特許を巡る最新トレンド5選:AIからグリーン技術まで

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

この記事では、現代の技術革新を映し出す5つの特許トレンド(AI、グリーン技術、バイオテクノロジー、フィンテック、モビリティ)について解説します。最新の知財トレンドを押さえておくことで、技術戦略や経営判断のヒントにしていただければ幸いです。各分野で特許出願がどのように伸びているのか、注目すべきポイントや今後の展望を見ていきましょう。

目次

AI特許トレンドの最新動向

人工知能(AI)分野の特許出願は近年爆発的に増加しています。世界知的所有権機関(WIPO)の調査によると、2010年代以降のAI関連発明は公開件数ベースで全体の半数以上を占めるようになりました【1】。特に2013年以降にAIブーム(第3次AIブーム)が起きてから、出願件数が急増しています【2】。米国や中国がこの分野の特許出願をけん引しており、企業ではIBMやマイクロソフトなどがAI特許のリーダーとなっています【1】。例えば、日本でも特許庁の報告によればAI関連の国内特許出願件数は2014年以降急増し、2022年には約1万0300件に達しました【2】。AI技術では機械学習(ディープラーニング)が中心であり、画像認識や自然言語処理、自動運転など幅広い応用領域で特許が出願されています。今後も生成AI(チャットボットや画像生成AIなど)の登場もあり、AI特許はますます増えていく見込みです。各国の特許庁もAI関連発明を通常のコンピュータ発明と同様に審査する方針を示しており【1】、ビジネスにおいてもAI技術の特許取得が競争力の鍵を握るでしょう。

グリーン技術特許のトレンド

地球環境への意識の高まりとともに、グリーン技術(環境対応・クリーンエネルギー分野)の特許出願も活発化しています。再生可能エネルギー(太陽光、風力など)、蓄電池、水素技術といった分野では技術開発が進み、それに伴い特許出願件数も年々増加傾向です。世界全体では低炭素技術に関する発明の特許出願が2023年に約101,000件に達し、前年から20%増加しました【3】。これは全世界のグリーン関連特許の半数以上を占める規模で、中国が特に大きな役割を果たしています【3】。中国企業は電気自動車(EV)や高性能電池といった新エネルギー技術への投資を強化し、多数の特許を出願しています【3】。一方、欧州でもクリーン技術の特許出願が伸びており、欧州特許庁(EPO)の2023年特許インデックスによれば電気機械・エネルギー分野の特許出願が前年比+12.2%と全技術分野中で最大の伸びを示しました(特にバッテリー関連は+28%)【4】。また、日本もグリーン・トランスフォーメーション(GX)技術の分類を策定し、特許動向の分析を進めています【3】。このように、カーボンニュートラル実現に向けて世界中で環境対応技術の知財確保が重要視されているのです。今後は気候変動対策の国際目標に合わせ、クリーンエネルギーや省エネ技術の特許出願はさらに増加するでしょう。

バイオテクノロジー特許のトレンド

医療・ヘルスケアを中心としたバイオテクノロジー分野も、特許出願が活発な領域です。遺伝子工学、創薬、医療機器、バイオ素材など多岐にわたる技術革新が起きており、それが特許件数にも表れています。欧州特許庁のデータでは、バイオテクノロジー関連の特許出願は2023年も前年比+5.9%と堅調に増加しました【4】。世界的に見ると、バイオ特許は全特許の約5%程度を占めると言われます【5】。米国がバイオ特許の分野では突出して多くの出願を行っており、欧州や中国もそれに続いています【5】。近年ではmRNAワクチンの技術やCRISPRなどのゲノム編集技術が脚光を浴び、それに関連する特許も多数成立しています。実際、新型コロナウイルス感染症への対応でもワクチン・治療薬開発において各国の企業・大学が特許を出願し、バイオ医薬の重要性が再認識されました。バイオ系の発明は研究開発に長い年月とコストがかかりますが、その分画期的な成果が出れば大きなビジネス価値を生むため、特許による独占権の確保が重要です。今後、再生医療や個別化医療の進展に伴い、この分野の特許競争はさらに激化していくでしょう。

