『パルワールド』訴訟に見るゲーム業界の著作権保護の難しさと対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。2024年、任天堂株式会社と株式会社ポケモンが、人気シリーズに酷似した新作ゲーム『パルワールド』の開発会社を提訴したニュースが大きな話題になりました。本記事では、この訴訟の概要を解説し、ゲーム業界における著作権保護の難しさとその課題への対策について考察します。

目次

パルワールド訴訟の概要

ポケモンに酷似? 『パルワールド(Palworld)』は2024年1月に発売されたオープンワールドRPGで、不思議な生物「パル」を捕獲・育成しサバイバル生活を送るゲームです。登場する生物のデザインや世界観が任天堂の人気シリーズ「ポケットモンスター(ポケモン)」に似ていることから、発売当初より「ポケモンのキャラクターを盗用しているのではないか?」とインターネット上で物議をかもしました。しかし約8か月後の2024年9月、任天堂株式会社と株式会社ポケモンは著作権侵害ではなく特許権侵害を理由に、開発元の株式会社ポケットペアを提訴しました【1】【2】。任天堂の発表によれば、この訴訟は『パルワールド』が同社の複数の特許権を侵害しているとして、ゲーム配信の差止めと損害賠償を求める内容です(1)。訴状で任天堂側が主張しているのは、モンスターを捕獲する際のメカニクス(捕獲用アイテムを投げて捕獲成功を判定し、成功すれば所有できるというゲームシステム)などに関する3件の特許権の侵害で、請求額は損害賠償約1,000万円(任天堂・ポケモン各社へ500万円ずつ)と遅延損害金とされています【2】【3】。任天堂とポケモン社は9月18日付で東京地方裁判所に訴訟を提起し(1)、同月19日に公表しました。被告のポケットペア社も訴訟提起直後に声明を発表し、自社の見解を裁判で主張していく方針を示しています【3】。

任天堂の周到な戦略 本件で注目すべき点は、任天堂側が著作権ではなく特許権を法的手段に選択した点です。実際、任天堂は『パルワールド』発売直後から自社の特許出願を分割出願や早期審査で迅速に進め、発売からわずか数か月で関連する特許権を取得して訴訟に踏み切りました【2】【3】。知財専門家によれば、任天堂はこうした知財訴訟の戦い方を熟知しており、かつて他社(例:コロプラ社の白猫プロジェクト)を提訴する際にも提訴前に特許内容を補正して攻撃力を高める用意周到さを見せたと指摘されています【3】。任天堂は「長年の努力で築いた大切な知的財産を守るため、今後も必要な措置を講じていく」と表明しており(1)、本件訴訟も自社ブランドと知的財産を保護するための毅然とした対応と言えるでしょう。

ゲーム業界における著作権保護の難しさ

アイデアは保護されない 本件が示すように、ゲーム業界では著作権による保護の限界がしばしば浮き彫りになります。著作権法では「思想又は感情を創作的に表現したもの」が保護対象であり、裏を返せばアイデアそのものは保護されないからです【6】。ゲームの基本的なルールやコンセプト(例えば「モンスターを捕まえて育てる」という発想)は単なるアイデアの領域であり、著作権で直接守ることはできません。一方でキャラクターの具体的デザインやストーリー、ゲーム内の映像・音楽などは著作物として保護されますが、それらが別作品にどの程度流用・模倣されたかを法的に立証するのは容易ではありません【2】。実際に任天堂側も、もし著作権侵害で提訴する場合には「『パルワールド』のキャラクターがポケモンのキャラクターに依拠して創作されていること」および「両者のキャラクター表現が本質的に類似していること」を証明しなければならず、証拠集めや類似性の判断に高いハードルがあると考えられます【2】。このようにゲーム内容が概念レベルで似ているだけでは違法と断定しにくいため、権利者側にとって著作権だけで自社作品を守るのは難しい場面が多いのです。

争われた事例と結果 過去のゲーム著作権紛争でも、立証の難しさゆえに判断が分かれるケースが見られます。例えば、2011年に提起されたソーシャルゲームを巡るGREE対DeNA事件では、釣りゲームの画面表現が著しく似ているとしてGREE社が著作権侵害で訴えました。第一審の東京地裁は「画面の表現が実質的に同一」と判断して著作権侵害を認め、約2億3,460万円の賠償とゲーム画面の差止めを命じました。(4) ところが控訴審の知的財産高等裁判所では「表現上の本質的な特徴の類似は認められない」として著作権侵害を否定し、GREE側の逆転敗訴となっています【4】。このように事実上同じゲームに見えても、法的な「表現の独自性」の捉え方次第で結論が変わり得るのが実情です。また国際的な例では、バトルロイヤルゲームの元祖『PUBG』が中国企業の類似ゲーム『荒野行動』を訴えたケース(2018年)や、人気パズルゲーム『テトリス』のクローンアプリに対する訴訟などがあります。前者は最終的に和解となり勝敗が明確にならなかった一方、後者の『テトリス』の事例ではクローン側がオブジェクトの形状・配置など具体的表現まで模倣したと認定されて勝訴するなど、ケースバイケースで結果が異なる状況です。

