実は身近!あのヒット商品の裏にある、思わず誰かに話したくなる意外な知財ストーリー

株式会社IPリッチのライセンス担当です。知的財産、略して「知財」。この言葉を聞くと、なんだか難しくて、自分たちの生活とは縁遠い専門的な世界を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実はその知財こそが、私たちが毎日手に取る商品や、世界中を席巻したサービスの裏側で、驚くほどドラマチックな物語を紡ぎ出しているのです。この記事では、固いイメージを覆す、身近なヒット商品に隠された意外な知財ストーリーを紐解いていきます。
チョコレート菓子の「形」が資産に?ポッキーの立体商標とブランド戦略
多くの人が一度は食べたことがあるであろう、江崎グリコの国民的お菓子「ポッキー」。あの細長いスティックにチョコレートがコーティングされた独特の形状は、誰が見ても「ポッキーだ」とわかるほど、私たちの記憶に深く刻み込まれています。しかし、その「形」そのものが、法的にブランドとして認められるまでには、発売から60年という長い歳月が必要でした 。
2025年7月25日、特許庁はポッキーの商品形状そのものを「立体商標」として正式に登録しました(登録第6951539号)。これは、ロゴや商品名が一切なくても、その立体的な形状だけで特定のブランドの商品だと消費者が認識できる「識別力」が認められたことを意味します。食品の中身の形状だけでこの識別力が認められるのは、極めて珍しいケースです 。
では、なぜこれほどまでに画期的な登録が認められたのでしょうか。そして、なぜ60年もかかったのでしょうか。
立体商標の高いハードルと「使用による識別力」
通常、商品の形状は機能性やデザインの一部と見なされ、特定の企業が独占する権利(商標権)の対象とはなりにくいのが実情です。もし簡単な形状を一つの企業が独占できてしまえば、公正な競争が妨げられる可能性があるからです。そのため、形状だけで商標として認められるには、「長年の使用によって、その形が特定のブランドの代名詞として消費者の間に広く浸透した」という事実を証明しなくてはなりません。これを法律用語で「使用による識別力の獲得(セカンダリー・ミーニング)」と呼びます 。
ポッキーの場合、1966年の発売以来、半世紀以上にわたって一貫して同じ形状で販売され続け、世界30カ国で年間約5億箱を売り上げるなど、圧倒的な市場での存在感を示してきました 。この長年の歴史と広範な認知度こそが、特許庁に「この形は、もはや単なるお菓子の形状ではなく、江崎グリコのポッキーを指し示す記号である」と認めさせた決定的な証拠となったのです。
先駆者ヤクルト容器に学ぶ、ブランド保護の長期的戦略
実は、ポッキーと同様の苦難の道を乗り越え、立体商標を勝ち取った先輩がいます。それは、あの独特なくびれを持つ「ヤクルト」の容器です 。
ヤクルトの容器もまた、当初はありふれた形状と見なされ、立体商標の登録を拒絶されていました。しかし、ヤクルト社は諦めませんでした。彼らはまず、1965年に容器のデザインを「意匠権」で保護しました 。意匠権は、製品の新しいデザインを保護する権利ですが、存続期間が出願から25年(旧法では15年)と限りがあります 。意匠権が切れると、理論上は誰でもそのデザインを模倣できるようになってしまうのです。
意匠権の保護期間が過ぎた後、ヤクルト社は戦略を切り替え、立体商標の登録へと舵を切ります。2008年の再挑戦で、ついに登録が認められました(商標登録第5384525号)。その決め手となったのは、消費者調査の結果でした。調査では、容器から文字やロゴをすべて消した状態で見せても、実に98%以上の人が「ヤクルトを思い浮かべる」と回答したのです 。
興味深いのは、裁判所が市場に存在する多数の類似品、いわゆる「ヤクルトもどき」の存在をどう評価したかです。通常であれば、類似品が多いことは「ありふれた形状」であることの証拠と見なされかねません。しかし、このケースでは逆でした。消費者がそれらの類似品を明確に「ヤクルトの模倣品」や「そっくりさん」と認識しているという事実が、かえって本家であるヤクルト容器の形状がいかに強力な識別力を持っているかを証明することになったのです。
このポッキーやヤクルトの事例は、単なる知財トリビアではありません。それは、製品デザインの保護における巧みな長期戦略を示しています。まず意匠権で発売当初のデザインを保護し、その間にブランド価値を徹底的に高める。そして、意匠権が切れる頃には、その形状が消費者の頭の中でブランドと完全に一体化するレベルにまで育て上げ、半永久的な権利である立体商標でバトンをつなぐ。これは、何十年にもわたる一貫したマーケティングとブランド管理の賜物であり、知的財産を駆使した企業戦略の最高峰と言えるでしょう。
一つの特許が巨大自動車メーカーの礎を築いた、トヨタ創業の知財ストーリー