フィンテック特許のトレンド

金融とテクノロジーの融合であるフィンテック領域でも、特許出願が増加しています。キャッシュレス決済やブロックチェーン、デジタルバンキングなど、金融サービスのデジタル化が進む中で各社が関連技術の知財を押さえようと競っています。近年の特許データを見ると、フィンテック関連の出願件数は保険テック(インシュアテック)なども含め依然高水準にあります。例えば中国の大手企業である平安保険(Ping An)はフィンテック分野で8,582件もの特許を保有しており、これは業界全体の2%以上に相当する世界トップの件数です【6】。また、米国の大手銀行やカード会社(バンク・オブ・アメリカやVisaなど)も数多くのフィンテック特許を取得しており、金融取引の高速化・安全化、AIによる与信や不正検知、スマートコントラクトを活用した決済システムなど、多岐にわたる技術分野で特許競争が起きています。ブロックチェーン技術に関する特許も2010年代後半に急増し、世界で累計1万件近くが成立したとされています【7】。近年は暗号資産(仮想通貨)ブームの沈静化もあり出願ペースはやや落ち着いてきましたが、それでも分散台帳技術やデジタル通貨基盤に関する発明は各国で注目されています。フィンテック企業にとって、自社のサービスやプラットフォームを特許で保護することは市場参入障壁を築く上で重要です。今後は中央銀行デジタル通貨(CBDC)関連の技術や、より高度なセキュリティ技術などで各社が特許出願を競い合うことが予想されます。

モビリティ特許のトレンド

次世代の移動手段や交通技術(モビリティ)分野も特許動向が活発です。電気自動車や自動運転、ドローンといった技術革新によって、従来の自動車産業の枠を超えた特許競争が起きています。モビリティ分野の主なトレンドを3つに分けて見てみましょう。

  • 電動化(EV・次世代モビリティ):ガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトに伴い、大手自動車メーカーから新興EVメーカーまで電動パワートレインや電池管理システムの特許を大量に出願しています。トヨタ自動車は過去20年で蓄積したEV・ハイブリッド技術に関する約24,000件の特許を2019年に公開し、他社にライセンス提供する戦略を打ち出しました【8】。中国の新興EVメーカーであるNIO(蔚来汽車)も、この10年ほどで世界累計9,000件近い特許を出願・取得しており【3】、電池交換技術やスマートEVに関する知財を急速に蓄積しています。電動キックボードや空飛ぶクルマなど新しいモビリティ形態にも関連特許が出始めており、電動化の波及は自動車以外にも広がっています。
  • 自動運転(高度運転支援):AIとセンサー技術の発達により、自動運転車の実現に向けた特許も数多く生まれています。主要な自動車メーカーやIT企業は、LiDAR(ライダー)や画像認識、走行制御アルゴリズムなど自動運転の核となる技術を巡って熾烈な特許競争を展開しています。特にトヨタは自動運転関連の特許ファミリー数で世界トップクラスにあり、2010年代から継続してこの分野に投資しています【10】。他にもGMやホンダ、テスラ、ウェイモ(Google)などが自社の自動運転技術を特許で保護しています。完全自動運転(レベル5)の実現には技術的課題も多いですが、その過程で生まれる周辺技術(運転支援や車車間通信など)も含めて特許が積み上がっており、モビリティの知財競争は自動車産業の競争軸となっています。
  • ドローン・空域モビリティ:空を活用した新たな移動・物流手段としてドローン技術も特許出願が急増しています。世界のドローン関連特許出願件数は2022年の16,800件から2023年には19,700件へと16%も増加しました【9】。軍事や物流、農業などでドローンの需要が高まり、各国で研究開発が進んでいることが背景にあります。特に中国企業の存在感が大きく、2015年以降のドローン特許の82%が中国から出願されており、2023年にはその割合が87%に達しました【9】。民生用ドローン最大手のDJIはドローン技術で世界最多の特許を有するとされ、毎年革新的なアイデアを特許出願しています。日本企業も物流ドローンや空飛ぶクルマ(有人ドローン)での特許取得を進めつつあり、空のモビリティ分野でも知財戦略が重要となっています。

以上のように、モビリティ分野では陸海空それぞれで新技術の特許出願が相次ぎ、従来の交通手段を再定義するようなイノベーションが起きています。今後も電動化・自動化・空の活用が進む中で、この領域の特許競争はグローバルに活発化すると考えられます。

