特許の期限切れが近いと企業売却に不利? 知財の寿命と対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

本記事では、「特許の期限切れが近いと会社売却に不利? 知財の寿命と対策」というテーマで、特許権の存続期間(有効期限)や知財価値の評価方法、特許の活用・収益化手段、会社売却時に知財が与える影響、そして自社で取れる具体的な対策について総合的に解説します。経営者や起業家の皆様が会社の価値を最大化する一助となれば幸いです。

目次

特許の期限切れと権利存続期間

まず特許権の寿命を押さえておきましょう。特許権には有効期間が定められており、永久に続くものではありません。原則として特許出願日から20年で特許権は期限を迎え消滅します【1】(医薬品等の一部では審査の遅れを補償する目的で最長5年の延長が認められる場合があります)。この期間が過ぎると、その発明に対する独占権は完全に消失し、技術は公(パブリックドメイン)となって誰でも自由に実施可能な状態になります。いわゆる「特許切れ(期限切れ)」後は、競合他社もその技術を合法的に利用できるため、特許権者(元の権利者)が享受していた市場での優位性や独占的利益は大きく低下します。

特許の期限切れがもたらす影響は、業界によっては劇的です。例えば製薬業界では、新薬の特許が切れるとジェネリック医薬品(後発薬)が市場に参入し、価格競争が一気に激化します。特許期間中は独占的に高収益を得られていた製品でも、期限切れ後は売上が急減する「パテントクリフ」と呼ばれる現象が典型的です。このように、知的財産の寿命はビジネス上の収益構造や競争環境に直接影響を及ぼす重要な要素なのです。

会社売却で問われる特許の価値と期限切れの影響

企業を売却(M&A)する場面では、その会社が持つ特許をはじめとする知的財産(無形資産)が重要な評価項目となります。近年の分析によれば、米国株式市場(S&P500)では企業価値の約90%を特許やブランド等の無形資産が占めるのに対し、日本の日経225では約32%にとどまると報告されています【5】。これは日本企業では依然として有形資産への依存度が高いことを示しますが、裏を返せば知財を適切に評価・活用すれば企業価値を大きく押し上げる余地があるとも言えます【5】。したがって、自社の特許資産が会社全体の価値に与える影響を正しく理解することが重要です。

特許は一定期間、発明を独占できる排他権であり、競争優位の源泉となり得ます。買収を検討する企業(買い手)は、対象会社の特許ポートフォリオを精査し、それが将来どれだけ収益に貢献し競争力をもたらすかを評価します。その際に重要視されるポイントの一つが残存期間(特許の有効期間の残り年数)です。特許権の残存期間が短い場合、その権利から得られる利益を回収できる期間も短いため、価値は低く見積もられます【2】。逆に権利期間が十分残っていれば、長期にわたり収益をもたらす可能性があるため高く評価されます【2】。例えば、特許の残りがあと1年しかなければ、買収後にはすぐ保護が切れてしまうため競合排除効果は限定的です。しかし残り10年ある特許であれば、その間競争優位を維持できるため企業価値への寄与が大きくなります。

また特許の価値評価では、技術内容や市場規模、権利範囲の強さなどと併せて「実際にその特許が使われているか」も重要です。極端な言い方をすれば、価値が高いのは、現在侵害されている特許だとも言われます。つまり他社が無断でその発明を使っているような特許こそ、需要の裏付けがあり真に実用的な発明だという証拠でもあるからです。実際、特許購入者やライセンシー(実施許諾を受ける企業)は、第三者がその特許技術を使っているという明確な証拠(EoU: Evidence of Use)があるかどうかを重視します【4】。特許が他社製品に実装され大きな売上を生んでいることが示されれば、その特許から得られる将来収益(ライセンス料や損害賠償など)の期待値が高くなるため、買収価格やライセンス料率にもプラスに働くでしょう。ただし同時に、そのような特許は競合との紛争リスク(訴訟コストや関係悪化)も伴うため、買い手は慎重にリスクとリターンを見極めます。いずれにせよ、特許の価値評価においては残存期間と実施状況(活用状況)が大きなウエイトを占める点を押さえておきましょう。

