M&Aにおける知財戦略:買い手が狙うべき特許・技術

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

この記事では、M&Aにおいて知的財産(特許や技術)を戦略的に活用する方法について解説します。買収側の企業が注目すべき知財資産や評価ポイント、知財の収益化によるメリットなど、経営層や起業家の方にも分かりやすく説明します。

目次

M&Aにおける知財戦略の重要性

近年、企業価値の大半(しばしば75〜85%)は特許やブランドなどの無形資産が占めるとされます【1】。知的財産(IP)は企業の競争力の源泉であり、M&Aにおける差別化要因として重要性が増しています【1】。実際、IPは多くの重要なM&A取引の原動力となっており、企業の知財ポートフォリオこそが最も貴重な資産であるケースも少なくありません【2】。買収側・売却側双方で知財価値への意識が高まりつつあり、IPを適切に評価・活用することが株主価値の最大化に直結すると言えるでしょう。

また、製造業からIT・製薬に至る様々な業界で、技術やブランドといった知財がM&Aの目的になる例が増えています。米国では自社の特許ポートフォリオ拡充や訴訟対策のために企業ごと買収することが一般化していますが、日本でも最近ようやく知財の重要性が認識され始め、今後は知財取得を目的としたM&Aが大きな潮流になると予測されています【3】。実際、機械・精密機器、製薬、バイオなどの業界では特許技術の獲得を狙うM&Aが行われており、化粧品、食品・飲料などの業界ではブランドやノウハウの獲得が狙いのM&Aも見られます【3】。このように知財は企業買収の重要な動機となっており、買い手企業は知財戦略をM&A戦略の中心に据える必要があります。

買い手の狙い:M&Aで注目すべき知財・技術

それでは、買収企業は具体的にどのような知財・技術に注目すべきでしょうか。まず重要なのは、ターゲット企業の保有する特許や技術が自社の事業戦略に合致し、競争優位につながるかどうかです。ただ闇雲に特許の数が多い企業を買っても効果は薄く、本当に価値のある特許を見極める必要があります。例えば、対象会社がその業界で中核となる特許を持っている場合、買い手は多少高額でも取得する価値があると判断します【4】。実際に、特許ポートフォリオが事業に不可欠であれば買収価格にプレミアムが上乗せされることもあります【4】。一方で、特許が大量にあっても内容が陳腐化していたり権利行使が難しいものばかりでは意味がありません。買収側は特許の質や適用範囲、残存期間などを吟味し、自社にもたらすメリットを評価します。

また、買収によって自社に不足する技術や将来有望な分野を取り込む戦略も有効です。時間をかけて自前開発するより、優れた技術とそれを裏付ける特許群を持つ企業を買収することで、市場参入までの時間を短縮できる場合があります。その典型例が、Google社によるMotorola Mobilityの買収です。Googleは2011年、携帯端末メーカーであるMotorola社を約125億ドルで買収し、同社が保有していた約17,000件もの特許を手中に収めました。Googleは当時、「取得した特許をAndroid陣営の保護に活用する」狙いを明言しており、実際この特許群は自社やパートナー企業を競合他社からの訴訟から守る防御策として役立てられています【5】。このように、大手企業は自社の弱点を補強したり、知財面での脅威に備える目的で特許資産の豊富な企業を買収対象とするのです。

さらに、業種によって注目すべき知財資産も異なります。製薬・バイオ分野であれば新薬の特許や製造プロセスのノウハウが最重要でしょうし、ハイテク産業であれば半導体やソフトウェア関連の特許・技術が鍵になります。ブランド力がものを言う消費財ビジネスでは、商標や顧客ネットワークといった無形資産に価値が集中します。買い手企業は業界の特性を踏まえ、「何を手に入れれば自社の競争力が飛躍するか」という視点でターゲットの知財を洗い出す必要があります。

知財デューデリジェンスとM&A戦略

買い手が知財を武器にM&Aを成功させるには、入念な知財デューデリジェンス(資産精査)が不可欠です。知財デューデリジェンスでは、対象企業が保有・利用しているすべての知的財産権を洗い出し、その価値とリスクを評価します。これにより「買収後に何を得られるのか」「潜在的なリスクはないか」を見極め、適正な企業価値の算定と統合計画の策定に役立てます【2】。

チェックすべきポイントの例を挙げると、以下のような事項があります:

  • 権利の帰属状況: 特許や技術の発明者・権利者が明確になっているか(過去の譲渡契約や従業員の契約書を確認)。権利移転が不完全だと、買収しても法的に行使できない特許を掴まされる恐れがあります【6】。
  • 特許の有効性と維持状況: 特許が適切な国で出願・登録され、年金(特許維持費)が滞りなく支払われているか。期限切れや更新漏れがないかを確認します。
  • 技術契約やライセンスの内容: 対象企業が第三者からライセンスを受けている技術はないか、ある場合その利用条件に制限はないか。逆に対象企業が他社にライセンス供与している特許があれば、買収後に独占利用できなくなる可能性も検討します。
  • オープンソースや提携先との関係: ソフトウェア企業の場合、オープンソースソフトの利用による制約(ソース公開義務など)が埋没していないかをチェックします【6】。他社との共同開発契約や提携によって発生する権利義務も把握する必要があります。