おわりに:特許のトレンドを味方にビジネスを強化

ここまで見てきたように、AIからグリーン技術、バイオ、フィンテック、モビリティまで、特許を巡る最新トレンドは現代の産業動向と強く結び付いています。各企業は将来の市場を見据えて研究開発と特許出願に投資し、自社の知的財産ポートフォリオを充実させています。特許は単なる権利保護に留まらず、他社とのアライアンス交渉や資金調達の際の評価にも影響する重要な経営資源です。ぜひ自社の事業分野に関連する特許動向を注視し、イノベーション戦略に活かしてみてください。

なお、自社の特許を収益化したいとお考えの特許保有者の方は、「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)への無料登録も検討してみてください。眠っている特許資産を活用して、新たな収益機会を創出するチャンスです。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献リスト

  1. WIPO Press Release (2019年1月): “WIPO’s First Technology Trends Study Probes Artificial Intelligence” – 2013年以降にAI関連の特許出願が急増していると報告したWIPO初のテクノロジートレンド調査。 URL: https://www.wipo.int/about-ip/ja/artificial_intelligence/news/2019/news_0002.html
  2. 特許庁 (2024年10月): 「AI関連発明の出願状況調査 報告書」 – 日本におけるAI関連特許出願が2014年以降急増し、2022年に約1万0300件となった現況を分析した報告書。 URL: https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/ai/document/ai_shutsugan_chosa/hokoku.pdf
  3. 新華社 (2024年8月16日): 「Green patents boost innovative growth」 – 2023年に中国のグリーン・低炭素関連発明の特許出願が101,000件に達し、世界全体の半数以上を占めたことを伝える記事(中国国家知識産権局の報告)。 URL: https://english.www.gov.cn/news/202408/16/content_WS66bf0e2bc6d0868f4e8e9fc6.html
  4. 欧州特許庁 (2024年3月19日): 「Patent Index 2023 – Innovation in digital and clean-energy technologies boosts demand for patents in Europe」 – 欧州特許庁が発表した2023年の特許出願動向。デジタル通信やクリーンエネルギー技術の出願増加(電気機械・エネルギー分野+12.2%など)やバイオテクノロジー分野の増加(+5.9%)を示す。 URL: https://www.epo.org/news-events/news/2024/20240319.html
  5. European Commission, Joint Research Centre (2024年3月20日): “The global landscape of biotech innovation: state of play” – 2001〜2020年における世界のバイオテクノロジー特許動向を分析した報告。バイオ特許が全体の約5%で、米国39%、欧州18%、中国10%のシェア(2020年時点)を示している。 URL: https://joint-research-centre.ec.europa.eu/jrc-news-and-updates/global-landscape-biotech-innovation-state-play-2024-03-20_en
  6. Ping An保険グループ プレスリリース (2025年3月7日): “Ping An Tops Global Patentee Top 10 List, Leading in Fintech and Healthcare” – 平安保険(Ping An)がフィンテック分野で8,582件の特許を保有し世界一であること(業界全体の2%以上)を伝えるリリース。 URL: https://group.pingan.com/media/news/2025/pingan-tops-global-patentee-top-10-list-leading-in-fintech-and-healthcare.html
  7. Kramer Levin法律事務所 (2023年5月15日): 「Blockchain Patents and Litigation – Updated May 2023」 – ブロックチェーン関連の特許出願は近年ピーク後にやや減速したものの、累計で約1万件近くの特許が発行済みであると解説する記事。 URL: https://www.kramerlevin.com/en/perspectives-search/blockchain-patents-and-litigation-updated-may-2023.html
  8. トヨタ自動車 (2019年4月3日): 「電動車技術の特許約2万4000件の無償提供について」 – ハイブリッド車など電動車技術に関する約24,000件の特許を2030年まで無償開放すると発表したニュースリリース。 URL: https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/27512455.html
  9. Mathys & Squire法律事務所 (2024年5月14日): 「Number of drone patents filed worldwide jumps 16% in past year」 – ドローン技術の特許出願が2022年から2023年にかけて16%増加し、中国企業による出願がその87%を占めたとの調査結果。 URL: https://www.mathys-squire.com/insights-and-events/news/number-of-drone-patents-filed-worldwide-jumps-16-in-past-year/
  10. Statista (2023年データ): 「Leading owners of autonomous driving patents 2013-2022」 – 自動運転技術に関する主要企業の特許保有数ランキング。2022年時点でトヨタが1,823件の自動運転関連特許ファミリーを保有し世界最多であることを示す。 URL: https://www.statista.com/statistics/1281247/leading-companies-patent-family-size-autonomous-driving/
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