模倣品への対処と国外問題 さらにゲーム業界では、自社IPを模倣した海賊版アプリやクローンゲームが海外で出回る問題も深刻です。国内で法的措置を講じても、海外の企業や個人が類似ゲームを配信するケースでは訴訟のハードルが上がります。しかし近年は各国で知的財産権保護の意識が高まりつつあり、国境を越えた連携強化も進んでいます。実際に2024年7月、中国の裁判所は日本のポケモン社が提起した訴訟で、中国企業が無断使用したポケモンのキャラクター画像等は著作権侵害に当たると認定し、約1億700万元(約23億4,000万円)もの巨額賠償を命じました【5】。このように露骨な盗用には厳しい判決が下される例も出てきています。しかし多くの場合、模倣する側も直接のコピーを避けてデザインを少し変える、名称を変えるなど巧妙にグレーゾーンを突いてくるため、権利者としては常にいたちごっこの状態です。

著作権保護への提案と知財の収益化

複合的な保護戦略 ゲーム企業が自社IPを守るためには、著作権だけに頼らない総合的な知財戦略が有効です。本件のように独自のゲームシステムや技術がある場合、特許権の取得は強力な武器になります。任天堂は自社ゲームの重要なアイデアを以前から数多く特許出願しており、今回それが活かされた形です。またキャラクターの名前やロゴ、ゲームタイトルについて商標登録を行ったり、キャラクターデザインについて意匠権(デザイン保護)を取得することも検討すべきでしょう。こうした複数の知的財産権で多面的にプロテクトすることで、模倣品に対抗する手段が増え、交渉も有利に進められます。加えて、ゲーム内容やプログラムのコア部分については秘密保持契約技術的なコピー防止策を講じ、社内での情報管理を徹底することも重要です。

業界全体での取り組み 一企業の努力だけでなく、業界全体の連携も著作権保護の課題解決に不可欠です。例えば日本では、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)のように企業が協力して海外の海賊版根絶に取り組む団体があります。業界団体を通じて法執行機関やプラットフォーム事業者と協力し、悪質な著作権侵害アプリの削除要請や訴追を働きかけるといった活動も効果を上げています。またユーザーに対して正規版を利用する意識啓発を行うことも地味ながら重要です。公式が模倣品に対して毅然と対応する姿勢を示すことで、ファンコミュニティ内でも「海賊版には手を出さない」というコンセンサスが育まれるでしょう。

知財を攻めの資産に 著作権や特許は守りの手段であると同時に、収益を生む資産として活用する視点も大切です。ゲーム業界では、自社IPをライセンス展開して他社ゲームや関連グッズで公式コラボする例も増えています。権利者側にとっては、全ての模倣を排除することは困難でも、優良なパートナーと正式ライセンス契約を結んでコラボ作品を生み出すことで、新たな収益とファン層拡大を図ることができます。実際、海外の有力IPを許諾して国内でゲーム化するケースや、逆に国内IPを海外展開でライセンス供与するケースも定着してきました。今後は知財の積極的な収益化によって、侵害を抑止しつつビジネスチャンスに転換していく発想が求められるでしょう。もし収益化したい特許をお持ちの方は、特許の売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)に特許を無料登録し、有効活用する道を検討してみてはいかがでしょうか。知的財産を守ることと活かすことの両輪で、ゲーム業界全体の発展とクリエイターの利益向上につなげていきたいものです。

(本記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. 任天堂株式会社ニュースリリース「株式会社ポケットペアに対する特許権侵害訴訟の提起について」(2024年9月19日) – 任天堂公式サイト <br>URL: https://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2024/240919.html
  2. 知財タイムズ「任天堂が『パルワールド』を提訴。今の状況をまとめてみた」(2024年9月26日公開、11月11日更新) – Tokkyo-Lab.com <br>URL: https://tokkyo-lab.com/co/sue-palworld
  3. Bloomberg記事「『パルワールド』特許侵害訴訟、任天堂は裁判での戦い方を熟知と識者」(2024年11月11日) – Bloomberg.co.jp <br>URL: https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-11/SK1VKDT0G1KW00
  4. 知財タイムズ「ゲーム画面は著作権で保護することができるか?『GREE』と『DeNA』の訴訟を題材にして」(公開日不明) – Tokkyo-Lab.com <br>URL: https://tokkyo-lab.com/co/gree-dena
  5. 企業法務ナビ「株式会社ポケモン、中国企業との知的財産権侵害訴訟で勝訴 損害賠償額23億円に」(2024年9月20日) – corporate-legal.jp <br>URL: https://www.corporate-legal.jp/news/5849
  6. WIPO日本語版記事「ビデオゲームと知的財産法との出会い」(2021年6月25日) – WIPO Magazine <br>URL: https://www.wipo.int/ja/web/wipo-magazine/articles/when-video-games-meet-ip-law-41991
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