海外企業との特許ライセンス:契約交渉のポイント

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
本記事では、海外企業との特許ライセンス契約に関する交渉のポイントを10項目に分けて解説します。多国籍企業との取引では、国内企業同士の契約とは異なる法的リスクや実務上の注意点が数多く存在します。本稿が、士業や大学関係者、企業知財部門の方々の実務に少しでも役立てば幸いです。
海外企業との特許ライセンス契約:事前準備と法制度の確認
海外との特許ライセンス契約では、まず交渉相手国の知的財産法制度や商習慣、輸出入規制などを十分に調査することが大切です[1]。特許権の効力は属地主義の下にあり、日本で取得した特許権が海外でそのまま通用するわけではありません。そのため、対象国で有効な特許を保有しているかを確認する必要があります。
また、契約書作成前に現地弁護士や弁理士の助言を受けることも推奨されます。言語の壁や文化的な違いにより、同じ言葉でも解釈が異なるケースがあるからです。契約当事者双方が契約条件を正しく理解できるよう、翻訳文のチェックや二重言語契約のすり合わせを綿密に行いましょう。
海外企業との特許ライセンス契約:契約言語と翻訳
国際契約では英語が用いられることが多いものの、日本語と英語で法律用語のニュアンスが異なる場合があります[2]。契約書を二か国語で作成する際には、どちらの言語版を優先するかを明記することが必須です。
誤訳が生じると、後の紛争時に契約解釈を巡る論争に発展しかねません。専門的な法務翻訳の経験者やバイリンガルの弁護士、弁理士を交えてドラフトを精査するとともに、最終的な契約の正本がどちらかを示す「言語条項」を契約書に組み込みましょう。
海外企業との特許ライセンス契約:準拠法と紛争解決条項
特許ライセンス契約では、準拠法と紛争解決方法を定める条項が欠かせません[3]。準拠法とは、契約や紛争に適用される法律のことです。日本企業としては日本法を希望することが多いですが、相手側から相手国の法を指定される場合もあり得ます。
また、紛争解決条項として訴訟を選択するか、仲裁機関(ICCなど)を利用するかも交渉ポイントです。国際仲裁は中立的な立場での解決が期待でき、仲裁判断は複数国で執行力を持つ利点があります。訴訟を選ぶ場合でも、どの国の裁判所に訴えるか(管轄)を明記しなければなりません。
海外企業との特許ライセンス契約:対象権利の特定と範囲
ライセンス対象となる特許や技術の範囲を、契約書の定義条項で明確に記載する必要があります[4]。特許権や商標権など公的に登録された権利については、登録番号や正式名称を列挙してどの権利を許諾するのかを特定します。ノウハウや営業秘密を含む場合には、秘密保持義務とあわせてライセンシーの利用範囲を限定する条項が求められます。
さらに、将来的な改良発明の扱いや、出願中の特許のライセンスに関しても事前に定めておくと、予想外の争いを防ぐことができます。改良技術はライセンシーが独自に開発する可能性もあり、その権利帰属やライセンス対象への組み込み条件を明確化しておきましょう。
海外企業との特許ライセンス契約:実施許諾の種類と地理的制限
ライセンスの種類としては、独占的(専用的)ライセンスか非独占的(通常)ライセンスかを明記します[5]。独占的ライセンスはライセンシーが排他的に特許を実施できるため、ロイヤルティを高めに設定することが多い一方、ライセンサー自身の実施すら制限されるケースもあり注意が必要です。
また、実施を許諾する**地域(テリトリー)**をどう定めるかも大きな争点になります。世界全域で許諾するのか、特定国や地域ブロックに限定するのかを明確にしないと、知らない間に予期せぬ地域で製品が流通してしまうリスクがあります。用途制限(どの製品または分野に使用するか)も含め、ライセンスの範囲を契約書上で具体的に規定しましょう。
海外企業との特許ライセンス契約:ロイヤルティ設定と税務対応
ロイヤルティ(実施料)の設定方法には、定額方式や売上高に応じたパーセンテージ方式などがあります。契約一時金(イニシャルフィー)を受け取る場合や、最低保証額を設けるケースも少なくありません[6]。
国際取引では、支払通貨や為替変動リスクに留意が必要です。さらに、海外から日本企業へロイヤルティを送金する際には、源泉徴収税を含む各種税務上の課題も発生します[7]。租税条約による減免措置が適用されるケースもあるため、事前に両国の税務当局が発行する書類や申告手続を確認し、契約で税金負担の帰属を明記することが大切です。
海外企業との特許ライセンス契約:期間と終了条件
契約期間は、特許の存続期間を基準とするのが一般的ですが、〇年ごとの更新制を採用するなど多様な設定が可能です[1]。中途解約や契約解除(ロイヤルティ不払い、秘密保持違反などの重大な債務不履行)の条件も定めましょう。
特許が無効化された場合の扱いについては、ライセンシーがロイヤルティの減額や返還を要求するリスクもあるため、契約書に「特許が無効となった場合のロイヤルティの取扱い」を明示しておくと紛争防止に寄与します。改良ノウハウを含んだ包括的な契約形態にしておけば、特許そのものが無効化されてもライセンス契約自体を継続する選択肢が得られる場合があります。
