企業知財価値ランキング:トップの時価総額の62%は知財

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
企業価値評価において「知財価値」、つまり特許やブランドなど無形資産の重要性が飛躍的に高まっています。特に、日本企業の中でキーエンスがその代表例です。本記事では、キーエンスを筆頭とする日本企業の知財価値ランキング(2024年6月16日報道)を中心に、知財価値の算定方法や海外企業との比較、知財価値のビジネス上の意義、キーエンスの経営特性、そして知財の収益化について解説します。
知財価値とは何か:企業評価における無形資産の重要性
企業が持つ知財価値とは、特許や商標、技術ノウハウ、ブランドといった知的財産・無形資産に由来する企業価値のことです。近年、この無形資産が企業評価の大半を占める傾向が強まっています。実際、米国S&P500企業では市場価値の約90%を無形資産が占めているとされ【2】、非財務情報(知財や人的資本など)に基づく評価が企業価値の主体となっています【2】。一方、日本企業では有形資産への依存が相対的に大きく、無形資産比率は約3割程度に留まるとの試算があります【2】。この差は、グローバル企業(GAFAなど)が研究開発や知財戦略に巨額の投資を行い無形資産で利益を生み出しているのに対し、日本企業では従来からの有形資産重視の経営が多かったことが背景にあります。しかし日本でも近年、経済産業省や内閣官房のガイドライン策定などを通じて知財・無形資産経営への注目が高まっており、知財価値を正当に評価・活用することが企業の持続的成長に欠かせないとの認識が広がっています。
「知財価値ランキング」で見る日本企業の知財力
日経クロステックが報じた知財価値ランキング【1】では、東京証券取引所一部上場企業の市場評価から各社の知財価値を推定しランキング化しています。その結果、第1位はキーエンスとなり、以下第2位に武田薬品工業、第3位に中外製薬がランクインしました【1】。製造業のキーエンスや、医薬業界の武田・中外といった知財・技術に強みを持つ企業が上位に名を連ねている点が注目されます。
このランキングで用いられた知財価値の算定手法も興味深いものです【1】。一般に、株価純資産倍率(PBR)は簿価に対する市場評価を示す指標で、PBRが1倍を超える部分が企業の見えざる資産(将来期待や無形資産の価値)と考えられます。記事では、東証平均のPBRに対する各社の収益力(ROE)の差を用いて「将来利益の現在価値」を推定し、それを超える残りを「知財価値(無形資産由来の価値)」と定義しています【1】。例えばキーエンスの場合、当時の市場評価約10.8兆円のうち、約4.1兆円が将来利益の価値、差し引き約6.7兆円が知財価値と推定されました【1】。このように数値化された知財価値は、従来は見えにくかった企業の技術力やブランド力を定量的に評価しようとする試みと言えるでしょう。
ランキングを見ると、キーエンス以外にも上位企業には製薬会社が並んでおり、特許ポートフォリオの価値が大きな割合を占めていると考えられます。武田薬品や中外製薬は、新薬の特許やパイプライン(開発中の医薬品)といった知財が将来の収益を支える典型例です。これらの企業では、研究開発投資を通じた知財の創出が企業価値の源泉となっており、知財価値の高さが投資家からの評価につながっています。
キーエンスが知財価値首位に立つ理由
知財価値ランキング首位となったキーエンスは、どのようにして圧倒的な知財価値を生み出しているのでしょうか。その背景には、キーエンス独自の経営モデルと知財戦略があります。
第一に挙げられるのが、キーエンスのファブレス経営です。キーエンスは自社で工場を持たず、センサーや測定器などの製品の製造を他社に委託しています【5】。自社は製品の企画・設計・販売に特化し、生産設備といった有形資産を極力持たないことで高い利益率を実現してきました【5】。このファブレス戦略により、キーエンスのバランスシート上の資産は大きく膨らまず、逆に企業価値の多くを製品設計のノウハウや顧客基盤、ブランド力といった無形資産が占める構造になっています。実際、キーエンスは営業利益率が50%超と群を抜く収益性を誇り、2025年初時点で時価総額は約16.7兆円にも達し日本企業で6位に位置しています【4】。工場など大型資産を持たずとも高度な技術力と営業力で稼ぐこのモデルこそ、知財・無形資産に依拠した経営の成功例と言えます。
第二に、キーエンスは独自製品の技術開発力とその保護に注力しています。年間売上の一部を積極的に研究開発費に充てることで、他社には真似できない測定制御技術や画期的なFA機器を次々と創出してきました。その成果は特許やソフトウェアといった形で知的財産として蓄積され、自社製品の競争優位を支えています。キーエンスは特許出願件数こそ家電・IT大手ほど多くはないものの、一件一件の発明がニッチながら高付加価値な製品に結びついている点が特徴です。また、営業現場からのフィードバックを製品改良に活かす体制により、顧客ニーズを捉えた独創的な技術開発ができることも知財力の源泉でしょう。こうした技術的優位と顧客密着のビジネスモデルがブランド力を高め、結果的に知財価値(無形の企業価値)を押し上げているのです。
海外企業と知財価値:GAFAに学ぶ無形資産経営
米国のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめとする海外企業は、知財・無形資産を基盤とした経営で顕著な成功を収めています。彼らの企業価値の大部分は、検索アルゴリズムやOS、ブランド、プラットフォームといった無形資産に由来しています。Apple社の例では、製品デザインの意匠権やユーザー体験を支えるソフトウェア特許群、そして何より世界的ブランド価値が同社の市場評価を支えています。Google(Alphabet)も検索やAIに関する膨大な特許・ノウハウを有し、データ資源やアルゴリズムという無形資産で収益を上げています。こうした企業では、毎年数十億ドル規模で研究開発投資が行われ、新たな知的財産を創出→事業化するサイクルが高速で回っています。その結果が前述の**無形資産90%**という市場評価に表れているわけです【2】。
