スタートアップ買収と知財収益化:UPSIDER買収が示す新たな出口戦略

株式会社IPリッチのライセンス担当です。本記事では、知的財産(特許など)の収益化に関する最近話題となった出来事を背景に、知財収益化の重要性とその特殊性を解説します。企業が知財を収益源に変える方法や、その背景にある国内外の動向を分かりやすく整理します。

目次

知的財産の収益化とは何か?

知的財産の収益化とは、特許や商標、著作権など企業が保有する知的財産権を活用して収入を得ることです。従来、知財は自社製品・サービスを守る「防御」の手段と考えられがちでした。しかし近年では、知財を戦略的に「攻め」に使い、新たな収益源とする動きが広がっています。知財の収益化手法には、他社へのライセンス供与によるロイヤリティ収入、特許そのものの売却による一時金の獲得、自社での製品化による売上増など様々なモデルがあります。自社で活用しない特許であってもライセンス売却により価値を生み出せる可能性があり、眠っている知財を「宝の持ち腐れ」にしないことが重要です。

世界で進む知財収益化の潮流と事例

世界的に見ると、知的財産の収益化は企業価値向上の重要な鍵となっています。企業の価値の源泉は、有形資産から技術やブランドなど無形資産へシフトしており、例えば米国では主要企業上位15社の企業価値の約9割を知的財産などの無形資産が占めるとのデータもあります[1]。大手企業ほど特許ポートフォリオを収益に結びつける戦略を積極的に展開しており、その代表例がIBMです。同社は1990年代以降、技術ライセンス事業を収益の柱の一つとしてきました。実際、IBMは1996年以降の約25年間で、自社の特許ライセンスなど知財活用によって累計270億ドル(約3兆円)以上の収入を得たとされています[2]。これは研究開発型企業が知財をビジネス資源として最大限活用した成功例と言えるでしょう。

また、通信分野のクアルコムのように、自社特許のライセンス供与だけで年間数千億円規模の安定収益を得ている企業も存在します。その知財収益モデルは、世界中のスマートフォンメーカーからロイヤリティを集めることで技術力を直接利益につなげた好例です。

一方、事業戦略の転換として知財収益化が注目されたケースもあります。韓国のLG電子は自社の携帯電話事業から撤退した後、保有していた通信関連特許を他社にライセンス供与することで新たな収益源を確保しました。2022年にはApple社から約5億ドル(数百億円規模)の特許使用料を受け取り、その一部を発明者の社員にボーナスとして還元した結果、100万ドル(約1億円超)の報酬を得た社員もいたと報じられています[3]。このように、製品が売れなくても知財そのものを現金化することで企業と従業員に利益をもたらす例が現実に生まれています。

日本企業における知財収益化の現状と課題

一方で、日本に目を向けると、知財収益化の取り組みは欧米や中国に比べて遅れていると指摘されています。特許を「利益を生む資産」として捉える企業文化が十分に根付いておらず、依然として「特許=コスト・守るもの」という固定観念が根強いのが現状です[4]。その背景には、以下のような課題があるとされています[4]。

  • 知財部門をコストセンターとみなす傾向:知財担当者や経営層が知財部門を利益を生み出さないコスト部門と捉え、積極的な投資や活用が進まない。
  • 特許の売買市場が未発達:特許を売買・仲介するマーケットプレイスが整っておらず、企業が不要な特許を売却したり他社の特許を活用したりする取引機会が限られている。
  • 中小企業・スタートアップの知財意識の低さ:人的リソースや資金に限りのある中小企業では、知財戦略が後回しにされがちで、自社の特許を収益化する発想やノウハウが不足している。

このように、日本企業においては知財を「守り」から「攻め」へ転換するマインドセットの醸成が大きな課題となっています。しかしながら、状況は少しずつ変わりつつあります。政府や産業界も知財の事業活用を促進する施策を打ち出し始めました。例えば、経済産業省などの主導で、大企業や大学が保有する休眠特許を集約しビジネス展開を図る官民ファンド(例:IPブリッジ)が設立され、知財の流通市場を活性化する取り組みが進められています。また、大学の技術移転機関(TLO)による産学連携支援や、中小企業向けの知財金融(特許を担保にした融資)制度の拡充など、知財を資金に変えるための環境整備も徐々に整いつつあります。

