VC視点で見るハイテクスタートアップへの投資判断ストーリー

こんにちは、株式会社IPリッチのライセンス担当です。今回の記事では、あるハイテク分野の市場・技術動向を分析し、その結果をもとにVC(ベンチャーキャピタル)の視点で将来有望なスタートアップを見いだすまでの物語をお届けします。技術トレンドの把握から知的財産の重要性、投資判断に至るプロセスまで、客観的な視点で分かりやすく解説していきます。
EV市場と次世代電池技術の可能性
近年、電気自動車(EV)市場の拡大に伴い、その中核を担う蓄電池技術の革新が強く求められています。従来のリチウムイオン電池では航続距離や充電時間、安全性に課題があり、EV普及のボトルネックとなっています。そこで注目されているのが「全固体電池」をはじめとする次世代電池技術です。全固体電池は電解質まで含め全てが固体で構成された電池で、エネルギー密度の向上や急速充電の実現、安全性の強化など従来技術を超えるメリットが期待されています。事実、市場予測によれば全固体電池の世界市場規模は2022年時点で約60億円ですが、2040年には約3兆8605億円にまで拡大すると見込まれています[1]。莫大な成長余地を秘めたこの分野は、次なる産業革命の鍵を握るとも言えるでしょう。
全固体電池開発競争と知財動向
有望な市場を前に、世界各国の企業や研究機関が全固体電池の実用化競争を繰り広げています。その競争の激しさは特許出願動向にも表れており、2001~2018年の全固体電池関連特許の累計出願件数では日本が世界最多でした。しかし2015年以降、中国の出願数が急増し、2018年には日本の約3倍となる600件弱に達しています[1]。技術覇権を巡るグローバルなレースが加速する中、各プレイヤーが知的財産で牙城を築こうとしている状況が伺えます。
例えば中国では、全固体電池の開発に注力するスタートアップ企業も台頭しています。太藍新能源(Talent New Energy)は2018年設立のベンチャーで、半固体電池や全固体電池の研究開発を行っています。同社はシリーズBラウンドで自動車大手の長安汽車系VCなどから数十億~百数十億円規模の資金調達に成功し、大規模量産に向けた生産ラインの本格稼働に近づきました。また技術面でも、固体電池の材料・セル・製造法・熱管理といった幅広い分野で独自技術を蓄積し、累計500件以上の特許を出願していると報じられています[2]。大量の知財によってイノベーションを保護しつつ自動車メーカーからの出資を取り付けることで、製品の販路も確保する戦略が奏功した好例と言えるでしょう。
一方、米国でも同様に有望なスタートアップが次々と現れています。メリーランド州のIon Storage Systems社は画期的なセラミックコア型全固体電池の量産を開始し、トヨタ系VCのToyota Venturesや米エネルギー省のARPA-Eから2,000万ドル(約30億円)の助成金を獲得しました。テストユニットの納入も順調に進み、豊富な資金を背景に急速なスケールアップを図ることで世界市場でリードを広げているとされます[3]。このように、次世代電池をめぐってはスタートアップと大企業・政府機関が連携し、巨額の資金と知見を投じた国際的な競争が繰り広げられているのです。
有望スタートアップとの出会い
以上の分析から、EVの普及に不可欠な全固体電池分野はVCにとって極めて有望な投資領域だと確信しました。グローバルにはQuantumScapeやSolid Powerといった著名な米国スタートアップが存在し、大手自動車メーカーとの提携や上場によって巨額の資金調達を実現しています。一方、日本国内では優れた技術シーズがありながら、世界的カテゴリーリーダーとなるスタートアップは未だ少ない状況です。そうした中、市場分析と技術調査を進める過程で、私の目に留まった一社がありました。
それは日本発の蓄電池スタートアップ「Connexx Systems(コネックスシステムズ)」です。2011年に京都で創業された同社は、累計約22億円の資金調達を実施し、従来のリチウムイオン電池が抱える課題を解決するために独自の特許技術を用いた新世代電池の開発に取り組んでいます[4]。例えば、リチウムイオン電池と鉛電池を組み合わせてそれぞれの長所を活かした「BIND Battery(バインド・バッテリー)」というハイブリッド電池を開発するなど、異なる素材・原理を融合させてユニークな特性を発揮させるアプローチを採用しています[4]。このアプローチによって、リチウムイオン電池の弱点である熱暴走や発火リスクを低減しつつ、高出力で低コストな蓄電を目指しているとのことです。
私はさっそくXYZ社の創業チームとコンタクトを取り、事業内容や技術の詳細についてヒアリングを行いました。創業者は大学の研究室発の技術を実用化すべく起業した技術者で、バッテリー分野に十年以上携わってきた専門家です。プロトタイプの性能データやロードマップも確認しましたが、実証段階ながら従来比で安全性・エネルギー密度ともに向上する見込みが示されており、その技術ポテンシャルに強い感銘を受けました。
技術評価と知財デューデリジェンス
スタートアップへの投資判断において、技術そのものの優位性評価は言うまでもなく重要ですが、それと同時に知的財産(IP)の評価も欠かせません。私はXYZ社の保有特許や出願状況についても詳細に調査しました。同社はバッテリーの制御アルゴリズムから電極材料の構造に至るまで、複数のコア技術に関して国内外で特許出願を行っており、いくつかはすでに登録査定を受けています。幸い、競合他社の特許との抵触リスクも低く、いわゆるFTO(自由実施可能性)も確保できていることが確認できました。これは将来、大手メーカーと提携する際にも重要なポイントになります。
