M&Aのメリット:新技術によるイノーベーション

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
イノベーション創出の切り札として、近年多くの企業が新技術の獲得を目的としたM&Aに注目しています。本記事では、企業がM&Aによって新たな技術や特許を買収することで得られるメリットについて解説します。自社開発では得られない迅速な技術導入やシナジー効果、競争力強化策としての知的財産の価値(特に現在侵害されている特許の持つ市場価値)に焦点を当て、知財の収益化戦略も交えながら考察します。
M&Aによるイノベーション促進が求められる背景
成熟した大企業ほど自社内から革新的なイノベーションを生み出すことが難しい現実があります。公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、日本の大企業の経営層の約67%が「イノベーションのリスクを取ることに消極的」と回答しており、その背景には「失敗が許容されにくい企業風土」や「意思決定の遅さ」といった問題が指摘されています【2】。このように内部からの変革が進みにくい状況下で、既存事業の延長線上では得られない革新的技術を手に入れる手段としてM&A(企業買収)による外部のイノベーション取り込みが重要性を増しています。実際、近年は大企業がスタートアップ企業を買収して最新技術や斬新なアイデアを取り込む動きが活発化しており、これは新技術で競争優位性を高め市場ニーズに迅速に応えるための効率的な戦略とされています。社内改革や自前の研究開発だけでは追いつかないスピードで技術革新が進む中、M&Aを通じた「オープンイノベーション」によって外部の技術・人材・ノウハウを取り込むことが、企業の持続的成長に欠かせない手段となってきているのです。
M&Aで新技術を買収するメリット
では、企業がM&Aによって新技術やテクノロジーを手に入れることには具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に主な利点を整理します。
- 開発時間の短縮とスピード経営の実現: 新技術をゼロから自社開発するには多大な時間とコストがかかります。M&Aでその技術を持つ企業ごと取り込めば、研究開発に要する年月を大幅に省略でき、市場投入までの時間を劇的に短縮できます【3】。特にAIやバイオテクノロジーなど開発期間の長い先端分野では、買収によって技術や製品を丸ごと獲得する効果は絶大です。時間を「お金で買う」ことで、技術革新のスピードが要求される市場環境に迅速に適応できます。
- シナジー効果による競争力強化: M&Aにより統合された事業同士が生み出す相乗効果(シナジー)は、単独では得られない価値をもたらします。買収した新技術を自社の製品ラインやサービスと組み合わせることで、新たな付加価値や革新的な商品が生まれる可能性があります。例えば、製造業の企業がAI技術を持つベンチャーを買収し自社の生産ラインに組み込めば、従来比で飛躍的に効率や品質を向上させるような新製品・新サービス開発につながるでしょう。こうした技術シナジーにより、買い手と売り手双方の強みを融合して競争力を高めることができます。
- 新市場への参入と事業領域の拡大: 自社になかった技術や製品を取り込むことで、今まで参入できなかった新分野や市場に乗り出すことが容易になります。買収先企業が持つ顧客基盤やブランド力を活用すれば、市場参入のハードルを下げつつ事業ポートフォリオを拡充できます。これは単に新事業を立ち上げる以上に素早く市場での地位確立を可能にし、中長期的な成長機会を生み出します。
- 優秀な人材・ノウハウの獲得: 技術はそれを生み出す人材あってのものです。M&Aで企業を買収すれば、そこに属するエンジニアや研究者、経営陣といった人的資源も同時に手に入ります。単なる特許や技術情報だけでなく、開発のノウハウや組織的知見、熟練したチームそのものを迎え入れることで、自社のイノベーション力を底上げできます。近年「アクハイア(Acq-hire、人材獲得目的の買収)」という言葉が示すように、優秀な人材確保も新技術買収の重要な動機となっています。
以上のように、新技術の買収には時間を買い競争に先手を打つ効果や、1+1を3にも4にも高めるシナジー、事業拡大や人材獲得といった多面的なメリットがあります。ただしこれらを最大化するには、買収後の統合プロセスで技術を自社に十分活かし、組織文化の融合や人材定着にも配慮することが欠かせません(シナジー効果を得るための工夫については別記事で触れられています【2】)。適切にM&Aを活用できれば、自社単独では成し得なかったスピードと規模でイノベーションを起こし、市場での競争優位を築くことが可能になるのです。
M&Aで問われる技術・特許の価値評価(数より質)
技術や知的財産を目的とするM&Aでは、どのような特許やノウハウを押さえているかが取引金額にも大きく影響します。企業価値に占める無形資産(特許やブランド等)の比率は近年ますます高まっており、米国主要企業では企業価値の約90%を無形資産が占めるとの分析があります。一方、日本企業ではその割合が約32%にとどまるとの報告もあり【1】、従来の日本企業は有形資産中心の価値観が強かったことがうかがえます。しかし裏を返せば、知的財産を適切に評価・活用する余地が日本企業にはまだ大きく残されているとも言えるでしょう【1】。M&Aの場面でも「特許の数」より「質」を見極める姿勢が重要視されつつあります。
量より質が重要な理由: 単に特許件数が多いからといって、それだけで高い企業価値が保証されるわけではありません。むしろ重要なのは各特許がビジネスにもたらす実質的な貢献度です。例えば、自社の主要製品を独占的に支えるコア特許や、業界標準となり得る重要技術をカバーする特許は、数ある特許の中でも飛び抜けて高い価値を持ちます。一方で、活用予定のない周辺技術の特許や、市場ニーズとかけ離れたアイデアの特許をいくら抱えていても、それ自体は買収において大きな評価対象にはなりにくいのです。最近の傾向として、IBMが長年保持していた米国特許登録件数トップの座をサムスンに譲るなど、特許戦略の面でも「質への転換」が見られます。IBMは取得特許数の削減と重点技術への集中を表明しており、単純な特許件数競争よりも事業に直結する知財の選別を重視する方向に舵を切っています【5】。このように質の高い知財にフォーカスした戦略は、M&Aでも重要です。