AIで変わる知財収益化:新たな動き

こうした中、知財収益化に関する日本での新たな動きとして注目される出来事がありました。2025年3月、特許情報の検索・分析AIツールを開発してきたスタートアップ企業Tokkyo.Ai社(同年に社名をリーガルテック株式会社へ変更)が、新たに約1.4億円の資金調達を実施し、知的財産のマネタイズ支援事業へ本格参入することを発表しました[4]。この企業は以前からAIを活用した特許調査サービスを提供していましたが、調達資金を機に事業領域を拡大し、特許の売買やライセンス仲介、契約支援など知財の収益化を総合的にサポートするプラットフォーム構築に乗り出すとのことです。

特筆すべきは、同社が指摘する日本の知財マネタイズ文化の課題に対し、AI技術を使って解決を図ろうとしている点です[4]。例えば、発明者・知財部門・経営陣・投資家といった複数のステークホルダー間で知財戦略に関する情報共有や意思決定がスムーズに行われるよう、生成AIを用いた**バーチャルデータルーム(VDR)**や契約支援ツールを提供し、発明の事業化(社会実装)までをワンストップで支援する構想が示されています。日本ではこれまで特許の売買やライセンス展開が盛んでなかった分野において、テクノロジーの力で知財流通を活性化しようとするこの取り組みは、知財収益化の新しい可能性を感じさせるものです。

知財収益化を促進するために

知的財産の収益化は、企業の研究開発投資に対するリターンを最大化し、競争力を高める上で欠かせない戦略となっています。グローバル市場で戦うには、自社の優れた技術やアイデアを単に特許として権利化するだけでなく、それらを適切に事業展開したり他社に提供したりして経済的価値に変えていく発想が求められます。幸い、日本でも徐々に知財を収益につなげる動きが広がりつつあり、今回紹介したようなAI活用による支援策や、公的機関によるマッチング支援など環境整備が進んでいます。

企業や発明者にとって重要なのは、眠っている特許に再度光を当て、その市場価値を評価した上で最適な活用法を選択することです。自社で製品化が難しい技術であれば他社にライセンス提供する、事業とシナジーの低い特許は思い切って売却するといった判断も選択肢に入るでしょう。また近年は、オープンイノベーションの流れの中で、自社の特許をスタートアップに提供してリターンを得るケースや、逆に大企業が外部の特許を活用して新規事業を生み出すケースも増えています。

知財収益化を成功させるためには、市場や技術の動向を踏まえた戦略的な知財マネジメントと、的確な交渉・契約スキームが必要です。その際、専門家の助言や適切なプラットフォームを活用することで、より良いマッチング機会を得られるでしょう。もしお持ちの特許を収益化したいとお考えなら、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」に特許を無料で登録してみてはいかがでしょうか(https://patent-revenue.iprich.jp)。自社の眠れる知財が、新たなビジネスパートナーとの出会いや収益機会をもたらすかもしれません。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. WIPO, The Value of Intangible Assets of Corporations Worldwide Rebounds to All-Time High of USD 80 Trillion in 2024 (2025年2月28日)
    https://www.wipo.int/en/web/global-innovation-index/w/blogs/2025/the-value-of-intangible-assets-of-corporations
  2. Taipei Times, IBM loses top patent spot after decades as US No. 1 (Bloomberg, 2023年1月9日)
    https://www.taipeitimes.com/News/biz/archives/2023/01/09/2003792230
  3. Hindustan Times Tech, LG employees cash in over $1 million each from Apple’s patent payments: Here’s how (2024年12月4日)
    https://tech.hindustantimes.com/tech/news/lg-employees-cash-in-over-1-million-each-from-apple-s-patent-payments-here-s-how-71733230136808.html
  4. PR TIMES(リーガルテック株式会社), リーガルテック社、累計3.8億円調達、生成AIで知財のマネタイズを支援 (2025年3月24日)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000255.000042056.html
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