では、日本企業はGAFAと比べて知財価値で見劣りするのでしょうか。確かに、産業構造や企業文化の違いから、現時点ではGAFAほど無形資産偏重の企業は日本には多くありません。しかし、自動車産業や電子部品産業など世界トップクラスの企業が存在する日本においても、近年はソフトウェアやデータの価値が飛躍的に高まっています。例えばトヨタ自動車はハイブリッド車関連特許を多数抱えつつ、自社の特許を他社に開放・ライセンス提供する戦略も打ち出しています。また、ソニーグループはエンターテインメント分野での知財(音楽・映像の著作権やゲームIPなど)が大きな収益源となっています。このように、日本企業もそれぞれの強みを活かした知財戦略を加速させつつあり、GAFAに匹敵する無形資産経営を目指す機運が高まっています。今後は企業内の知財部門が経営戦略の中核として、技術やブランドをいかに価値創造・収益貢献につなげるかが問われるでしょう。
知財価値のビジネス上の意義と「知財の収益化」
知財価値の最大化は単に企業の見えない価値を高めるだけでなく、実際のビジネス収益にも直結します。知的財産は自社製品・サービスの競争力源泉となるだけでなく、それ自体を他社に提供することで収入を得ることも可能です(知財の収益化)。例えば、IBMは古くから特許ライセンス事業で知られ、近年でも年間約3,000億円規模のライセンス収入を得ています【3】。これはIBMにとって収益源の重要な柱となっており、自社の技術を他社に使わせることで巨額のロイヤリティを受け取っているのです。また、米クアルコムのように特許ライセンスビジネスを主軸に据える企業も存在し、自社では製品を作らず知財提供で利益を上げるモデルも確立されています。
日本企業でも、自社未使用の特許を外部にライセンスしたり売却したりする動きが少しずつ広がっています。かつては他社とのクロスライセンス(相互実施許諾)が中心でしたが、近年では特許を現金化(パテントマonetization)することへの関心が高まり、特許流通市場が整備されつつあります。特許の売買仲介やオークション、さらには特許を複数束ねたパテントプールへの参加など、知財を眠らせずに収益に変える手法が登場しています。企業にとっては、使い道のない特許からライセンス料収入を得たり、不要特許の売却で事業資金を調達したりといったメリットがあります。さらに、中小企業やスタートアップにとっては、大企業の持つ特許をライセンス購入して活用することで自社製品開発を加速できる利点もあります。知財の流動性を高め有効活用することは、イノベーションの促進と経済全体の効率向上にもつながるのです。
重要なのは、自社の知財に適正な価値を見出し、それを必要とする相手に提供するマッチングです。ここに知財専門企業やプラットフォームの役割があります。当社IPリッチが提供する「PatentRevenue」は、特許をお持ちの方がその特許情報を登録し、ライセンス提供や売却先を探せるプラットフォームです。自社では活用しきれない特許でも、第三者にとっては喉から手が出るほど欲しい技術かもしれません。そうした機会を逃さずキャッチすることで、知財価値を直接収益に転換することが可能になります。
おわりに:知財価値を高め収益につなげよう
企業価値に占める知財・無形資産の重要性は今後ますます高まっていくでしょう。キーエンスのように知財を核としたビジネスモデルで大きな企業価値を創出する例もあれば、特許ライセンス収入で収益基盤を築くIBMのような例もあります。自社の知財価値を正しく把握し、高め、それを事業戦略および収益に結び付ける取り組みが求められています。そのためには経営トップから現場まで知財マインドを持ち、攻めの知財経営を実践することが肝要です。
弊社では、そうした知財の有効活用を支援するサービスとして「PatentRevenue」を提供しています。特許を無料登録でき、潜在的なライセンシーや購入希望者とのマッチングの機会を提供しております。眠っている特許資産がある方は、ぜひ一度PatentRevenue(https://patent-revenue.iprich.jp)に無料登録して、その知財ポテンシャルを収益に変える一歩を踏み出してみてください。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 日経クロステック「キーエンスが首位、2位・3位は? 知財価値ランキング」(2020年6月16日)<br>https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00736/00016/
- 内閣官房「非財務情報可視化研究会の検討状況(令和4年3月)資料4」<br>https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/sustainability/dai1/siryou4.pdf
- Patent Releace(パテントリリース)「ライセンスビジネスの基本理解」(2025年1月16日)<br>https://patentrelease.com/?p=718
- JBpress「営業利益率50%超を叩き出すキーエンスの収益力の秘密とは?」(2025年1月24日)<br>https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86672
- 東洋経済オンライン「キーエンスはそもそも何がスゴいのか あえて”キラキラしない”経営哲学の神髄」(2025年3月19日)<br>https://toyokeizai.net/articles/-/865365

