特許・技術がない企業を買収するリスクと対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

知的財産(特許や技術など)が無い企業を買収すると、競争力や法的リスクの面で様々な課題が生じます。本記事では、知財を持たない会社を買収する場合のリスクとその対策について、知財の収益化の視点も交えながら解説します。経営者や起業家の皆さまがM&Aを検討する際に、知財の重要性とそのリスク管理について理解を深める一助となれば幸いです。

目次

知財なし企業買収のリスク

知的財産(知財)が全くない企業の買収には、いくつかの大きなリスクがあります。

  • 競争優位性の欠如と企業価値の低下: 特許や技術などの知財は企業の重要な無形資産であり、現代の企業価値の大部分を占めています。実際、米国の主要企業では市場価値の84%が特許やブランド等の無形資産だと報告されています【1】。知財が無ければ競合他社に対する独占的な強みがなく、模倣を許すことで市場シェアを失う可能性があります。また、知財を持たない企業は将来的な成長性が低く評価され、買収によるシナジー効果も限定的になる恐れがあります。
  • 他社知財の侵害リスク: 買収対象に自社保有の特許が無い場合、裏を返せばその事業は他社の技術に依存している可能性があります。もし対象会社が第三者の特許権等を無断で使用していれば、買収後に知的財産権侵害で訴訟や損害賠償請求を受けるリスクがあります。実際、裁判所で認定される特許侵害の賠償額は高額になり得ますが、これらは潜在的な債務であり事前の財務資料からは判別しにくいと指摘されています【2】。つまり、知財面での隠れ負債を抱えていると、買収後に思わぬコストを被る危険があるのです。
  • 知財権利関係の不備によるトラブル: 対象会社が特許や商標を取得していない、あるいはノウハウの管理が杜撰な場合、権利の帰属関係が曖昧になっている可能性があります。例えば、従業員が開発した技術に対する権利移転手続きがなされていなかったり、共同開発先との契約で成果物の権利が整理されていなかったりすると、買収後に「その技術の権利は誰のものか」を巡る紛争に発展しかねません。実際、M&Aの場面では知財の整備状況が企業価値や信用に直結しており、特許・商標・ノウハウの権利帰属が曖昧なままだと貴重な事業機会がトラブルや交渉決裂に終わる恐れがあるとされています【3】。

以上のように、「知財なし」企業の買収には、競争力の観点でも法務リスクの観点でも注意すべき点が多々あります。

知財なし企業買収の対策

知財を持たない企業を買収する場合、上記のリスクを踏まえて入念な対策を講じることが重要です。

  • 知財デューデリジェンスの徹底: 買収前の調査段階で、対象会社の知的財産に関する状況を余すところなく確認します。具体的には、特許出願の有無だけでなく技術ノウハウや営業秘密の有無、その管理状況をチェックします。また、第三者の権利を侵害していないか(警告状や訴訟歴の有無)、主要な取引先とのライセンス契約の内容(他社の特許技術を使っていないか、その使用許諾は得ているか)などを調べます。これらの知財デューデリジェンスを通じて、隠れたリスクを洗い出すことができます。もし調査で問題が発見されれば、買い手側として適切な対応策を検討する材料となります。
  • 契約面でのリスクヘッジ: 買収契約(株式譲渡契約や事業譲渡契約)を締結する際には、知財に関する表明保証条項を盛り込みます。例えば、売り手に対し「第三者の知的財産権を侵害していないこと」「自社開発の技術に関する権利帰属に問題がないこと」を保証させ、万一虚偽があれば損害賠償請求できるように契約で定めます。また、特定の知財リスクが懸念される場合には、インデムニティ(補償条項)によって買収後の損害発生に備えたり、エスクロウ(一部代金の第三者預託)を活用して万が一の費用に充当できるようにすることも有効です。さらに深刻なリスクが判明した場合には、思い切って取引スキームの変更を検討することもあります(例:問題のある資産や負債を引き継がないよう事業譲渡に切り替える、買収額を減額する等)。
  • 知財戦略の構築と強化: 買収後は、知財が無かった会社に対して積極的に知財戦略を導入します。まず、対象事業に関連して取得可能な特許や商標がないか再検討し、出願できるものは早期に出願します。買収企業が持つ技術やサービスを改良して新たな特許を取得すれば、将来的に独占権を得て競争力を高めることができます。また、社内のノウハウについては営業秘密として適切に管理します(秘密保持契約の徹底、アクセス権限の管理など)。こうした知財の整備により、これまで弱みであった知財面を強化し、事業の安定性と競争優位を向上させることが可能です。
  • 知財の収益化と活用: 知財戦略を強化することは守りになるだけでなく、収益機会にもつながります。例えば、新たに取得した特許を他社にライセンス供与すればロイヤリティ収入を得られますし、将来的に知財ポートフォリオを売却して資金化することもできます。特に、現在進行形で他社に侵害されている特許は最も価値が高いとされています【4】。実際に他社に利用されている技術特許は、差止請求やライセンス料徴収・損害賠償請求が可能であり、その分経済的リターンを見込みやすいためです。こうした観点から、買収後に自社やグループ内の特許が他社に使われていないか定期的に調査し、もし侵害の事実があればライセンス交渉や法的措置によって収益を得ることを検討すべきでしょう。また、特許の収益化を支援するプラットフォームとして「PatentRevenue」があります。同サービスでは特許を無料で登録でき、潜在的な侵害者とのマッチングやライセンス交渉の機会を提供しています(https://patent-revenue.iprich.jp)。知財を「守るだけのもの」ではなく「積極的に活用して稼ぐもの」と捉えることで、M&A後の企業価値向上にもつながります。

まとめ

以上、知財を持たない企業を買収する際のリスクと対策について解説しました。知財の有無は企業買収の成否を左右しうる重要事項です。事前の綿密な調査と適切なリスク対策、そして知財の戦略的な活用によって、たとえ「知財なし」の企業買収であっても成功へと導くことができるでしょう。

(この記事はAIを用いて作成しています。)


参考文献

  1. 経済産業省 「通商白書2022年版 第II部第2章 第3節 無形資産と経済成長」 (METI) 【https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/2022honbun/i2230000.html】
  2. 髙畑豪太郎・天野里史・嵐口拓哉 「M&Aにおける知財デューデリジェンス」 知財管理 72巻9号 (2022) (御堂筋法律事務所 寄稿)【https://www.midosujilaw.gr.jp/_wp/wp-content/uploads/2022/10/MAにおける知財デューデリジェンス.pdf】
  3. 弁護士法人AK法律事務所 「知財デューデリジェンスとは?M&A・投資・提携時に欠かせない知的財産のリスク管理と弁護士の役割」 (2023) 【https://aklaw.jp/patentrights/ip_due_diligence】
  4. 日本貿易振興機構ニューヨーク事務所 「米国における知財の活用状況に関する調査報告書」(特許庁委託事業, 2025年3月)【https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2025/202503.pdf】
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