眠れる特許シーズの事業化:大学発ベンチャー成功の鍵

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

本記事では、大学発ベンチャーの成功要因について、士業・企業の知財担当者・大学関係者に向けて解説します。特に、研究成果の事業化を進める上で不可欠な知財収益化の重要性に焦点を当て、「現在侵害されている特許が最も価値が高い」という視点についても考察します。大学発技術をビジネスに結びつけるためのポイントを多角的に検討し、知的財産を最大限活用してベンチャーを成功に導く方策を探ります。

目次

大学発ベンチャーの現状と事業化への挑戦

大学の研究成果を基に創業する大学発ベンチャーは、日本でも重要なイノベーションの担い手となっています。近年、起業環境の整備や政策支援により大学発ベンチャーの数は増加傾向にあり、2024年時点で5,000社以上に達しています【1】。しかし、その多くは長期の研究開発期間や資金繰りの厳しさに直面し、必ずしも全てが順調に成長しているわけではありません。日本では大学発特許の数自体は米国と比肩しながらも、それらから得られる収入は米国の大学のわずか2%程度に留まるとも指摘されています【2】。この背景には、研究成果をビジネスへ橋渡しする支援人材や仕組みの不足があるとされています。実際、国内の多くの大学では起業を目指す研究者を支援するプログラムや特許の事業化を助言する専門家が不足しており、研究者自身がビジネスと研究の両立に苦慮するケースが少なくありません【2】。

こうした課題を乗り越え、大学発ベンチャーが成功するためには、以下のような複合的な成功要因が重要です。

  • 独創的な技術と市場適合性:大学由来の技術がユニークであることは前提ですが、それだけでなく市場のニーズに合致し実用化に耐えるものであることが求められます。研究成果を顧客価値に結びつけ、明確なプロダクトやサービスに落とし込む市場適合性が成功の第一条件です。
  • 経営チームと人的資源:研究者に加え、ビジネス戦略や資金調達に長けた人材をチームに取り込むことが不可欠です。技術と経営双方に精通したリーダーやメンターの存在が、研究室発の技術を事業化する推進力となります。海外のトップ大学では発明の商用可能性を見極める専門家チームが研究段階から関与しますが、日本ではそのような人的支援の不足が指摘されています【2】。
  • 資金調達と支援インフラ:ディープテック系の大学発ベンチャーは研究開発に時間とコストがかかるため、大規模な資金調達力が成長の生命線です。大学や政府系ファンド、ベンチャーキャピタルからの出資を確保するとともに、インキュベータやアクセラレータの支援を活用することが重要です。また、大学側も知財管理部門やTLO(技術移転機関)を通じてスタートアップをバックアップし、知財契約交渉や共同研究の橋渡しを行う体制づくりが望まれます。
  • 知的財産戦略の構築:そして何より、コア技術を守り育てる特許戦略と、その収益化計画が重要な鍵となります。次章では、この知財戦略と収益化の重要性について詳しく述べます。

事業化を支える特許戦略と知財収益化の重要性

大学発ベンチャーにとって、特許をはじめとする知的財産は競争力の源泉であり、防御策であるだけでなく、収益源にもなり得る資産です。自社の技術を独占できる特許権は、製品・サービス展開で他社の参入を防ぐ武器になると同時に、積極的にライセンス供与して収益化することも可能です。事実、特許権を保有する企業は未保有の企業に比べて売上や利益の成長率が高いとの分析もあり【3】、知財の保有と活用は事業成長に直結する要因といえます。

しかし現状では、「特許=出願コスト」と考えられ、せっかく取得した特許が宝の持ち腐れになってしまうケースが多いのも実情です。米国の調査によれば、全特許の約97%は、取得に要した費用すら回収できていないとの報告もあります【4】。裏を返せば、残りわずか3%の特許のみが何らかの収益を生んでいる状況であり、多くの知財が眠ったまま活用されていないことを示しています。この現状を打破するためには、大学発ベンチャーであっても初期段階から知財の収益化を見据えた戦略が必要です。

なお、特許の収益化は大企業においても重要な戦略です。例えば米IBM社は、保有特許を他社にライセンスすることで1996年以降に累計約270億ドル(約3兆円超)の知的財産収入を得たと報じられています【8】。このように「特許=コスト」ではなく「特許=利益を生む資産」と捉える発想が、大学発ベンチャーにとっても極めて重要です。

