特許で失敗しないために:ありがちなミスと対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
この記事では、経営者や個人事業主、起業家向けに、特許で失敗しないために知っておくべきポイントと対策について解説します。特許出願時の注意点から事業戦略との整合性、他社特許の調査まで、よくある失敗例とその予防策を網羅的に取り上げています。失敗を未然に防ぎ、特許の価値を最大限に活用するためのヒントを提供します。
特許出願内容の不備による失敗と対策
まず、特許出願そのものに起因する失敗例です。特許明細書の内容に誤りや不足があると、審査以前に形式不備で受理されなかったり、審査で拒絶されたりする原因となります【2】。例えば、明細書や図面の記載ミス、発明の詳細な説明不足、出願人情報の不備といった問題があると、せっかくの出願が無効になり特許を取得できない恐れがあります【2】。また、発明のポイントを十分に記載していないと、審査官から新規性・進歩性が認められず拒絶される場合もあります【2】。
さらに、明細書の書き方次第では、たとえ特許が取れても権利範囲が狭くなりすぎてしまい、ビジネス上十分な効果を得られないことがあります。実際の事例では、ある企業B社が画期的な製品について特許を取得したものの、特許請求の範囲(権利範囲)が狭すぎたため競合他社にわずかな変更で模倣品を出され、特許で対抗できなかったケースがあります【3】。このように、出願内容の不備や請求項の設定ミスによっては、「特許を取ったのに自社製品を守れない」という失敗になりかねません。
対策: 出願内容の不備を防ぐには、以下の点に注意する必要があります。
- 明細書・請求項の徹底チェック: 出願前に明細書の内容を細部まで確認し、誤字脱字や記載漏れがないようにします。出願内容に誤りがあるとその時点で無効になってしまうため、二重三重の確認作業が必須です【2】。自社内でチェック体制を整えるとともに、必要に応じて専門家(弁理士)に内容を精査してもらうことも有効です【2】。
- 権利範囲の最適化: 発明の本質を捉え、請求項には必要最小限の要件のみを記載してできるだけ広い権利範囲を確保することが重要です。出願時に不要な限定事項を盛り込んでしまうと、その要件を外した競合製品には権利行使できなくなってしまいます【4】。特許請求の範囲の検討は慎重に行い、自社製品や模倣されうるバリエーションを網羅できるようにしておきましょう。必要ならば特許事務所と相談し、過不足のないクレーム作成を行います【3】。
- 先行技術調査の実施: 出願前に類似技術や既存特許を調査し、自分の発明が新規性・進歩性を備えているか確認することも不可欠です。周辺技術を調べて既存の特許と差別化できるポイントを把握しておけば、出願後に「実は既に似た発明があった」と判明して特許が取れない失敗を防げます【2】。特許庁のデータベース(J-PlatPat等)も活用して、関連分野の特許を事前に検索しましょう【2】。新規性の確認は特許出願準備の中でも最も重要なステップの一つであり、十分な時間をかけて行うべきです【2】。
以上の対策により、出願内容に起因する失敗リスクを大幅に減らすことができます。自社だけで対応が難しい場合は、早めに専門家に相談して適切な助言を受けることが望ましいでしょう。
先願主義の理解不足による特許戦略の失敗と対策
次に、特許制度のルールである「先願主義」への対応不足による失敗例です。先願主義とは、同じ発明について複数の出願があった場合、最も先に出願した人だけが特許を受けられるというルールです(要するに「早い者勝ち」)【1】。この原則を十分に理解していないと、出願のタイミングを逃して権利を失う重大なミスにつながります。
よくある失敗の一つは、発明の完成後に出願を先延ばしにしてしまうケースです。例えば、あるスタートアップ企業A社では、革新的な技術を開発したものの製品化に注力するあまり特許出願を後回しにしていました。その結果、競合他社に先に類似技術の特許を取得されてしまい、A社は自社製品を自由に販売できなくなる事態に陥りました【3】。このように、出願が遅れると自社が先に発明していても他社に特許を奪われ、自社は権利を得られないばかりか事業上不利な立場に追い込まれることがあります。
また、先願主義と関連して注意すべきなのが発明の公開タイミングです。特許法では、特許出願前に公知となった発明(既に世間に公開された技術)は、たとえ自分自身の発明であっても新規性を喪失し原則として特許を受けることができません【5】。言い換えれば、自社の発明内容を学会発表や展示会・営業先でのプレゼン等で第三者に公開してしまうと、その時点で新規性が失われ、特許を取得できなくなってしまうのです【4】。この点を知らずに発明を先に公開してしまい、後から特許出願しても認められないという失敗も中小企業で散見されます。
対策: 先願主義による「出遅れ」の失敗を防ぐには、以下のような対策を講じましょう。
- 発明完了後は速やかに出願: 発明が完成したら可能な限り早く特許出願手続きを行い、最先の出願日を確保します。日本の特許制度では一日でも先に出願した者に特許権が与えられるため、他者より早く出願することが何より重要です【1】。実際、発明者が先に発明していても他人に先を越されて出願されれば負けになってしまうという厳しい原則だと指摘されています【8】。したがって、技術開発に専念する場合でも特許出願の準備を並行して進め、タイミングを逃さないようにしましょう。