今や世界を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車。その巨大な企業が、実は一台の「織機」に関する一つの特許から生まれたという事実は、あまり知られていません。これは、知的財産が単なる権利保護のツールではなく、新たな産業を創造する原動力となり得ることを示す、最も象徴的な物語です。
物語の主役は、トヨタグループの創業者である豊田佐吉氏。生涯を通じて119件もの発明を成し遂げた「発明王」です 。彼の最高傑作とされるのが、1924年に完成した「G型自動織機」でした 。この織機は、糸が切れたり横糸がなくなったりすると自動で停止し、杼(ひ)の交換も無停止で行えるという画期的な性能を誇り、生産性を飛躍的に向上させました。
10万ポンドの特許ライセンス契約
このG型自動織機の評判は、瞬く間に世界に轟きました。そして1929年、当時世界トップクラスの繊維機械メーカーであったイギリスのプラット社が、その特許権の譲渡を申し出ます 。契約のためにイギリスへ渡ったのは、佐吉氏の息子である豊田喜一郎氏でした 。
そして結ばれた契約の対価は、10万ポンド 。当時の日本円で約100万円に相当する金額でした。現代の価値に換算すれば数十億円とも言われるこの巨額の資金が、トヨタ自動車の設立に向けたすべての始まりとなります。
佐吉氏は、この特許ライセンス料を元手に、日本の未来のために新たな事業を興すことを決意します。彼は病床で喜一郎氏にこう遺言しました。「わしは織機で国に尽くした。お前は自動車をつくれ。自動車をつくってお国のために尽くせ」と 。
この父の遺志と、特許によって得られた資金を受け継いだ喜一郎氏は、豊田自動織機製作所内に自動車部を設立。数々の困難を乗り越え、1937年にトヨタ自動車工業株式会社として独立を果たします。つまり、織機の発明という一つの知的財産を収益化したことが、日本の基幹産業である自動車産業の巨人を育てるための、文字通りの「種銭(たねせん)」となったのです。
この物語は、私たちに二つの重要な教訓を与えてくれます。 第一に、知的財産が持つ金融資産としての側面です。特許は、他社の模倣を防ぐ「盾」であると同時に、ライセンスや売却を通じて莫大な資金を生み出す「資産」でもあります。豊田親子は、繊維機械という成熟しつつあった事業で得た知財価値を、自動車という未来の産業へ投資するという、大胆な事業転換を成し遂げました。知財の価値を正しく評価し、それを戦略的に活用することが、いかに企業の未来を切り拓く力になるかを示しています。
第二に、発明の価値が国境を越える普遍性を持つことです。プラット社というイギリスの名門企業が、日本の発明に対してこれほどの高額な対価を支払ったという事実は、G型自動織機の技術がいかに世界レベルで革新的であったかを物語っています。優れた発明は、国内市場にとどまらず、グローバルな市場でその価値を認められる可能性を秘めているのです。トヨタの創業史は、日本の技術が世界に通用することを証明し、その知財価値を未来への投資に繋げた、輝かしい成功事例と言えるでしょう。
特許の権利行使「しない」戦略?世界に普及したQRコードの逆転の発想
今や私たちの生活に欠かせないツールとなったQRコード。スマートフォンのカメラをかざすだけで、ウェブサイトにアクセスしたり、キャッシュレス決済をしたりと、その利便性は計り知れません。この便利な技術が、1994年に日本のデンソー(現デンソーウェーブ)によって発明されたことはご存知の方も多いでしょう 。しかし、その爆発的な普及の裏には、常識を覆す巧みな知財戦略がありました。
通常、企業が画期的な技術を開発した場合、特許を取得し、他社がその技術を使用する際にはライセンス料(ロイヤリティ)を徴収するのが一般的です。しかし、デンソーウェーブは全く逆の道を選びました。彼らはQRコードの技術仕様をオープンにし、特許権を行使せず、誰でも無料で自由に使えるようにしたのです 。
「技術は無料で、名前は守る」という二重戦略
なぜ彼らは、莫大な利益を生む可能性のある特許権を放棄したのでしょうか。それは、短期的なライセンス収入よりも、QRコードを社会のインフラとして世界中に普及させる「デファクトスタンダード(事実上の標準)」化を優先したからです 。もし利用に料金がかかれば、各社が独自規格の二次元コードを開発し、市場が分断されていたかもしれません。無料で公開したことで、あらゆる企業が安心してQRコードを採用でき、航空会社の搭乗券から携帯電話の機能まで、爆発的に用途が広がっていきました。
しかし、デンソーウェーブはすべてを無償で提供したわけではありません。彼らにはもう一つの、そして極めて重要な戦略がありました。それは、「QRコード」という「名称」を商標として厳格に保護することでした 。
技術(特許)は20年で保護期間が切れますが、商標は更新すれば半永久的に権利を維持できます 。デンソーウェーブは、QRコードの技術が普及すればするほど、「QRコード」という名称、そしてその開発元である自社の名前が世界に広まることを見越していたのです。彼らは、QRコードの名称を使用する際には「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です」という一文を記載するよう推奨しています 。