知財収益化とは、保有する特許や技術を直接製品化するだけでなく、ライセンス契約特許売却などによって外部から収入を得る取り組みです。例えば、自社では事業化しない周辺技術の特許を他企業にライセンスすれば、自社製品を持たなくてもロイヤリティ収入を継続的に得ることができます。また、使っていない特許を思い切って売却し、一時金を得て次の研究開発資金に充てることも選択肢です。このように特許を単なるコストではなくビジネス資産と捉えて活用する発想が、限られたリソースで戦う大学発ベンチャーには不可欠です。

さらに、特許を保有すること自体がスタートアップの技術力や将来性を示す指標となり、投資家や事業パートナーからの評価を高めます。投資の世界では「知財のしっかりしたスタートアップは成長見通しが良い」とも言われ、実際に知財ポートフォリオを重視するベンチャーキャピタルも増えています。大学発ベンチャーは研究者の情熱だけでなく、知財を事業の言語に翻訳し、価値を訴求する戦略を持つことで、資金と信頼を獲得しやすくなるのです。

大学とベンチャーの知財契約: 柔軟な取り組みと課題

大学発ベンチャーの知財戦略を語る上で特有の論点となるのが、大学との知財契約関係です。日本では研究成果から生まれた発明の特許は大学が保有する「機関帰属」が主流であり、ベンチャー企業は大学からその特許実施権を得て事業化を進める形が一般的です【3】。しかし過去には、大学とスタートアップとの間で特許ライセンス契約の条件交渉が難航し、過度なロイヤルティ負担がスタートアップの成長を阻害すると指摘されたケースもありました【5】。大学側にとっても知的財産の対価は貴重な収入源ですが、将来有望なベンチャーの芽を摘んでしまっては本末転倒です。

このジレンマを解消するため、近年では「出世払い方式」とも呼ばれる工夫が見られます【5】。例えば、大学が特許ライセンス料を初期には低く抑える代わりに、ベンチャーの事業成功時に株式や成功報酬でリターンを得る仕組みです。こうした柔軟な契約により、創業初期の資金負担を軽減しつつ大学にも将来的な果実をもたらすWin-Winの関係を築けます。また、一部の大学では大学発ベンチャーへの出資や知財専門人材の派遣など、積極的に事業化を後押しする動きも出ています。大学とスタートアップが協力し、知財の権利処理や戦略策定を共に進める体制が整えば、研究成果の円滑な事業化と収益創出に繋がるでしょう。

「現在侵害されている特許が最も価値が高い」の意味と知財価値評価

知財収益化の文脈でしばしば語られるのが、「現在侵害されている特許こそ最も価値が高い」という一見逆説的な格言です【6】。これは、他社によって無断で使われている技術をカバーする特許こそ、市場で真に需要があることの裏付けであり、適切に権利行使すれば大きな利益をもたらし得るという意味です。実際、特許ブローカーや知財ファンドなどは、まさに現在進行形で侵害されている特許を「お宝」として注目する傾向があります。他社が製品やサービスでその技術を使用しているという事実は、その発明の市場適合性と収益ポテンシャルを雄弁に物語っています。

もし自社(あるいは大学)が保有する特許が他社に侵害されている場合、差止請求や損害賠償請求によって、過去数年分を遡ったライセンス料相当額を得られる可能性があります。米国では特許侵害による損害賠償は最大過去6年間分まで遡って算定できる制度もあり、実際に市場で使われている特許はデューデリジェンス可能な価値として評価されます【6】。換言すれば、「侵されている特許=稼げる特許」であり、需要が証明されている分だけ将来のライセンス交渉でも高値が期待できるのです。

大学発ベンチャーにとっても、この視点は示唆に富みます。自社の特許群を定期的に棚卸しし、競合他社が類似技術を使っていないか調査することで、思わぬライセンス機会が見つかるかもしれません。仮に現時点で侵害が起きていなくとも、市場ニーズの高い分野をカバーする特許は将来のライセンス候補として温めておく価値があります。特許の価値評価を行う際には、単に技術的優位性を見るだけでなく、「その技術が市場で使われているか」「使われうる潜在需要があるか」という点を考慮することが重要です。それによって優先すべき知財と活用戦略の方向性が明確になるでしょう。

