メリットとともに抑えるべき特許のデメリット

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
今回は「特許のデメリット」をテーマに、良い面だけでなく悪い面も包括的に紹介します。経営者や起業家の皆様にとって、知財戦略を考える上で特許のデメリットもしっかり理解することが重要です。本記事では、特許のデメリットを9つのポイントに分けて解説し、特許の取得や活用の判断材料としていただければ幸いです。
特許取得・維持にかかる高額な費用
特許を取得し、その権利を維持するには多額の費用がかかります。出願手数料から登録料、代理人(弁理士)への依頼費用、権利維持の年金まで様々なコストが発生します。実際、特許事務所に依頼して出願・権利化する場合、一般的に総額約60万円前後の費用(+その後の維持費用)が必要になるとのデータもあります【1】。たとえ各種の減免制度や補助金を活用しても、数十万円の出費は避けられません【1】。
- 出願料(特許庁への申請手数料)
- 審査請求料(審査を求めるための費用)
- 代理人(弁理士)への手数料
- 特許料(年金)(権利維持のため毎年支払い)
費用を抑えるために自分で出願手続きを行う起業家の方もいますが、それでも出願から特許取得まで約15〜20万円程度はかかるとされています【1】。しかも、自力で特許明細書などの書類を作成するには専門知識が必要で、安く済む代わりに膨大な時間と労力がかかる点にも注意が必要です【1】。さらに、晴れて特許権を取得した後も毎年の年金(特許維持料)を払い続けなければならず、権利を存続させるコストは累積していきます。
これらの特許取得・維持コストは、ビジネスの収益で回収できない恐れもあります。製品のライフサイクルが短かったり利益率が低かったりする発明の場合、特許出願・維持にかかる費用が最終的な利益を上回ってしまうケースもあると指摘されています【2】。限られた経営資源の中で高額な特許費用を捻出することは、スタートアップや中小企業にとって大きな負担と言えるでしょう。
特許出願から権利化まで長い時間と労力がかかる
特許権を取得するまでには長い時間と手間がかかります。特許庁に出願してから審査を経て登録されるまで、通常1~2年程度を要し、順調でも半年、長いと5年以上かかることもあります【1】。審査では発明の新規性・進歩性が厳しく精査されるため、そのプロセスに時間がかかるのです。特許出願中は審査結果が出るまで権利行使できないため、出願してすぐに発明を独占できるわけではない点に注意が必要です【1】。
また、この審査過程で拒絶理由が通知されれば、意見書や補正書を作成して再提出するなど追加対応も発生します。経験の浅い起業家にとって、専門的な対応には相当な労力を伴います。ビジネスのスピードが命のスタートアップでは、特許に時間と人手を取られることで他の重要業務が圧迫される恐れもあります。権利化の長期化は市場投入のタイミングを逃すリスクにもつながり、知財戦略上の機会損失となりかねません。
特許出願によって発明内容が公開される(秘密にできない)
特許制度は発明内容を公開する代わりに一定期間の独占権を与える仕組みです。そのため特許出願をすると原則として1年6か月後に発明内容が公開され、公報として誰でも詳細を閲覧できるようになります【1】。つまり、特許を出願した時点で自分の発明を秘密にしておくことはできなくなるということです。
公開されることで、自社の技術情報が競合他社の目に触れるようになります。場合によっては、公報を見た第三者が特許請求の範囲を巧妙に避けた類似技術を開発してしまうリスクも指摘されています【1】。特許権として保護される範囲外であれば、こちらの発明を真似されても法的に阻止できないため、情報開示のデメリットは小さくありません。
また、特許にならなかった場合でも公開されてしまう点にも注意が必要です。出願後に審査で拒絶された場合や、権利化を断念した場合でも、出願から1年半経てば内容は公開されてしまいます【1】。特許権を得られなかったにもかかわらず、自社のアイデアだけ世の中に公開される最悪の結果もあり得るのです。
