スタートアップ投資と特許:VCが評価する知財価値

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
本日は「スタートアップ投資と特許:VCが評価する知財の価値」というテーマでお話しします。スタートアップにおける特許の意義や、VCが知財に注目する理由、知財の評価手法、実際の資金調達事例、そして特許戦略のポイントまで包括的に解説します。本記事を通じ、知財の観点からスタートアップの成長戦略と投資の関係性を理解していただければ幸いです。
スタートアップにおける知財の重要性
近年、企業価値の大半が特許や商標などの無形資産によって占められるようになっています。特にスタートアップは創業初期には有形資産がほとんどないため、自社の技術やアイデアを守る知的財産(知財)が極めて重要な役割を果たします。特許権を取得することで一定期間の独占権を得て、模倣者を排除し競争上の優位性(参入障壁)を築くことができます。また、特許は他社との提携交渉での「切り札」となったり、ライセンスによる収益源となったりする可能性もあります。実際、欧州の調査では特許や商標など知財を保有するスタートアップは、保有していない企業に比べて約10倍も資金調達に成功しやすいことが報告されています[1]。このように知財はスタートアップの価値創造と成長に不可欠な基盤となっています。
VCがスタートアップの知財に注目する背景
ベンチャーキャピタル(VC)が投資判断において知財を重視するのは、知財がスタートアップの持つ革新性や将来性を客観的に示す指標となるためです。実際、米国の研究では、初めて特許を取得したスタートアップは、その後の成長率が飛躍的に向上し、VCや銀行などからの資金調達が大幅に容易になることが明らかにされています[2]。特許庁の分析によれば、日本でもVCから初めて出資を受けた後にスタートアップの特許出願件数が有意に増加するケースが約6割に上ると報告されています[3]。これは、VCが出資後に知財戦略の強化を支援し、知財を通じて企業価値を高めようとしている表れです。
また、VCにとって特許は、投資先のビジネスが大企業に模倣されにくい「堀」(moat)になり得ます。特許による独占権はスタートアップの技術やビジネスモデルを守り、VCの出資をリスクから保護します。反対に、核心技術に何の知財保護も無ければ、大企業に容易に真似されたり、他社の特許を侵害して訴訟リスクにさらされたりする懸念があります。こうした背景から、多くのVCはデューデリジェンスの段階で知財ポートフォリオを入念にチェックし、知財面での優位性や潜在的なリスクを評価しています。
VCによるスタートアップ知財の評価手法
VCは投資前のデューデリジェンス(DD)において、法務DDとともに知財DDを実施します[5]。知財DDではスタートアップが保有する特許リスト(特許ポートフォリオ)や関連契約書類の開示を受け、専門家がその価値とリスクを精査します。特許の件数は投資家に技術力の「見える化」指標を提供し、件数の多さ自体が競争優位性の裏付けとして信用材料になり得るとの指摘もあります[2]。しかし実際には、特許ポートフォリオは量より質が重要とされています。投資家は特許が有効に存続しているか、スタートアップの現在の中核ビジネスを適切にカバーしているか、といった点を重視して評価します。その上で、経営陣が特許の内容およびビジネス上の意義を分かりやすく説明できるかも確認されます。
また、知財DDでは特許の権利関係や法的リスクも詳しく調べられます。例えば、主要な特許が大学や他社名義になっている場合、スタートアップが当該特許について独占的な実施権や譲渡を受けているか(契約関係)を厳格にチェックされます。競合他社の特許侵害リスクについても調査が行われ、将来的な訴訟リスクがないか専門家が評価します。こうした評価手法を通じて、VCは知財の観点から投資先の企業価値と潜在リスクを見極めるのです。
VC投資を引き寄せたスタートアップの知財活用事例
- Spiber株式会社(日本) – 人工クモ糸(バイオ素材)分野のスタートアップ。将来の大きな収益を見据えて基本特許を含む強力な特許群を戦略的に取得し、参入障壁を高めることで競合他社が容易に追随できない体制を築きました。知財による高い参入障壁は資金調達や大企業との提携交渉でも大いに威力を発揮し、投資家や提携先から問われる「基本特許の有無」などの要求にも問題なく対応できています[4]。
- NaturalMotion社(英国) – オックスフォード大学発のデジタル技術スタートアップ。人や動物の動きを自然にシミュレーションする独自技術を持ち、大学のギャップファンドからシード資金と知財面の支援を受けて成長しました。同社は自社特許をゲーム開発企業にライセンスするビジネスモデルを採用し、大学からの助言でコア特許を取得しています。その特許技術が大手ゲーム会社に採用されたことも追い風となり、2014年に米国Zynga社に約5億2700万ドルで買収されました[7]。
- 米国VCの支援事例 – ある米国のVCファンドでは、マネージングディレクターとして特許弁護士を社内に擁していました。約4,000万ドルを投資したある出資先スタートアップに対し、この弁護士が国際特許出願の早期権利化など知財戦略面でハンズオン支援を行い、出資から2年で米国および欧州において基本特許を取得させました。その上で、取得特許による製品の優位性を大手企業に示すストーリーを構築した結果、当該スタートアップは約2億ドル(評価額ベースで投資時の倍近く)で大型買収され、VCは巨額の売却益を得ました。知財戦略の強化が企業価値を飛躍的に高め、投資家にも大きな利益をもたらしたケースと言えます[6]。