特許活用による収益化と対策

特許は自社製品・サービスで独占的に使うだけでなく、ライセンス供与売却によって他社から収益を得ることも可能な資産です。特に自社では活用しきれていない特許や休眠特許がある場合、それらを他社に提供することで知財の収益化を図る戦略があります。例えばハイテク業界では、自社製品の販売利益に加えて特許ライセンス収入で巨額の利益を上げている企業も存在します。米国クアルコム社は通信関連の基本特許を各社にライセンスするビジネスモデルで知られ、ある年度には最終純利益率が30%に達したとの分析もありますが、これは自社特許のロイヤリティ収入が大きく貢献した結果と報じられています【6】。このように特許ライセンスによる収益は、追加コストがほとんどかからない純利益として企業の収益力を直接押し上げる効果があります。

自社で使い道のない特許でも、他社にとって有用であればライセンス契約によって継続的なロイヤリティ収入を得られますし、特許そのものを売却して一時金収入を得ることもできます。特許を売却すると、以後の維持費(年金)も不要になるため、事業撤退分野の特許などを手放すことでコスト削減と資金化を同時に実現できます。実際、近年は特許の売買を仲介するマーケットやオークションも登場し、中小企業や個人でも知財を現金化しやすい環境が整いつつあります。例えば特許仲介会社の調査によれば、特許権の残存期間が5年未満の特許を売却することは非常に困難だとされています【3】。裏を返せば、売却による資金化を検討するなら権利期間が十分残っているうちに動くことが重要です【3】。特許の期限切れが近づくほど買い手にとって魅力が薄れ、売却価格も下がってしまうため、眠らせている特許がある場合は早めに専門家に相談し、売却やライセンスの検討を始めると良いでしょう。

特許の活用法としては他にも、自社が持つ特許を武器にクロスライセンス(他社とお互いの特許実施を許諾し合う契約)を結ぶことで、自社の技術的自由度を高めたり、他社から使用料収入を得たりする方法もあります。また、特許権を担保に金融機関から融資を受ける「知財金融」のスキームも徐々に広がっています。いずれにせよ、特許は単なる技術上の権利というだけでなく、戦略的に収益を生むビジネス資産になり得ることを念頭に置き、積極的な活用策を検討すべきです。

特許期限切れに備える実践的な対策

では、肝心の「特許の期限切れが近いと会社売却に不利になるのか」という問いに対し、経営者としてどのような対策を講じられるでしょうか。ここでは、自社で実践できる具体的な期限切れ対策をいくつか紹介します。

  • 権利延長の可能性確認: 医薬・農薬など一部の分野では特許の有効期間延長制度があります。対象分野の場合、要件を満たせば最長5年の権利延長が可能なケースもあります【1】。自社特許が該当する場合は延長出願を検討しましょう(ただし要件は限定的で審査も厳格です)。
  • 改良発明や周辺特許の出願: 基幹特許が期限切れを迎える前に、その発明を改良した新しい発明や関連技術について特許出願することで、追加の特許権を確保できます。いわゆる「囲い込み特許」を増やしておけば、元の特許が切れた後も改良技術で一定の参入障壁を維持できる可能性があります。
  • 企業秘密・ノウハウの活用: 特許は公開情報になるため期限が切れれば誰でも実施できますが、公開していないノウハウや製造プロセスなどは引き続き自社の強みとして保持できます。特許切れ後も競争力を保つため、特許で守られなくなる要素に関しては企業秘密としての管理を強化し、外部に模倣されにくい仕組みを作ることも有効です。
  • ブランド戦略で補完: 特許が切れて技術自体は真似されても、自社のブランド力やアフターサービス体制など無形の競争力で差別化を図る戦略です。特許切れ製品でもブランド忠誠度が高ければ価格維持が可能との報告もあり、知財(特許)以外の無形資産を磨くこともリスク軽減につながります。
  • 特許の早期収益化: 前述のように、残り期間が短い特許ほど時価評価額は下がります。したがって、期限が迫っている特許については早めに収益化しておくことが肝心です。具体的には、期限が切れる前にライセンス契約を締結して一時金やロイヤルティを得ておく、あるいは特許ごと売却してしまうといった対応が考えられます。特許権存続中であれば侵害に対する損害賠償請求も可能なので、故意に無断実施している企業があるなら法的措置も視野に入れましょう(交渉によってライセンス料を支払わせる和解が成立すれば、自社にとってプラスの資産となります)。