海外企業との特許ライセンス契約:特許維持管理と権利行使
ライセンス期間中に発生する維持年金の支払いや特許権の更新手続をどちらが行うかを取り決めておく必要があります[8]。独占ライセンスを与えている場合、ライセンシーが維持費を負担する例もありますが、最終的には特許権者の責任で対応することが多いです。
また、第三者の特許侵害に対処する際の役割分担も重要です。独占的ライセンスを受けているライセンシーが自ら侵害者を訴える権限を持つか、ライセンサーと連携して法的手続を進めるかを明文化しておきましょう[3]。国によってはライセンシーが訴訟主体となるのに制限がある場合もあるため、準拠法や現地法令の確認が欠かせません。
海外企業との特許ライセンス契約:表明保証と責任制限
特許ライセンス契約では、ライセンサーとライセンシーがそれぞれ表明保証を行うことがあります[4]。ライセンサー側は自らが正当な特許権者であることを保証するのが一般的ですが、第三者特許を完全に侵害していないことまで広く保証するのはリスクが大きい場合があります。
そこで「自ら知り得る限りにおいて第三者権利を侵害していない」といった限定的な保証に留め、万一の侵害主張が提起された場合の責任分担を取り決めるのが実務上の妥協点です。加えて、責任制限条項(逸失利益や間接損害への免責など)を組み込むことで、大きな損害賠償リスクをコントロールすることができます[9]。
海外企業との特許ライセンス契約:独禁法・輸出規制の遵守
各国の独占禁止法(競争法)では、特許ライセンス契約も反競争的な効果が生じれば違法となる恐れがあります[2]。市場分割や価格協定の強要、技術改良の制限などが典型例です。特に海外企業との取引では、契約書の一部が現地の競争当局によって違法とみなされる可能性もあるため、条項設計には専門家の確認が欠かせません。
また、輸出管理規制や安全保障貿易管理の観点で、特定の技術が軍民両用技術等に該当する場合、海外への技術移転には当局の許可が必要となるケースがあります[10]。相手国の法令だけでなく、日本側の規制についても契約段階で確認しておくことが重要です。お互いに必要な許認可手続を協力して行うよう、契約書にコンプライアンス条項を設けるなどの対策をしておきましょう。
まとめ
上記10項目は、海外企業との特許ライセンス契約交渉において特に注意したい主要ポイントです。国際的な知財契約では、想定外のリスクが多々潜んでおり、紛争が生じると長期化・高コスト化する恐れがあります。したがって、事前の準備と専門家の助言を得て、ライセンシーとの関係を円滑に構築することが大切です。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献リスト
- 経済産業省「安全保障貿易管理」
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/
2. 日本貿易振興機構(JETRO)「海外ビジネス契約ガイドライン」
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-001117.html
3. 欧州委員会(European Commission)「Technology Transfer Guidelines」
https://competition-policy.ec.europa.eu/system/files/2021-03/technology_transfer_guidelines_en.pdf
4. 国際商業会議所(ICC)「ICC Arbitration」
https://iccwbo.org/dispute-resolution-services/arbitration/
5. 世界知的所有権機関(WIPO)「Successful Technology Licensing」
https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp?id=3466
6. 特許庁「知的財産権制度概要(ライセンス契約事例集)」
https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/chizai_souhatsu/torikumi/license/index.html
7. 経済産業省「契約交渉・締結実務マニュアル」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/manual.html
8. 日本国国税庁「租税条約の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/gaiyou/joyaku.htm
9. WIPO「Maintaining Your Patent」
https://www.wipo.int/patents/en/maintaining.html
10. 国際取引法学会「国際契約における表明保証と賠償責任」
http://www.jaclap.jp/warranty_liability.html