以上のような項目を精査し、潜在的なリスクを洗い出すことが重要です。もし知財に関する調査を怠れば、買収後になって「実は重要特許の権利が第三者に帰属していた」「競合に訴えられる弱点があった」と判明するケースも考えられます。その結果、当初見込んでいたシナジー(相乗効果)が損なわれたり、予期せぬ訴訟コストを抱え込む可能性すらあります【2】。実際、デューデリジェンスを十分行わなかったために買収価格が過大となり、後から減損や紛争に発展する例も報告されています【2】。したがって、買収プロセスでは法務・知財の専門家を交えて徹底的にチェックを行い、問題があれば契約条件に反映させるなどの対策が必要です。「知財の価値とリスクを正しく把握すること」がM&A戦略の成否を握ると言っても過言ではありません。

知財の収益化戦略とM&A

M&A戦略を語る上で忘れてはならない視点が、知財の収益化です。知的財産は自社で活用するだけでなく、ライセンス供与売却によって直接的な収益源とすることも可能です。例えば買収によって手に入れた特許群のうち、自社のコア事業に関係の薄いものは、他社にライセンスしたり売却したりすることで収入を得られます。実際、買収後に非中核の知財資産を選別して売却し、追加の価値を創出するケースもあります【1】。このようにM&A後の統合において知財を適切に整理することで、思わぬ隠れた価値を引き出せることがあります。

また、売り手の立場から見ても、保有する知財を収益化しておくことは有効です。特許を自社で使い切れていない場合でも、他社にライセンスすればロイヤリティ収入を得られますし、特許そのものを第三者に売却してしまう選択肢もあります。事前に知財から収益を上げられていれば、会社売却時の企業価値評価でもプラス材料となるでしょう。特許の収益化は企業に新たな収入源(継続的なロイヤリティや一時金)をもたらす戦略であり【6】、研究開発や特許維持にかかったコストを回収して利益に転換する好循環を生みます【6】。適切に収益化できている知財ポートフォリオは、買い手にとっても「完成されたビジネスモデルの一部」と評価され、M&A交渉を有利に進める材料となるでしょう。

実際、世界には特許の売買・ライセンスを専門に行う企業(いわゆるNPE=特許不実施主体)も存在し、自前では製品を作らず特許収入だけで利益を上げている例もあります。これは極端なケースかもしれませんが、それだけ「特許そのものがお金を生む資産」であることの表れです。自社では使い道のない特許でも、別の企業にとっては喉から手が出るほど欲しい技術かもしれません。M&Aの文脈でも、ターゲット企業が将来ライセンス収入を生みそうな有望特許を持っていれば評価額が高まりますし、逆に買収後に不要な特許は外部に売却してしまう柔軟性も求められます。

まとめ

総括すると、知財を武器にするM&A戦略とは、単に権利を買うことではなく「その知財でどう収益を上げ、競争力を強化するか」というビジョンまで含めた取り組みです。重要特許の獲得による市場優位の確立、知財デューデリジェンスによるリスク管理、そして知財の収益化による投資回収——これらを総合的に計画することで、M&Aは初めて真の成功につながります。

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(この記事はAIを用いて作成しています。)


参考文献

  1. Aon, “Don’t overlook the IP in M&A” (Aon(英国)インサイト記事)<https://www.aon.com/unitedkingdom/insights/dont-overlook-the-ip-in-ma.jsp>
  2. CHIP LAW GROUP, 「知的財産と新技術がM&Aを促進する」<https://www.chiplawgroup.com/知的財産と新技術がmaを促進する/?lang=ja>
  3. アンダーソン・毛利・友常法律事務所(2006)「M&Aにおける知的財産権の取扱い」<https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins6_pdf/101806_2-1.pdf>
  4. PatentPC, “IP Strategy in M&A Deals: What Buyers and Sellers Must Know” (PatentPCブログ)<https://patentpc.com/blog/ip-strategy-in-ma-deals-what-buyers-and-sellers-must-know>
  5. Phil Goldstein (2012), “Google: Motorola’s patents worth $5.5B” (FierceWireless)<https://www.fierce-wireless.com/wireless/google-motorola-s-patents-worth-5-5b>
  6. TT Consultants, “Patent Monetization: How To Choose Between Licensing And Selling” <https://ttconsultants.com/patent-monetization-how-to-choose-between-licensing-and-selling>
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