知財が原因でM&Aを断念すべきケース:買い手の見極めポイント

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

本記事では、知的財産(知財)が原因でM&Aを断念せざるを得ない局面と、買い手が注意すべき見極めポイントについて解説します。知財は企業価値や取引条件に大きく影響する要素であり、場合によってはM&Aディールの成否を左右します。なお、買い手が知財面で注目するポイントを知ることは、売り手側にとっても重要な備えとなります。

目次

M&Aにおける知財デューデリジェンスの重要性と見極め

M&Aでは、買収先企業のリスクと価値を事前に把握するためにデューデリジェンス(DD)を行います。知財のDDでは、対象企業が事業継続上重大な知財リスクを抱えていないか、またその技術力や将来性が投資に見合う価値かを調査します[1]。知財は時に表面から見えにくい「隠れた価値」とリスクを伴うため、入念な調査が不可欠です。米国特許商標庁(USPTO)の調査によれば、知財集約型産業は2019年に6.6兆ドル(米国GDPの約38%)もの付加価値を生み出したと報告されています。また欧州でも経済活動の約86%が知財関連産業に依存するとのデータがあり[2]、知財を軽視したM&Aは大きな損失に繋がりかねません。また、M&A全体の成功率は約3〜4割程度とも言われ、デューデリジェンス不足による予期せぬリスク顕在化が失敗の一因となっています。こうした背景からも、知財DDの徹底はM&A成功のカギといえます。強力な知財ポートフォリオを持つ企業は交渉力が増し、取引額が上昇する可能性があります[2]。逆に重大な知財上の欠陥が見つかれば、価格交渉の見直しはもちろん、取引自体を中止(ディールブレイク)せざるを得ない場合もあります[2]。買い手は知財DDを通じてこうしたリスクと価値を見極め、適切な判断を下すことが求められます。

M&Aを断念せざるを得ない知財リスク: 第三者特許の侵害

買収対象の事業や製品が、第三者の特許権など知的財産権を侵害している場合、買い手にとって致命的な法的リスクとなり得ます[3]。他社権利を無断で実施していれば、多額の損害賠償請求だけでなく製品の製造・販売差止めを命じられる可能性もあり、事業継続自体が困難になります[3]。例えば、対象会社の主力製品に不可欠な技術について、友好的でない競合他社が基本特許を保有し、対象会社がライセンスを受けていないケースが典型です[4]。このような場合、買い手が取引を続行するためには当該特許のライセンス契約締結が必要ですが、相手がライセンスを拒めば根本的な解決策がありません。知財侵害のリスク解消が事実上困難であれば、対象会社の価値源泉が法的に担保されていないことになり、M&Aを断念する判断に至ってもやむを得ません[4]。実際、知財訴訟リスクが原因で最終契約直前に買収が白紙撤回された事例もあります。

なお、契約上は売り手に対し「第三者の知的財産権を侵害していないこと」を表明保証させ、万一侵害が発覚した場合の補償責任を契約で定めることも可能です。しかし実際に製品の販売差止めや信用失墜など深刻な影響が生じれば、買い手自身が被る経済的損害は避けられません。したがって、買収前の段階で侵害リスクを発見し、契約締結前に適切な対応策を講じておくことが肝要です。

M&Aで見極めるべき知財の瑕疵と無効リスク

対象企業が保有する特許や技術に瑕疵(欠陥)がある場合も、重大な懸念材料です。代表的なのは特許の有効性に関するリスクで、例えば新薬の主成分に関する基本特許に明白な無効理由があるケースが挙げられます。将来的にその特許が無効化され独占権を失う可能性が高いため、買い手としてもそのM&Aに意味がないと判断せざるを得ません[4]。

その他、知財DDで検出され得る主な懸念点は次の通りです。

  • 主要なライセンスアウト契約が更新されず、継続的だったロイヤリティ収入が途絶えるリスク[4]
  • 主要な特許の存続期間が間もなく満了し、権利消滅によって競争優位が低下するリスク
  • 特許クレームの範囲が狭く、競合他社に容易に回避されてしまうリスク
  • 知財の権利帰属に不備があり、対象企業が想定通りに技術を独占利用できないリスク(共同研究契約の不備や従業員の職務発明に関する訴訟リスクなど)