この戦略は見事に成功しました。QRコードが社会インフラとして定着した結果、デンソーウェーブは技術のライセンス料を得る代わりに、それを遥かに上回る「知名度」と「ブランド価値」を手に入れたのです。さらに、彼らは自らが創り出した巨大な市場において、高性能なQRコード読み取り機(スキャナー)や関連システムを開発・販売することで、安定した収益を上げています。
デンソーウェーブの事例は、知的財産戦略の奥深さを示しています。それは、単に権利を主張し、他者を排除するだけのものではありません。時には、特許という権利をあえて行使しないことで市場全体を創造し、その一方で商標という別の権利で自社のブランドを確立するという、柔軟で複合的な発想が求められるのです。特許を「市場への招待状」として使い、商標を「自社の存在証明」として使う。この二つの知財の巧みな連携こそが、QRコードを世界標準へと押し上げた原動力だったのです。
発明の対価を巡る闘い:青色LEDとフラッシュメモリの知財ドラマ
知的財産は、企業に莫大な利益をもたらす一方で、その源泉である「発明者」と企業との間で、時として深刻な対立を生み出すことがあります。特に日本の産業史において、二人の天才技術者が起こした訴訟は、「職務発明」の対価、すなわち従業員が生み出した発明に対して企業はいくら支払うべきかという根源的な問いを社会に突きつけました。
青色LED訴訟:中村修二氏 vs. 日亜化学工業
21世紀の照明を根底から変えた「高輝度青色発光ダイオード(LED)」。この世紀の発明を1993年に世界で初めて実現したのが、当時、日亜化学工業に在籍していた中村修二氏(後のノーベル物理学賞受賞者)です 。多くの大企業が開発を断念する中、社内の反対を押し切って成し遂げたこの偉業に対し、会社が中村氏に支払った報奨金は、わずか2万円でした 。
退社後、中村氏は発明の正当な対価を求め、日亜化学を提訴します。そして2004年、東京地方裁判所は社会を震撼させる判決を下します。裁判所は、発明の独占利益を約1200億円、中村氏の貢献度を50%と算定し、日亜化学に対して請求額である200億円の支払いを命じたのです 。
この判決は、一人のサラリーマン発明家が手にする対価として前代未聞の金額であり、技術者の権利意識を大きく変えるきっかけとなりました。しかし、物語はここで終わりません。控訴審で、東京高等裁判所は和解を勧告。最終的に、中村氏が在籍中に成し遂げたすべての発明の対価として、日亜化学が約8億4000万円を支払うことで決着しました 。一審判決から大幅に減額されたこの和解は、企業の貢献度をどう評価するかという、さらなる議論を巻き起こしました。
フラッシュメモリ訴訟:舛岡富士雄氏 vs. 東芝
スマートフォンやデジタルカメラに不可欠な記憶媒体「NAND型フラッシュメモリ」。この革新的な技術を1980年代に東芝で発明したのが、「フラッシュメモリの父」と呼ばれる舛岡富士雄氏です 。しかし当時、東芝の主力事業はDRAMであり、フラッシュメモリの将来性や価値を十分に見抜けませんでした 。
研究開発への不遇や評価の低さに不満を抱いた舛岡氏は、1994年に東芝を退社し、大学教授に転身します 。皮肉なことに、彼が会社を去った直後からフラッシュメモリ市場は爆発的に成長し、一時は東芝の利益の大部分を稼ぎ出すほどの主力事業となりました 。
中村氏と同様、舛岡氏もまた、発明への正当な対価を求めて古巣の東芝を提訴。当初10億円の支払いを求めましたが、2006年に8700万円で和解が成立しました 。
| 項目 | 青色LED | フラッシュメモリ |
| 発明 | 高輝度青色発光ダイオード | NAND型フラッシュメモリ |
| 発明者 | 中村 修二 | 舛岡 富士雄 |
| 企業 | 日亜化学工業 | 株式会社東芝 |
| 当初の報酬 | 2万円 | 数万円 |
| 一審判決額 | 200億円 | (訴訟のため該当なし) |
| 最終的な和解金額 | 約8.4億円 | 8,700万円 |
| 物語の核心 | 会社の貢献度を巡る評価の対立と、職務発明制度への一石 | 企業が自社発明の価値を見誤り、天才を流出させた代償 |
Google スプレッドシートにエクスポート
これら二つの訴訟は、単なる金銭トラブルではありません。それは、日本の企業文化に根深く存在した、リスクを負う企業と、才能を発揮する個人との間の報酬の非対称性を浮き彫りにしました。企業側は給与や研究設備を提供しているのだから貢献度は高いと主張し、発明者側は自らの閃きと努力がなければ発明は生まれなかったと主張します。
この激しい対立と社会的な注目は、結果的に日本の知的財産制度そのものを動かしました。これらの訴訟を契機として、職務発明に関する特許法の改正議論が活発化し、企業に対して発明者への対価に関するルールを整備するよう促す流れが生まれました。二人の天才の闘いは、日本の技術者全体の権利と地位を向上させるための、重要な一歩となったのです。
キャラクター帝国を支える商標戦略:ポケモンの緻密な知財ポートフォリオ