- 公開前の出願徹底: 製品の発売や発表よりも先に必ず特許出願を済ませます。一度公開してしまった発明は新規性がないと見なされ特許になりません【2】。自社発明を外部に示す際は秘密保持契約(NDA)を結ぶ、もしくは事前に仮出願(プレ出願)するなど、情報漏洩と先願確保の対策を徹底します。特に展示会やウェブ上での情報発信はタイミングに注意が必要です。
- グローバル展開も見据えた対応: 海外市場に進出する可能性がある発明では、国内出願だけで安心してはいけません。各国でも基本的に先願主義が採用されており、海外での特許取得戦略も早めに検討する必要があります。事例として、ある企業D社は国内で成功した製品を海外展開しようとしましたが、海外では出願をしていなかったため他社に先を越され、主要市場で製品を販売できなくなってしまいました【3】。こうした失敗を防ぐには、必要に応じてPCT国際出願の活用や各国での早期出願を行い、海外でも自社の発明の先願日を確保することが重要です。
以上のように、先願主義への対策としては「早めの出願」と「公開前の厳重な発明管理」が肝要です。発明の完成から出願までのスピードを意識し、社内の意思決定や手続きを迅速化する体制を整えておきましょう。
特許と事業戦略の不整合が招く失敗と対策
発明そのものや特許制度への対応だけでなく、特許を取得・活用する戦略が自社の事業方針と合っていない場合にも失敗が起こります。事業戦略と知財戦略の整合性を欠いたまま特許を取得しても、十分なリターンを得られなかったり無駄な投資になったりする可能性があります【6】。
典型的な失敗例としては、「ビジネス上活用できない特許」を取得してしまうケースが挙げられます。例えば、社長が若い頃にマニア的な思いつきで特許出願したものの、肝心の商品化には至らず無駄に終わってしまった――というような経験を経て、特許の本当の活用の重要性に気づいた企業もあります【5】。このケースでは、アイデアに飛びついて特許を取ったものの事業に結びつかず、費用と時間だけが消えてしまったわけです。特許出願には出願料や弁理士費用、権利維持費用などコストもかかるため、事業戦略と無関係な特許を闇雲に出願することは大きなリスクとなります。
一方、事業戦略との不整合は「取るべき特許を取らなかった」場合にも表れます。本来保護すべき自社のコア技術を特許化しておらず、後になって模倣を許してしまうケースや、将来的に重要になる技術の特許を早期に押さえていなかったため機会損失につながるケースです。また、事業の方向転換により、それまで取得してきた特許群が新事業と噛み合わなくなることもあります。事業の成長に寄与すべく取得した知財であっても、事業に軌道修正が生じれば不可避的に事業と知財に不整合が生じるのです【9】。こうしたギャップを放置すると、取得特許の活用率が低下し、知財コストばかりかさんでしまうでしょう。
対策: 特許戦略を常に自社の事業戦略と擦り合わせ、投資対効果を考慮した知財活動を行うことが重要です。
- 特許取得の優先度付け: 自社の事業領域や将来計画を踏まえ、どの発明を特許出願すべきか優先度を付けます。自社の強みとなるコア技術や競合との差別化に直結する発明は積極的に権利化し、それ以外(周辺的な改良やニッチなアイデア)は費用対効果を見極めて検討します。限られた資源を有効活用するため、経営戦略と知財戦略の整合性を常に意識しましょう【6】。
- 定期的なポートフォリオ見直し: 保有特許(特許ポートフォリオ)が現行の事業に合致しているか定期的に点検します。事業の方向性が変わった場合には、新たに必要となる特許の取得検討や、不必要になった特許の維持コスト見直しなどを行います。実際、特許維持費用を安易に削減しようと権利を放棄したところ、その特許技術が後に市場で重要になり大きな機会損失を被った例もあります【3】。こうした失敗を避けるため、特許の維持・放棄の判断は長期的な視点で行い、将来性のある技術の権利は安易に手放さないようにします【3】。
- 知財活用戦略の構築: 取得した特許は眠らせずに事業に活用することを考えます。自社製品・サービスで活用するのはもちろん、活用しきれない特許はライセンス供与や譲渡によって収益化を図ることも一策です。特許が競合他社との提携交渉やクロスライセンスのカードになる場合もあります。自社の知的財産を「攻め」と「守り」の両面で活かし、ビジネス成果につなげる視点を持ちましょう。
以上を実践することで、特許への投資効果を高め、事業成長に資する知財戦略を展開できます。特許と事業計画を切り離して考えるのではなく、経営層と知財担当が連携してプランを策定・見直ししていくことが成功の鍵です。
他社特許の侵害による失敗と対策
最後に、他社の特許権への対応不足による失敗例です。せっかく自社で開発した製品も、他社の特許権を侵害していれば販売差し止めや損害賠償といった深刻なリスクが生じます。他社権利の存在を調査せずに製品を市場投入してしまい、後から特許権侵害の警告書を受け取って慌てるケースは少なくありません。
特に注意すべきなのは、自社が新製品を開発する段階で他社の特許をきちんと調べていない場合です。開発した技術が他人の特許権を侵害していないかの確認は、新商品開発において必須の項目です【7】。他社の特許を調べずに製品を出してしまうと、後で競合企業から販売中止を求められたり、特許訴訟を起こされたりする可能性があります。