知財収益化の成功事例とベンチャーへの示唆

知財収益化の有効性を示す例としては、必ずしも大学発に限らずとも多くのケースが報告されています。例えば、ある主婦発明家が考案した洗濯機用の糸くず除去装置は、大手メーカーに特許ライセンスされて約3億円ものロイヤリティ収入を生みました【7】。また大学発ベンチャーの例では、製薬・バイオ分野のスタートアップが自社の創薬特許を基に大手製薬企業と提携し、多額のアップフロント契約金やマイルストーン収入を得て事業を軌道に乗せたケースなどが知られます。これらの背景には、独創的な知見を権利化していたことと、適切なライセンシー(実施企業)を見つけて有利な条件で契約を結べたことが共通しています。知財を抱えるベンチャーにとって、成功の鍵は「技術の価値を理解し、それを必要とするパートナーに届ける」ことに他なりません。

一方で、知財収益化には戦略眼と粘り強い交渉も求められます。ライセンス交渉では契約条件(初期一時金、ランニングロイヤルティ、契約範囲など)によって将来の収益が大きく左右されるため、専門知識を持つ弁理士や契約専門弁護士の助言が不可欠です。また、特許をライセンスするか自社で独占実施するかの判断も経営戦略に関わります。競争優位の核となる特許は安易に他社へ許諾せず、自社の独占市場を築く選択が適切な場合もあります。そのため、自社技術のコアと周辺を見極め、収益最大化につながる形で知財ポートフォリオを運用することが重要です。

特許収益化を促進するプラットフォーム「PatentRevenue」の活用

知財収益化を図りたいと考える特許保有者にとって、有効な手段の一つが専門プラットフォームの活用です。株式会社IPリッチが提供する特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」は、特許を活用したい企業と、特許を提供したい権利者とのマッチングを支援するサービスです。特筆すべきは、収益化したい特許を無料で登録できる点で、大学発ベンチャーや個人発明家が自らの特許情報を公開し、潜在的なライセンシーや買い手を募ることが可能です。「PatentRevenue」上では、特許の技術分野や活用例とともに掲載することで、関心を持つ企業からのコンタクトを待つだけでなく、IPリッチの知財コンサルタントによるマッチングサポートも受けられます。

このようなプラットフォームを活用すれば、自社では事業化しきれない技術シーズであっても、他社との協業やライセンスによって知財の眠れる価値を掘り起こすことができます。研究者が一から営業先を探さずとも、技術を必要とする企業と出会える場が提供されることで、知財の流動性が高まり、新たなイノベーションの連鎖が生まれるでしょう。大学発ベンチャーにとっても、「PatentRevenue」への登録は自社特許の可能性を試し、思わぬ事業機会を得る有効な選択肢となり得ます。ぜひ手元の特許を眠らせず、社会とビジネスに役立てる一歩として、「PatentRevenue」への無料登録を検討してみてください。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. 経済産業省「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査 結果(速報)」(2025年6月) — https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250606004/20250606004.html
  2. 園田・小林知的財産法律事務所「Behind the Curve: Japan’s Struggle with University Patents」(Lexology, 2024年4月1日) — https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=dd0c51e4-0789-4448-a7c7-c547b61bf043
  3. 特許庁「中小企業者の知的財産活動の実態に関する分析結果」(平成29年度調査) — https://www.jpo.go.jp/resources/report/chiiki-chusho/document/report_chusho_chizai/honpen_3-3.pdf
  4. Stephen Key “In Today’s Market, Do Patents Even Matter?” (Forbes, 2017年11月13日) — https://www.forbes.com/sites/stephenkey/2017/11/13/in-todays-market-do-patents-even-matter/
  5. 経済産業省 産業技術環境局 大学連携推進室「大学発ベンチャーの成長は『出世払い方式』で加速できるか」(産学連携ジャーナル, 2019年) — https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangakukanjournal/15/7/15_28/_pdf/-char/ja
  6. 日本貿易振興機構ニューヨーク事務所「米国における知財の活用状況に関する調査報告書」(2025年3月) — https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2025/202503.pdf
  7. 日本弁理士会「特許で巨万の富を築く人物も!みんなが気になるライセンス収入事情とは」(社長の知財エピソード) — https://www.jpaa.or.jp/shacho-chizai/episode/%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%81%A7%E5%B7%A8%E4%B8%87%E3%81%AE%E5%AF%8C%E3%82%92%E7%AF%89%E3%81%8F%E4%BA%BA%E7%89%A9%E3%82%82%EF%BC%81-%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%8C%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B/
  8. Bloomberg (Taipei Times経由)「IBM loses top patent spot after decades as US No.1」(2023年1月9日) — https://www.taipeitimes.com/News/biz/archives/2023/01/09/2003792230
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