ゲームから始まり、アニメ、カード、映画、そして無数のグッズへと展開し、世界的な文化現象となった「ポケットモンスター(ポケモン)」。その巨大なキャラクター帝国の成功が、極めて緻密で徹底した知的財産戦略によって支えられていることは、まさに知る人ぞ知る事実です。
ポケモンの知財戦略の凄みは、単に「ポケモン」という名前や「ピカチュウ」のイラストを商標登録している、というレベルに留まりません。彼らは、その架空の世界を構成するあらゆる要素を、網の目のように商標権で保護しているのです 。
世界観のすべてを権利で固める
具体的にどのようなものが登録されているか見てみましょう。
- 個々のポケモン:ピカチュウやイーブイといった人気キャラクターはもちろんのこと、ビジネス上の必要性に応じて様々なポケモンの名前やデザインが登録されています 。
- ゲームタイトル:『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のような本編はもちろん、『Pokémon GO』や『ポケモンスリープ』といったスピンオフアプリの名称もすべて保護されています。
- ゲーム内の用語やアイテム:ポケモンを捕まえる「モンスターボール」の名称と形状、ポケモンが巨大化する「ダイマックス」といったゲームシステム、さらには冒険の舞台となる「ヒスイ地方」のような架空の地名まで商標登録の対象です。
- アニメやカードゲームの要素:アニメの主人公「サトシ」の名前や彼の帽子のデザイン、カードゲームで使われる「草」「炎」といった属性のロゴマークに至るまで、権利で固められています 。
なぜ、ここまで徹底するのでしょうか。その戦略的な意図は、単なる模倣品対策だけではありません。
第一に、「世界観のコントロール」です。ポケモンというブランドの価値は、ゲーム、アニメ、グッズなど、あらゆる媒体で一貫した、没入感のある世界観を提供できる点にあります。アイテム名や地名といった細部に至るまで商標で保護することで、公式ライセンス商品がその世界観を損なうことなく、本物としての品質を保つことを保証しているのです。これは、ファンが安心してブランドに触れられる環境を法的に構築する、高度な「ナラティブ・コントロール(物語の制御)」と言えます 。
第二に、「未来への防衛的戦略」です。ポケモンは、まだ発売されていない将来のゲームタイトル候補名(例えば『ポケットモンスター茶』や『紅』など)を何年も前に商標出願しています 。これは、他社が類似の名称で商品を展開し、消費者に混乱を与えることを未然に防ぐための先回り戦略です。自社の事業領域の周りに知財という「堀」を深く、広く掘っておくことで、競争相手の参入を困難にし、自社のブランドを長期的に守り抜いているのです。
ポケモンの事例は、知的財産、特に商標が、ライセンス事業を円滑に進め、ブランド価値を維持・向上させるための強力なビジネスツールであることを示しています。それは、キャラクターという無形の資産を守り、育て、そして収益化するための、まさに生命線なのです。
まだある!身近なヒット商品の知財トリビア
私たちの身の回りには、まだまだ面白い知財ストーリーが隠されています。ここでは、日常的に使う二つの製品にまつわる短いトリビアをご紹介します。
オルファのカッターナイフ:「折る刃」という発明が社名に
誰もが一度は使ったことのある、刃をポキッと折って切れ味を新しくするカッターナイフ。この画期的な製品は、1956年に日本のオルファ株式会社の創業者、岡田良男氏によって発明されました 。
その着想のヒントは、意外なところにありました。一つは、靴職人がガラスの破片を割って鋭い刃先を作っていたこと。そしてもう一つが、進駐軍の兵士が食べていた「板チョコレート」です。チョコレートのように刃にあらかじめ折り筋を入れておけば、切れ味が落ちるたびに新しい刃先を手軽に作り出せるのではないか。この閃きが、世界初の「折る刃式カッターナイフ」を生み出したのです 。
この発明の核心である「折る刃(おるは)」というコンセプトは、非常に重要視されました。その証拠に、後の社名「オルファ(OLFA)」は、この「折る刃」という言葉に由来しているのです 。発明のアイデアそのものがブランドのアイデンティティとなり、社名にまでなったこの事例は、一つの優れた発明がいかに企業の根幹を成すかを示しています。
TOTOのウォシュレット:ブランド名が一般名称になった話
今や日本の家庭の80%以上に普及している温水洗浄便座 。多くの人がこの製品を「ウォシュレット」と呼んでいますが、実は「ウォシュレット」はTOTO株式会社が1980年に発売した商品の登録商標であり、一般名称ではありません 。ライバル企業であるINAX(現LIXIL)の製品は「シャワートイレ」という別の商標名を持っています 。
「ウォシュレット」という名前の由来は、「さあ、おしりを洗いましょう!(Let’s Wash!)」を逆さにした造語です 。TOTOの卓越した製品力と、「おしりだって、洗ってほしい。」という衝撃的なキャッチコピーを用いた巧みなマーケティング戦略により、「ウォシュレット」は市場を席巻。その結果、TOTOのブランド名が、温水洗浄便座という製品カテゴリー全体を指す言葉として世の中に定着してしまいました。