実際、大手企業は自社の市場を守るために、新規参入企業や新製品に対して特許権侵害の警告状を送付してくることがよくあります【4】。中には、実際には侵害していない場合でも牽制のために警告してくるケースもありますし、逆に「問題ないだろう」と判断していたら実は他社特許に抵触していて訴訟に発展する例もあります【4】。いずれにせよ、他社の知的財産を軽視すると自社の事業継続に致命的な打撃を受けかねません。
対策: 他社特許の侵害リスクを避けるため、次のような対策が重要です。
- 出願状況の事前調査(FTO調査): 新製品や新技術の企画段階から、関連分野の既存特許や出願情報を調査しましょう。他社が既に特許を取得している技術に自社製品が抵触していないかをチェックすることは、新商品開発の基本です【7】。特許庁が提供するデータベースや特許情報プラットフォームを活用したり、専門の特許調査サービスを利用したりして、自社技術と他社特許の重複がないか確認します【2】。これにより、開発段階で侵害リスクの高い設計を発見して回避することができます。
- 警告への適切な対応: 万一、他社から特許侵害の警告書が届いた場合は、決して放置せず迅速かつ慎重に対応します。まず警告対象となっている特許の状況を詳しく調査し、権利が有効か、無効理由はないか、自社製品との関係(技術的範囲の検討)、回避可能かなどを専門家とともに検討します【4】。その上で、侵害の事実がない場合は根拠を示して反論し、もし一部でも侵害の恐れがある場合には製品改良やライセンス交渉などの対策を検討します。適切な対応次第では、訴訟に発展せず解決できる可能性もあります。
- 継続的な他社特許モニタリング: 自社の事業分野における他社の特許出願・取得動向を定期的にウォッチしておくことも有効です。競合他社がどのような技術分野に注力し、どんな特許を取っているかを把握することで、自社の開発戦略にも反映できますし、将来的な侵害リスクに備えることができます【2】。特許情報を活用したパテントマップ分析なども有用でしょう【2】。
以上のような対策を講じることで、他社特許に起因するトラブルを未然に防ぎ、安心して事業展開を行うことができます。特許侵害リスクは企業規模に関係なく存在するため、特に中小企業やスタートアップでも油断せず知財面のリスク管理を徹底しましょう。
特許で失敗しないための対策まとめ
ここまで、特許に関する代表的な失敗事例とその対策を見てきました。特許出願の不備、先願主義への対応ミス、特許と事業戦略の不整合、他社特許への無関心といった失敗は、いずれも適切な知識と準備で回避可能です。それぞれの対策を総合的に実践することで、自社の知的財産を確実に守り、ビジネス上の優位性につなげることができるでしょう。
重要なのは、特許取得をゴールとせず、その先の活用まで見据えることです。特許は単なる権利証書ではなく、競争力強化や収益機会創出の手段です。失敗事例に学んで体制を整えれば、特許は事業成長の強力な武器となります。社内で知財戦略を共有し、必要に応じて特許事務所など外部の力も借りながら、「失敗しない特許戦略」を構築してください。
なお、特許の収益化を目指す方は、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)への無料登録もぜひご検討ください。自社では活用しきれない特許を必要とする企業に繋げることで、眠っていた特許から新たなビジネス価値を生み出すチャンスが広がります。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献:
- 森國際特許事務所「【基礎】発明が特許を受けるためには?」(2020年10月13日公開) https://moripat.net/2020/10/13/588_patent_basic02/
- Patent Releace(パテントリリース)「特許出願成功の秘訣!スムーズに申請する方法と注意点」(2023年9月5日公開) https://patentrelease.com/?p=68
- プロスパイア法律事務所「スタートアップが知っておくべき特許戦略!基礎知識とよくある失敗例」(2025年1月16日公開) https://prospire-law.com/articles_venture/25011601/
- 横浜シグマ国際特許事務所「知財の失敗事例」 https://yokohama-sigma.com/columns/etc/failure-case1/
- 一般社団法人知的財産教育協会「知的財産活用失敗事例の考察」(2015年) http://ip-edu.org/library/pdf/csme/csme_report_2015_miyake.pdf
- 経済産業省 METI Journal「投資家も注目する知財戦略。カギを握る『企業の情報開示』」(2023年) https://journal.meti.go.jp/p/23593/
- ものづくりドットコム「特許確認と新製品」(2018年11月21日公開) https://www.monodukuri.com/jirei/article/1198
- 弁理士法人M&Partners「特許管理において最も重要な点」(2019年3月22日公開) https://www.moriwakipat.com/jp/blog/201903221441
- 日本知的財産協会(JIPA)「ゼロからの知財戦略」(2021年) http://www.jipa.or.jp/kaiin/kikansi/honbun/2021_05_644.pdf

