メタバースと特許:バーチャル市場の知財ビジネス

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
近年急速に拡大する「メタバース」と呼ばれる仮想空間市場では、特許などの知的財産を巡るビジネスも新たな展開を見せています。本記事では、仮想空間「メタバース」で広がる知的財産(特許)の収益化ビジネスについて、その背景やポイントを一般の方向けにわかりやすく解説します。
メタバース市場の拡大と特許戦略
「メタバース」とは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間であり、ユーザーがアバター(分身)を介して現実さながらに交流・活動できる世界です。ゲームの世界で言えば、MinecraftやFortniteといった作品が仮想空間上で多人数が参加する例として挙げられます。
またビジネス分野でも、バーチャル会議やオンライン展示会、家具の試し置きができるIKEAのARアプリなど、現実の活動を仮想空間で再現するサービスが登場しています。Facebook社が社名を「Meta」に変えるなど、大手企業もこの領域に巨額の投資を行いはじめ、メタバースは今後の経済成長のキーワードとなっています。
こうしたメタバース市場は爆発的な成長が予想されており、ある予測によれば2028年には世界で46兆円規模に達するとも言われます[1]。仮想空間上での経済活動が拡大すれば、そこで利用される技術やコンテンツに関わる知的財産(IP)の重要性も飛躍的に高まります。特にメタバースを支える基盤技術であるVR(仮想現実)やAR(拡張現実)の分野では、企業各社が技術開発とともに特許の取得にも力を入れており、特許出願件数もVRでは2015年以降、ARでは2010年以降に急増しています[1]。つまり、メタバース関連のテクノロジー分野では早くも知財の取り合いが始まっているのです。
メタバース技術分野の特許出願動向
メタバースをめぐる技術の特許出願動向を見てみると、その競争は国際的にも非常に活発です。特に中国と米国の躍進が顕著で、ある分析によればメタバース関連の特許出願のうち約8割近くをこの2か国で占めているといいます[2]。実際、2023年初頭までの累計出願件数は米国が約1.7万件で世界一、中国が約1.4万件でこれに次いでおり[2]、両大国がメタバース技術の知財競争をリードしている現状がうかがえます。一方、日本の出願件数はそれらに比べると少ないものの、国内企業もこの分野に取り組みを進めています。
メタバース関連(VR/AR含む)の特許出願件数が多い企業としては、米国のMagic Leap社、Microsoft社、Qualcomm社、韓国のSamsung社、LG社など世界のテック企業が名を連ねています。
日本企業ではゲーム開発で知られるコロプラがVR特許出願数で上位に入っており、ソニーや富士通なども関連技術の特許取得を積極的に進めています[1]。コロプラはスマートフォン向けゲームを巡って任天堂から特許権侵害で提訴され、最終的に和解金33億円を支払ったことで注目されましたが[3]、この経験から知財戦略の重要性を痛感し自社の特許出願を強化したとも言われます。実際にメタバース技術の特許を巡っては、こうした大型の特許紛争やライセンス交渉がすでに現実に起きており、仮想世界であっても知財が企業価値に直結する時代となっています。
特許の収益化とは
このように重要な「特許」ですが、従来は自社の発明を守る防護手段という位置づけが強いものでした。近年ではそれに加えて、特許を収入源として活用する動きが注目されています。これが「特許の収益化」と呼ばれるものです。特許の収益化とは、保有する特許権を第三者に**実施許諾(ライセンス)**したり売却したりすることで、ライセンス料や売買益などの形で収益を得ることを指します。
特許を収益化する主な方法には次のようなものがあります。
- ライセンス供与: 自社の特許を他社に実施許諾し、継続的にロイヤリティ(実施料)収入を得る。
- 特許の売却: 特許権自体を譲渡し、その対価を得る(売り切り型の収益化)。
- 権利行使による収入: 特許権を侵害している他社に対し訴訟など法的措置を取り、和解金や損害賠償金を得る。
例えばアメリカでは、大企業が自社の特許を積極的にライセンスして毎年数億ドル規模の収益を上げています。また大学や研究機関でも、研究成果に基づく特許を企業にライセンスして資金化したり、特許を元にスタートアップ企業を輩出したりする動きが一般化しています。実際、世界全体で見ると特許の売買市場も拡大傾向にあり、ある調査では2020年に世界で取引された特許の総額が104億ドル(約1.1兆円)に上ったと報告されています[5]。特許を売買仲介するブローカーや、インターネット上で特許を売り買いできるマーケットプレイスも登場しており、特許は研究開発の成果であると同時に重要なビジネス資産として取引され始めているのです。