これはブランドにとって最高の栄誉であると同時に、商標が一般名称化(ジェネリサイド)してしまい、権利を失うリスクもはらんでいます。TOTOは、「ウォシュレット」が自社の登録商標であることを周知し続けると同時に、「バルーンジェット技術」のような新しい特許技術で製品を革新し続けることで、そのブランド価値を守り続けています 。この事例は、ネーミングという知的財産が持つ、市場を定義するほどの強力なパワーを物語っています。
ヒット商品の裏側から学ぶ「知財の収益化」という新たな可能性
これまで見てきたように、一つの形(ポッキー)、一つの特許(トヨタ)、一つの戦略(QRコード)、そして一つのキャラクター(ポケモン)が、いかにして私たちの知るヒット商品や巨大企業を生み出してきたか、その一端をご理解いただけたかと思います。これらの物語は、知的財産が単に発明を守るための法的な手続きではなく、企業の運命を左右し、時には新たな産業さえも生み出す、極めてパワフルな経営資産であることを教えてくれます。
ここで重要な視点が、「知財の収益化」です。トヨタの創業物語は、まさに特許という知的財産を売却し、その対価を新たな事業の原資とした、知財収益化の典型例です。一方で、フラッシュメモリの事例では、東芝が自社に眠る発明の真の価値を見抜けなかったために、大きな機会を逸したとも言えます。
多くの企業では、事業戦略の変更などの理由で、活用されていない「休眠特許」が数多く存在します。これらの特許は、帳簿上は資産として計上されていても、実際には利益を生み出していないかもしれません。しかし、それらの技術は、他社にとっては事業を飛躍させるための喉から手が出るほど欲しい「お宝」である可能性があります 。自社で活用しきれない知的財産を、ライセンス供与や売却といった形で他社に活用してもらうことで、新たな収益源を創出する。これこそが、現代の企業に求められる戦略的な知財活用、すなわち「知財の収益化」なのです。
貴社に眠る特許を収益化しませんか?特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」に無料で特許を登録し、新たな収益源を創出しましょう。詳細はこちらから: https://patent-revenue.ip-rich.com
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献リスト
発売 60 年目、あの形が商標登録! 「Pocky」の形状が「立体商標」として登録, https://www.glico.com/assets/files/y2CUL6z2VUyrWpLy.pdf ポッキーの立体商標登録に思うこと, https://note.com/norio_sakaoka/n/n0220e5e77188 ポッキーのスティック形状が立体商標として登録, https://vision00.jp/topic/10823/ 江崎グリコ株式会社の人気菓子「ポッキー」の立体商標登録が認められました, https://japan.marks-iplaw.jp/newsletter-230/ ポッキーの形状が立体商標登録, https://shohyo-toroku.com/blog/archives/619.html 発売60年目、あの形が商標登録!「 Pocky」の形状が「立体商標」として登録, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000567.000001124.html 沿革, https://www.toyota-shokki.co.jp/company/history/ 豊田佐吉, https://www.hri-japan.co.jp/contents_library/wcl_leader/wcl_leader_01_4/ 第1項 G型自動織機の開発と事業化, https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/taking_on_the_automotive_business/chapter1/section4/item1.html QRコード、特許出願から30年, https://www.denso-wave.com/ja/adcd/info/2403130.html QRコードはなぜここまで普及したのか?, https://www.jpo.go.jp/news/koho/innovation/01_qrcode.html QRコード開発ストーリー, https://www.qrcode.com/history/ QRコードは商標?