こうした潜在リスクが判明した場合、買い手は契約上の表明保証で保護策を講じるとともに、必要に応じて価格の減額や補償条件の交渉を行います[4]。それでもなおリスクが重大で将来の収益に致命的な影響を及ぼすと判断されれば、取引自体を見送る決断も検討されます。

知財収益化と他社侵害の見極め: M&A判断への影響

対象企業が保有する知財が他社に無断使用(侵害)されている場合、その事実は一見マイナス要因に思えます。他社に模倣・侵害され放題であれば、対象企業の知財は独占的優位性を発揮できていないことを意味し、知財戦略上の弱点と捉えられます。しかし別の視点では、「現在侵害されている特許」は裏を返せば市場で需要がある重要技術であり、その特許自体の価値が高いとも言えます。侵害者からすれば利用しないと商機を逃すほど有用な発明であることの証拠でもあるからです。したがって買い手としては、対象企業の特許が侵害されている状況を把握した際、単なるリスクと見るか収益機会と見るか慎重に見極める必要があります。特許権者である対象会社がこれまで侵害者に対し権利行使(警告や訴訟)をしてこなかった場合、買収後に改めてライセンス交渉や法的措置により収益化を図る余地が残されています。実際、買収先企業の特許を武器に競合から巨額のライセンス料を獲得した例もあります。特許訴訟には時間や費用を要しますが、それ以上のリターンが見込める場合、知財を巡る戦略的な法的措置も投資判断の一部となり得ます。特許ポートフォリオの分析次第では、保有特許群がもたらす将来収益を見積もり、企業価値評価額を上方修正できるケースもあります[2]。一方、侵害者への対応には訴訟リスクやコストも伴うため、買い手企業の方針やリソースとも照らして判断されます。知財がビジネスにもたらす価値(収益面・リスク面)の両面を評価し、必要ならば価格や条件に反映させることが重要です。

M&Aと知財戦略: 「PatentRevenue」による収益化支援

以上のように、知財はM&Aの成否に直結し得る重要事項です。知財リスクの高い案件ではM&A自体を見送る勇気も必要ですが、一方で知財を適切に保護・活用できれば企業価値の向上につながります[2]。自社の持つ特許や技術を収益源として最大化する戦略は、買収される側・する側双方に有益です。株式会社IPリッチが提供する「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)は、特許のライセンスや売却を促進することで知財の収益化を支援するプラットフォームです。特許情報の無料登録により、企業が保有する眠れる特許を可視化し、潜在的な提携先やライセンシーとのマッチング機会を創出できます。また、特許案件に関する交渉もオンライン上で直接行えるため、知財取引を円滑に進めることができます。こうしたプラットフォームを通じて、M&Aによらず不足する技術を獲得したり、逆に眠れる特許を売却して新規事業の資金を調達するといった知財戦略も可能となります。知財の流動性を高める取り組みは、日本企業全体の競争力強化にも資すると期待されています。総じて、知財が「強み」として評価されるようになるでしょう。
なお、「PatentRevenue」への特許情報登録および利用は無料です。まずは自社の眠れる特許を登録し、その価値を確かめてみてはいかがでしょうか。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. Business & Law「M&Aにおける知的財産デューデリジェンスのエッセンス」(2024年11月5日公開) – https://businessandlaw.jp/articles/a20241105-1/
  2. CHIP LAW GROUP「知財の氷山:M&A取引における表面下の隠れた価値を探る」 – https://www.chiplawgroup.com/%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E3%81%AE%E6%B0%B7%E5%B1%B1%EF%BC%9Ama%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%A1%A8%E9%9D%A2%E4%B8%8B%E3%81%AE%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%BE%A1%E5%80%A4%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%82%8B/
  3. TMI総合法律事務所「知財DDにおける特許調査の類型と留意点」(ブログ, 2022年6月13日公開) – https://www.tmi.gr.jp/eyes/blog/2022/13596.html
  4. 特許庁『知的財産デュー・デリジェンス標準手順書及び解説』(2018年) – https://www.jpo.go.jp/support/startup/document/index/2017_06_kaisetsu.pdf
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