侵害されている特許はなぜ価値が高いのか
特許を収益化する上で押さえておきたいポイントの一つに、「価値が高いのは現在進行形で侵害されている特許」というものがあります。皮肉に聞こえるかもしれませんが、第三者に無断で使われている(侵害されている)特許こそ、実はお金を生むポテンシャルが高いのです[4]。侵害されているということは、その発明に市場で需要がある証拠でもあります。他社が使っている技術をカバーする特許であれば、ライセンス交渉や訴訟による損害賠償を通じて収益化できる可能性が極めて高くなります。
実際、米国などでは特許を専門に買い取って収益を上げようとする投資ファンドが存在し、彼らはまさに競合他社に使われている「当たり特許」を探し求めています[4]。そのような特許が見つかれば、高値で買い取り積極的に権利行使することでライセンス料や和解金を得る狙いです。こうした特許専門の投資会社や、いわゆる非実施主体(NPE: Non-Practicing Entity)と呼ばれる自社では製品開発を行わず特許権行使を専業とする企業(時に「パテントトロール」とも呼ばれます)まで登場し、特許の収益化ビジネスが一つの産業になりつつあります。特許マーケットの調査によれば、特許の売買でもその特許に侵害の証拠がある案件は成約率が格段に高いとのデータもあり、第三者が利用している特許の価値がいかに大きいかが分かります。
バーチャル市場で広がる特許収益化ビジネス
以上のように、メタバースという新たな仮想市場の拡大に伴い、その裏側では特許をはじめとする知的財産ビジネスがますます重要になっています。かつては自社防衛の手段と見られがちだった特許も、現在では積極的にライセンス・売買して収益を得る戦略資産へと変貌しつつあります。特にメタバース関連のような最先端分野では、技術のライフサイクルが早く競争も激しいため、特許を眠らせず収益につなげることが企業や発明家にとって大きなチャンスとなります。
仮想空間のビジネスでは、一社ですべての技術やコンテンツを賄うことは難しく、他社とのコラボレーションや権利許諾が不可欠です。そのため、有望な特許技術を持つ企業・個人にとっては、大手企業に技術をライセンスしたり特許ごと売却したりすることで、自ら製品化しなくても利益を得る道が開かれています。また近年では、そうした特許の売り手と買い手をマッチングするオンラインプラットフォームも登場し、特許の収益化がより手軽に取り組める環境が整いつつあります。実際に特許をお持ちの方は、こうした仕組みを活用して自分の特許を必要としている企業と出会うことで、新たなビジネスチャンスを生み出せるかもしれません。
このように、知財の収益化は権利者に新たな利益をもたらすだけでなく、技術を必要とする企業にとってもイノベーションを加速する手段となり得ます。特許という知的資産を適切に活用・流通させていくことが、仮想と現実が融合する新時代の産業発展につながっていくでしょう。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 日経クロステック(xTECH)「28年に46兆円市場、メタバース支えるVR/ARの特許分析」(2021年) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00736/00035/
- 页之码(Yezhimaip)「中国メタバースは関連特許出願数で世界第2位にランクされています」(2023年2月8日) https://yezhimaip.com/ja/article/2023-02/1675869759726.html
- 朝日新聞「コロプラ、任天堂に33億円支払い 特許権めぐり和解」(2021年8月4日) https://www.asahi.com/articles/ASP846HKYP84PLFA009.html
- 日本貿易振興機構(JETRO)「米国における知財の活用状況に関する調査報告書」(2025年3月) https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2025/202503.pdf
- 日本貿易振興機構(JETRO)「知財マーケットの現状調査」(2022年3月) https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2022/202203_2_r.pdf