【結論:商標です】利用時の注意点やロゴの商標登録について解説, https://qr.c-cloud.co.jp/articles/knowledge/trademark デンソーウェーブ 原昌宏さん QRコード開発秘話, https://ab.jcci.or.jp/article/48463/ 発明の対価, https://www.myri.co.jp/publication/myilw/foreword/backnumber_49.php 中村修二 – Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E4%BF%AE%E4%BA%8C ノーベル賞の中村修二教授「日亜化学と仲直りしたい」, https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20141104_02/index.html 青色LED訴訟を解説!発明の対価や訴訟の経緯は?, https://tokkyo-lab.com/co/info-lawsuit01og 青色LED訴訟とは, https://note.com/note_npo/n/nd0721ce2c6b2 職務発明(404特許)訴訟の和解について, https://www.nichia.co.jp/jp/newsroom/2005/2005_011104.html 独自技術へのこだわりとユーザー指向が生み出したフラッシュメモリ, http://www.takeda-foundation.jp/book2/pdf/4masuoka.pdf なぜ日本はGAFAを生み出せなかったのか…日本企業の「失われた30年」の根本原因, https://president.jp/articles/-/80712?page=4 【AI雑談が止まらない】最先発明者と実行者の違いと、日本の最強特許ポートフォリオ7選, https://note.com/cute_sage125/n/n6769376440ef フラッシュメモリは東芝が発明したと胸を張って言えるか?, https://www.semiconportal.com/archive/blog/insiders/hattori/170515-toshibaflash.html キオクシアメモリの歴史, https://www.kioxia.com/ja-jp/insights/history-of-our-memory-201910.html 2018年 本田賞 受賞者 舛岡 富士雄 博士, https://global.honda/jp/news/2018/c180928b.html 変革の象徴, https://toyotatimes.jp/spotlights/1047.html 第1項 G型自動織機の開発と事業化, https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/taking_on_the_automotive_business/chapter1/section4/item1.html 豊田佐吉翁について, https://www.tcmit.org/research/toyodasakichi 豊田自動織機レポート2024, https://www.toyota-shokki.co.jp/investors/item/TICOReport2024_J_full_view.pdf 沿革, https://www.toyota-shokki.co.jp/company/history/ 豊田喜一郎と自動車事業への道, http://moch2.daishodai.ac.jp/files/viewerpdf/kiyo/52.pdf 第3項 トヨタ自動車工業株式会社の設立, https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/taking_on_the_automotive_business/chapter2/section4/item3.html ヤクルト容器の立体商標登録, https://fareastpatent.com/trademark-right/registration-of-yakult-container-as-a-three-dimensional-trademark.html 意匠権の存続期間が過ぎたデザインの保護, https://tora-trademark.com/%E6%84%8F%E5%8C%A0%E6%A8%A9%E3%81%AE%E5%AD%98%E7%B6%9A%E6%9C%9F%E9%96%93%E3%81%8C%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%9F%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BF%9D%E8%AD%B7/ 知財高判平22・9・14 平成22年(行ケ)第10086号 商標登録請求事件, https://www.oslaw.org/publication/trademark_design/img/tm-20101116.pdf