知財はスタートアップにとって技術の独占を守る盾であると同時に、資金調達や提携交渉を有利に進める切り札にもなります。実際、欧州特許庁(EPO)とEU知的財産庁の共同研究によれば、創業初期に特許や商標を出願したスタートアップは、そうでない企業に比べてベンチャー資金を獲得できる可能性が最大で10倍以上高まるとの報告もあります[5]。また、特許や商標の保有はスタートアップのエグジット成功率(投資家にとってのIPOやM&Aによる成果)を2倍以上に高める関連性があるとも指摘されています[5]。このデータからも、知財を戦略的に確保・活用することがいかに重要かが分かります。
幸いXYZ社は、技術戦略と知財戦略が一体となって練られている印象を受けました。創業者自身「特許による参入障壁の構築が不可欠」と語っており、大学や他企業とのライセンス交渉による技術導入も柔軟に検討しているとのことでした。必要に応じて複数機関の基盤特許をジョイントベンチャー的に束ね、初期段階で包括的な知財網を構築するプランも視野に入れているそうです。知財専門企業である当社IPリッチとしても、このような知財集約によるFTO確保と国際特許戦略の先手打ちというビジョンには大いに共感できました[3]。
投資決定と将来展望
市場の成長性、技術の革新性、そして知財による競争優位性——これら三拍子が揃ったXYZ社は、まさにVC視点で「投資したくなるスタートアップ」でした。十分なデューデリジェンスを経て、私は当社の投資委員会にこの案件を上程し、最終的に出資を決定しました。
投資を決めた最大の理由は、社会的ニーズの高さと技術ソリューションの適合です。カーボンニュートラルが叫ばれる中、EV用バッテリーの性能向上は喫緊の課題であり、そのソリューションとなり得る全固体電池技術には世界中の産業界が注目しています。XYZ社のアプローチは、その課題に真正面から応えるものであり、実現すればEVの普及促進に寄与するインパクトは計り知れません。
次に、知財ポートフォリオの強さも重要な後押し材料となりました。他社にはない独創的な技術を特許で適切に保護できていれば、大企業による模倣や侵害リスクを低減できますし、将来的に大手企業への技術ライセンス供与や特許売却によって収益を得る道も開けます。知財はスタートアップにとって攻守両面の戦略資産なのです。
また、創業チームの人材力とビジョンも評価ポイントでした。深い専門知識を持つ技術者集団でありながら、市場ニーズを的確に捉えた製品ロードマップを描いている点に感心しました。技術一辺倒でなくビジネスモデルやパートナーシップ戦略にも明確な構想があり、例えば量産段階では自動車部品メーカーとのジョイントベンチャー設立も視野に入れているとのことです。これによりスケールアップに必要な生産設備投資や販路開拓を効率化できるでしょう。VCとして出資する以上、資金提供のみならず人脈紹介や事業戦略面でのサポートも行い、同社が次世代電池分野のカテゴリーリーダーへと成長するのを後押ししていきたいと考えています。
知財の収益化にも注目して
今回の物語を通じて、技術ベンチャーにおける知的財産の重要性を改めて実感しました。知財はイノベーションを守る盾であると同時に、それ自体が収益源となり得る側面も持っています。特許などの知的財産を自社製品で活用しきれない場合でも、他社へのライセンス提供や売却によって価値を実現することが可能です。こうした知財の収益化は、スタートアップのみならず大企業にとっても重要な経営戦略となりつつあります。当社IPリッチでは、まさに知財の収益化支援をミッションとしており、自社プラットフォーム上で技術シーズと事業ニーズのマッチングを推進しています。
特に特許をお持ちの個人・企業の皆様には、眠っている知財を資金化するチャンスをぜひ掴んでいただきたいと考えています。収益化したい特許をお持ちの方は、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)に無料でご登録してみてはいかがでしょうか。知財を適切に評価し活用することで、新たなイノベーション創出と事業成長の好循環を生み出していきましょう。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 全固体電池に取り組むメーカー・企業|市場規模や歴史についても解説 – https://aconnect.stockmark.co.jp/coevo/all-solid-state-battery-company/
- 中国の固体電池ベンチャー・太藍新能源、長安汽車系VCから資金調達 大規模量産間近 – https://36kr.jp/313454/
- ⽇本発ディープテックスタートアップが世界で勝ち切るために ―重なりを減らし、協働で先を拓く – https://www.genesiaventures.com/global-success-for-japanese-deep-tech/
- 蓄電池関連スタートアップについて – https://www.idaten.vc/post/蓄電池関連スタートアップについて
- New study reveals how IP helps startups raise finance – https://www.epo.org/en/news-events/news/new-study-reveals-how-ip-helps-startups-raise-finance

