょう。これらハードルはありますが、現金支出を抑えて特許出願を実現する有力な手段であることは間違いありません。自社のステージや弁理士側の意向に応じて、柔軟に検討してみてください。


まとめ

以上、特許の費用が障壁となっている場合に考えられる4つの対策をご紹介しました。分割払いによる負担分散、助成金の活用、特許庁減免制度の利用、そして株式による支払いと、いずれも費用面のハードルを下げるための具体的な選択肢です。中小企業や起業家の方にとって、限られたリソースの中で知的財産を確保・維持していくことは大きな挑戦ですが、今回ご紹介したような制度や工夫を上手に組み合わせることで実現可能です。ぜひ自社に適した方法を検討し、知財の収益化に向けて一歩踏み出してみてください。

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(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. 西川特許事務所「分割払い制度の導入」https://www.nishikawa-pat.com/price/
  2. アペリオ国際特許事務所「中小企業支援制度」https://www.aperio-ip.com/fee
  3. J-Net21「特許取得費用の軽減制度などの公的支援」https://j-net21.smrj.go.jp/qa/other/Q1102.html
  4. 町田市「特許権等取得事業補助金」https://www.city.machida.tokyo.jp/
  5. 特許庁「海外出願支援事業」https://www.jpo.go.jp/support/sme/overseas_app.html
  6. 特許庁「中小企業等の特許料等の減免制度」https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/minkan_shinsei/menjo.html
  7. IP BASE「スタートアップ支援ポータル」https://ipbase.go.jp
  8. 特許庁「スタートアップ向け支援一覧」https://www.jpo.go.jp/support/startups/index.html
  9. JPO「特許審査請求・特許料の納付手続」https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/menjo.html
  10. NAO法律事務所「IPOと株式報酬の実務」https://www.nao-law.com/blog/venture-stock-option

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