スタートアップ知財戦略とVCへのアピールポイント
最後に、スタートアップ側が取るべき知財戦略上のポイントと、VCに対する効果的なアピール方法をまとめます。まず、知財戦略は経営戦略と不可分であることを認識しましょう。単に発明を闇雲に権利化するのではなく、事業の方向性に沿ってどの知財を取得すべきかを計画的に検討する必要があります。研究開発型のスタートアップでは新発明が事業の出発点となりますが、それを事業成功につなげるにはビジネスモデルやマーケット戦略と整合した知財の確保が重要です。資金調達のラウンドごとに知財戦略上の目標(マイルストーン)を設定し、例えば「○○のプロトタイプ開発までに基本特許を出願する」「市場展開までに主要国で権利化を完了する」といった計画を立てると良いでしょう。限られた予算の中で重要度の高い発明に優先的に出願し、その他はノウハウとして秘匿するなど、コスト意識を持ったメリハリも求められます。
次に、VCへの知財アピールでは、自社の知財がいかに競争優位を生み出しているかを明確に伝えることが肝要です。特許ポートフォリオの内容とビジネスへの貢献を平易な言葉で説明し、投資家がその価値を理解できるように準備しましょう。例えば「この基本特許によって当社は〇〇分野で独占的なサービス提供が可能となり、大企業でも容易に模倣できません」といった具合に、知財と収益モデルの結びつきを示すのです。また、大学からライセンスを受けた特許や他社との共同出願特許、専用実施権などがある場合は、その点も積極的にアピールしてください。商標やデザインなど特許以外の知的財産権も取得済みであれば言及し、事業を多面的に防御する体制をアピールすることも有効でしょう。
そのほか、投資契約前には知財の権利関係をクリアにしておくことも重要です。創業メンバーや共同研究先との間で発明の権利帰属が明確になっているか、第三者の特許を侵害する恐れがないかなど、予め専門家と確認し、必要に応じて対策を講じておきましょう。知財面のリスクを低減しておくことは、VCに安心感を与えるだけでなく、将来の事業展開を円滑にする上でも有益です。このように知財戦略を強化し適切にアピールすることは、スタートアップの競争優位を守るだけでなく、事業の成長やEXITの選択肢を増やし、結果として企業価値と投資リターンの最大化につながります[6]。知財の力を最大限に活用し、投資家から選ばれるスタートアップを目指しましょう。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献リスト
[1] 欧州特許庁・EUIPO合同プレスリリース「Startups with patents and trade marks are 10 times more successful in securing funding」(2023年10月17日) https://www.epo.org/en/news-events/press-centre/press-release/2023/945253
[2] Joan Farre-Mensa et al., What is a Patent Worth? Evidence from the U.S. Patent “Lottery”, NBER Working Paper No. 23268 (2017) https://www.nber.org/system/files/working_papers/w23268/w23268.pdf
[3] 日本銀行金融市場局 鷲見和昭「ベンチャーキャピタルとスタートアップ企業のイノベーション ―特許データによるビッグデータ解析―」(日銀レビュー, 2021年3月) https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2021/data/ron210312a.pdf
[4] 特許庁『一歩先行く国内外ベンチャー企業の知的財産戦略 事例集』(2018年) https://www.jpo.go.jp/support/startup/document/index/h29_01_1.pdf
[5] 内田・鮫島法律事務所「自社の知財を活用して効果的に資金調達をする方法とは」(技術法務ナビ) https://www.gijutsu-homu.com/support-cases/funding.html
[6] 特許庁『ベンチャー投資家のための知的財産に対する評価・支援の手引き』(2019年3月) https://www.jpo.go.jp/support/startup/document/index/venture_tebiki.pdf
[7] オックスフォード大学ニュースリリース「Oxford digital spin-out completes $500m sale」(2014年2月12日) https://www.ox.ac.uk/news/2014-02-12-oxford-digital-spin-out-completes-500m-sale