以上のような対策を講じることで、「特許の期限切れ」という不利な状況を完全に避けられなくとも、その影響を緩和し自社の価値を守ることができます。重要なのは、自社の特許ポートフォリオを定期的に棚卸しして残存期間や重要度を把握することです。権利がいつ切れるのか、その特許が自社事業や将来の会社価値にどれほど寄与しているのかを評価したうえで、優先順位を付けて上記のような対応策を実行していきましょう。

会社売却に向けた特許対策と外部支援の活用

自社の知財価値を高めリスクを低減する取り組みは、会社売却(M&A)を有利に進めるための戦略として極めて重要です。買い手から提示される価格(企業評価額)は、事業の将来性だけでなく知的財産の質と安全性にも大きく左右されます。特許の期限切れが目前に迫っている場合でも、前述したような社内対策に加えて外部の専門家支援を活用することで、適切な対応策を講じ価値を最大化することが可能です。

まず知財デューデリジェンス(知財DD)への備えとして、知財専門家による事前評価を受けることをお勧めします。特許に強い弁護士や弁理士、あるいは知財コンサルタントに依頼し、自社特許の法的安定性(無効化リスク)や残存期間、権利範囲の強さ、潜在的な侵害リスクなどを客観的に洗い出してもらいます【5】。売却プロセスに入ってから買い手側に指摘されるのではなく、事前に弱点を把握・補強しておくこと(Seller側DD)が、交渉力を維持しディスカウントを防ぐ有効な対策です【5】。例えば重要特許についてクレーム解釈の確認や権利範囲の再検討を行い、必要なら分割出願や権利移転などの手続きを取るといった具合です。

また、特許の価値評価についても専門家の査定を受けておくと良いでしょう。自社では漠然と「有望な特許だ」と思っていても、市場規模や競合状況を踏まえた客観的価値はまた別です。第三者評価を入れることで、買い手に対して知財価値を説得力ある形で示すことができます。特許の価値評価レポートや特許の棚卸し資料を用意し、どの特許がどれだけ事業貢献し将来性があるかを開示できれば、買い手の安心感につながり交渉もスムーズになるでしょう。

さらに、特許の売買・ライセンス仲介サービスの活用も検討してください。自社内に知財専門部署がない場合でも、外部のプラットフォームや仲介会社を通じて自社特許のライセンシー候補や買収ニーズを探ることができます。そうしたサービスでは、興味を持った企業同士を引き合わせてマッチングしたり、特許の簡易評価やマーケティング資料の作成支援を行ってくれる場合もあります。特許の市場動向や適正価格についてもアドバイスが得られるため、自社だけでは見落としがちな点を補完してくれるでしょう。

最後になりますが、特許の収益化をお考えの方は、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)に無料登録してみてはいかがでしょうか。自社の持つ特許を公開してライセンス提案を募ったり、他社の特許購入ニーズを調べたりできるオンラインマーケットプレイスで、知財の専門企業が運営しています。こうした外部支援も積極的に活用しながら、特許の期限切れという制約を乗り越えて、自社の知財を最大限に価値創造につなげてください。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

[1] 特許庁: 権利維持のための特許(登録)料の納付の流れについて(特許権の存続期間は出願から20年)<br>
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/kenri_iji_nagare.html

[2] IP経営参謀 (弁理士 野崎篤志): 知財の価値の評価方法は?主な評価手法と評価の視点を弁理士がわかりやすく解説(権利の残存期間が短い場合、価値が低くなる)<br>
https://ipkeyperson.com/businesscolumn/how-to-evaluate-value-of-intellectual-property/

[3] P.J. Parker株式会社: 最高価格で特許を売却(残存期間が5年未満の特許を売却することは非常に困難)<br>
https://pjparker.com/ja/販売/

[4] Pelent: Patent Ratings – Patent Valuation(ライセンシーや買い手は強力なEvidence of Use(特許技術の使用の証拠)の有無を重視する)<br>
https://www.pelent.com/patent-valuation/

[5] 日本取締役協会: リスクテイクの対象は「目に見える資産」か、「目に見えない資産」か(企業価値に占める無形資産の割合:米国90%、日本32%)<br>
https://www.jacd.jp/news/column/forward/250116_post-337.html

[6] PatentRevenue: M&Aで特許の価値をどう見極める?知財評価のポイント(クアルコム社の特許ライセンス収入により最終純利益率が30%に達した年度がある)<br>
(公開日:2025年6月1日, 株式会社IPリッチ)<br>
https://patent-revenue.iprich.jp/一般向け/1663/

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