価値が高い「侵害されている特許」: 特許の価値評価において見逃せない視点として、「価値が高いのは、現在進行形で他社に侵害されている特許」であるという指摘があります。一見皮肉にも思えますが、実際に米国の知財投資ファンド関係者は「ファンドにとって本当に価値があるのは、他社に侵害されている特許である」と述べています【4】。つまり既に誰かに無断使用されている特許こそ、市場で需要のある技術をカバーしている明確な証拠であり、適切に権利行使(ライセンス許諾や訴訟)することでライセンス料や損害賠償金といった収益を生む可能性が高い“お金を生む特許”と言えるのです【4】。買い手企業の視点でも、もし買収対象がそのような「侵害されている有望特許」を保有していれば、将来ライセンス収入を得たり競合他社をけん制したりする上で極めて貴重な資産となります。逆に言えば、単に特許の数が多いだけではなく、市場で使われている技術を押さえているかどうかが知財の質を判断する重要なポイントなのです。
このようにM&Aにおける知財評価では、権利数の多寡よりも「事業に直結した価値」や「市場ニーズの裏付け」を持つ知財かどうかが重視されます。買収交渉では、対象企業の特許ポートフォリオに含まれる重要特許(クリティカルパテント)を洗い出し、それらの有効性・権利範囲・侵害状況を丁寧に精査する知財デューデリジェンスが不可欠です【4】【5】。知財の質を見極める目を持つことで、買い手は将来の収益源となる「お宝特許」を見逃さず確保でき、売り手は自社の知財の本当の価値を正当に評価してもらうことが可能になります。
知財収益化とイノベーションを支えるM&A戦略
新技術獲得を目的としたM&A戦略は、企業にもたらす効果という点で「攻め」と「守り」の両面があります。まず攻めの側面では、自社にない有望な特許・技術を獲得することでイノベーションを加速し、新製品や新事業による収益拡大を図れる点が挙げられます。買収によって得た技術を基に生まれた製品・サービスを市場投入すれば、売上増加による直接的なリターンが期待できます。また、取得した特許を自社製品に活用するだけでなく、他社にライセンスアウト(実施許諾)してロイヤルティ収入を得る道も開けます。特許や技術そのものを収益源として活用することで、M&Aは「知財の収益化」を実現する戦略ともなり得るのです。
一方、守りの側面では、他社による特許訴訟リスクの低減や競合排除といったメリットがあります。自社が持たない技術について他社の特許に依存していると、将来的に訴訟を起こされたり高額のライセンス料支払いを迫られたりするリスクがあります。そこで関連する特許ごと技術を買収して自社のものにしてしまえば、そうしたリスクヘッジが可能です。さらに、買収によって競合が欲しがる特許を先回りして確保すれば、市場における交渉力を高め自社の優位性を守ることにもつながります(いわゆる“特許の囲い込み”戦略)。このように攻守両面で知財を武器とすることが、現代のM&Aでは重要になっています。
まとめ
以上見てきたように、M&Aによる新技術・知財の獲得は企業にもたらす効果が大きく、適切に活用すればイノベーション創出と知財収益化の両立が可能です。自社内のリソースに留まらず、外部の知的資産を柔軟に取り込み収益につなげる発想が求められています。特に特許については、単独で置いておくのではなく事業に活かしたりライセンス供与したりと動かしてこそ価値が顕在化します。もし読者の皆様の中に、保有する特許を収益化したいとお考えの方がいらっしゃれば、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」に無料で登録し、知財を活用した新たなビジネス機会を検討してみてはいかがでしょうか(https://patent-revenue.iprich.jp)。
最後に、新技術の獲得を伴うM&Aは多くのメリットをもたらす一方で、十分な事前調査と統合後の戦略的なマネジメントが必要である点も付言します。知財の価値評価やリスク分析は専門性が高いため、必要に応じて知財専門家の助言を得ることも有効でしょう。適切な知財デューデリジェンスを経て有望な技術を見極め、M&A後にそのポテンシャルを最大限に引き出すことで、初めて「イノベーションを呼ぶM&A」が成功と言えます。社内外の知的資産を結集し、イノベーション創発と知財収益化を両輪で進める経営戦略が、これからの時代における競争優位の鍵を握るのです。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 野村総合研究所「無形資産の価値に注目する」(NRIパブリックマネジメントレビュー 2022年9月号) – https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/region_202209/01.html
- 経営プロニュース「『イノベーションを起こす大企業実現に向けて』の提言。企業調査の中間報告を公表」(2020年1月9日) – https://www.hrpro.co.jp/keiei/articles/news/2308
- M&A総合研究所「IT業界の動向とM&Aのメリット!流れや注意点と売却・買収事例76選を解説【2025年最新】」(2025年4月25日更新) – https://mastory.jp/IT%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AEM&A
- JETROニューヨーク事務所『米国における知財の活用状況に関する調査報告書』(特許庁委託調査, 2025年3月) – https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2025/202503.pdf
- Paul Sawers, “Motorola acquisition means Google gets 17,000 patents, 3 times Nortel’s, with 7,500 pending.” The Next Web (2011年8月15日公開) – https://thenextweb.com/news/motorola-acquisition-means-google-gets-17000-patents-with-7500-pending