ヤクルト容器の立体商標登録を認める判決, https://www.ondatechno.com/jp/report/trademark/report/p2468/ 立体商標判例研究, https://www.inpit.go.jp/content/100488246.pdf 平成22年(行ケ)第10086号 審決取消請求事件, https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/840/080840_hanrei.pdf サンリオのマーケティング戦略とは?, https://note.com/career_marke/n/na71732eb486a サンリオのマーケティング戦略, https://agenda-note.com/about/id=1145 サンリオのマーケティング戦略7選!, https://skettt.com/column/sanrio-marketing サンリオの企業変革を支援, https://www.bicp.jp/works/sanrio ポケモンの販売戦略, https://www.shopowner-support.net/glossary/selling-strategy/pokemon/ ポケモンのマーケティング戦略とは?, https://skettt.com/column/pokemon-marketing 商標登録による「ポケモン」の徹底した保護, https://tora-trademark.com/%E5%95%86%E6%A8%99%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%80%8C%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%BE%B9%E5%BA%95%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BF%9D%E8%AD%B7%EF%BC%88%E3%80%8C/ ポケモン151匹の商標登録を調べてみた, https://toreru.jp/media/trademark/643/ 商品・サービス名をバリエーション豊かに商標登録する!, https://amazing.dx.harakenzo.com/guide/register-trademark-variations/ ポケモンのキャラクターや世界観は、著作権、商標権、意匠権、不正競争防止法によってどのように保護されていますか?, https://note.com/maekawa_ip/n/nd79d25e5468c カッターナイフは“刃を折る”から生まれた!, https://hicbc.com/magazine/article/?id=news-ronsetsu-dbd8a71f カッターナイフの世界初はオルファ?エヌティー?, https://www.happykreuz.jp/olfa-nt-wordfirst/ オルファのカッターナイフ, https://dcm-diyclub.com/diyer/article/22003 オルファの歴史, https://www.olfa.co.jp/birth_of_olfa_cutter.html オルファ – Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1 TOTOの登録商標「ウォシュレット」が 「日本ネーミング大賞 2020」優秀賞を受賞, https://jp.toto.com/data-migration/company/press/2020/12/pdf/2020120202v1.pdf ウォシュレットの歴史, https://jyusetu.com/toilet/toilet-seat/washlet-history/ 日本が圧倒的に強いトイレ洗浄装置の特許動向, https://www.hatsumei.co.jp/column/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E5%9C%A7%E5%80%92%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%BC%B7%E3%81%84%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC%E6%B4%97%E6%B5%84%E8%A3%85%E7%BD%AE%E3%81%AE%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%8B%95%E5%90%91/ ウォシュレットの吐水技術とパブリック向けエコリモコンが 平成 29 年度九州地方発明表彰で 3 賞受賞, https://jp.toto.com/data-migration/company/press/2017/10/pdf/20171031.pdf 青色発光ダイオードの事例から学ぶ!企業がとるべき3つの対策, https://legalsearch.jp/portal/column/light-emitting-diode/ 「日本の司法は腐っている」!?ノーベル賞受賞者が語る青色LED訴訟の舞台裏, https://diamond.jp/articles/-/60574?page=2 青色LED裁判は何だったの?, http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~nozo/universe/main/mn200607.pdf よこはま通信, https://www.funatsu.co.jp/report/ 中村修二氏の特許裁判, https://www.nakashimalaw.com/essay/miyamoto/1410.html 東芝、フラッシュメモリ訴訟で発明者の元社員と和解, https://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2006/07/27/4302.html フラッシュメモリ発明対価訴訟、8700万円で和解, https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/27/news046.html 職務発明譲渡対価請求訴訟の和解成立について, https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2006/07/pr2701.html 舛岡富士雄 – Wikipedia, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%9B%E5%B2%A1%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E9%9B%84 Untitled, https://tohoku.repo.nii.ac.jp/record/110861/files/KJ00004863330.pdf 特許の収益化アイデア10選, https://patent-revenue.iprich.jp/%E4%B8%80%E8%88%AC%E5%90%91%E3%81%91/1404/ 知的財産の活用事例, https://www.wipo.int/wipo_magazine/ja/ip-at-work.html 知財価値評価とスタートアップ企業の知財戦略(2)収益増大をもたらす知的財産権とは, https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/5211bb344e1f490d.html 知的財産活用事例集「知恵を『稼ぐ力』に~100社の舞台裏~」, https://www.jcci.or.jp/support/information/chizai_backstage/index.html デンソーウェーブがQRコードの特許権を無償で公開するという戦略をとった理由と背景について教えてください。また、そのオープン化戦略がQRコードの普及と社会にどのような影響を与えたのか、具体的な事例を交えて説明してください。, https://www.jpo.go.jp/news/koho/innovation/01_qrcode.html ヤクルトの容器が立体商標として登録されるにあたり、裁判所が類似品の中からヤクルト容器の「識別力」を認めた具体的な理由や法的根拠について、判決内容を基に詳しく解説してください。, https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/840/080840_hanrei.pdf ポケモンの緻密な商標戦略について、キャラクター名以外にどのようなものが商標登録されているのか、具体的な事例を複数挙げてください。また、なぜそこまで徹底的に権利保護を行うのか、その戦略的な意図を解説してください。, https://tora-trademark.com/%E5%95%86%E6%A8%99%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%80%8C%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%BE%B9%E5%BA%95%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BF%9D%E8%AD%B7%EF%BC%88%E3%80%8C/ オルファのカッターナイフが誕生した経緯について、創業者の岡田良男氏が「折る刃」というアイデアをどのように着想し、製品化するまでにどのような苦労があったのか、具体的なエピソードを教えてください。, https://www.olfa.co.jp/birth_of_olfa_cutter.html