一方で、発明の内容によっては公開せず社内ノウハウとして秘匿した方が有利なケースもあります。たとえば製品を見ただけでは分からない製造プロセスや、公開したくないコア技術が含まれる発明は、無理に特許にせず企業秘密として抱えておく戦略も有効です【2】。このように「公開して権利を取るか、リスク覚悟で秘密にするか」は難しい判断ですが、少なくとも特許を取る以上は情報公開が前提になる点を押さえておきましょう。
特許化されないリスク(出願しても拒絶・無効の可能性)
特許出願をしたからといって、必ずしも特許権が取得できるとは限りません。審査の結果、発明の新規性や進歩性が不足していると判断されれば拒絶査定となり、時間と費用をかけても権利化できない可能性があります。特に既存の技術との差異がわずかな改良発明などは拒絶されやすく、せっかく出願しても「特許にならなかった」という事態も珍しくありません。
さらに、いったん特許権を取得できても安心はできません。特許公報が公開されると、第三者は誰でもその特許に対して無効審判を請求できます。他社から「その特許は無効だ」と異議を申し立てられ、最終的に特許が取り消されてしまうリスクもあります。特に広範な権利を狙って取得した特許ほど他社の目につきやすく、訴訟や無効審判で攻撃される可能性が高まります。
このように「出願したが特許にならない」「特許を取ったが無効になる」リスクはゼロではありません。結果的に特許権が手元に残らず、当初の出願公開だけが徒費に終わることも起こり得ます。知財戦略上、特許に投じたリソースが無駄になる最悪のシナリオも踏まえておく必要があります。
特許権の行使には訴訟など多大なコストと負担が伴う
特許権を取得しても、それを実際に行使(権利侵害の排除や賠償請求)するのは容易ではありません。もし第三者が自社の特許発明を無断で使用している疑いがある場合、差止めや損害賠償を求めるには訴訟も辞さない対応が必要になることがあります。しかし、訴訟に踏み切ることは中小企業や個人事業主にとって大きな負担です。
特許侵害訴訟を起こせば、多額の訴訟費用と長期間の係争を覚悟しなければなりません。日本では特許訴訟全体で総額500万~1000万円程度の費用がかかるとの報告があり、ケースの難易度次第では一審だけで1500万~2500万円に達する場合もあるとされています【3】。アメリカなど海外での特許係争では更に巨額の費用が発生し、数億円規模に及ぶことさえあります。訴訟に要する時間も1~2年程度は普通で、控訴・上告すれば最終解決まで5年以上費やすケースもあります【3】。
また、訴訟になれば経営者自身も打ち合わせや裁判所対応に追われ、本業に割く時間が削られます。月一回以上の頻度で法廷や弁護士との打ち合わせに臨む負担は、中小企業にとって計り知れません。さらに、訴訟の結果敗訴すれば費用倒れになるリスクや、逆に相手から特許無効を主張され反訴されるリスクもあります。特許権を守るためにはこれほどの重いハードルが存在することを、取得前に認識しておくべきでしょう。
特許は権利範囲に限界があり、迂回される恐れもある
特許権で保護できる範囲(特許請求の範囲)には限界があります。特許明細書には権利の及ぶ範囲が厳密に記載されますが、それは発明の本質を反映しつつも具体的な技術的範囲に限定されます。そのため、特許権の及ばない代替手段を考案されてしまう恐れは常につきまといます。
競合他社は公開された特許情報を研究し、特許請求項に触れないギリギリの設計変更や迂回技術によって類似製品・サービスを提供できるかもしれません。実際、特許出願公開後に他社が設計を回避して類似発明を開発するケースも報告されています【1】。特許権者としては侵害だと感じても、法律上は相手の技術が権利範囲から外れていれば権利行使はできません。
また、特許請求の範囲を広くカバーしようとすれば、その分審査で拒絶されるリスクが高まります。逆に権利範囲を狭めて特許を取得した場合、市場で少しでも異なるアプローチを取られると簡単に権利の網をすり抜けられてしまいます。つまり、特許には発明を100%守り切る万能性がないということです。特許権はあくまで特定の発明についての限定的な独占権であり、抜け道を完全に封じるのは難しい点を心得ておきましょう。
特許権は国ごとの権利で、グローバルに保護するには追加費用が必要
特許権は各国ごとに成立する地域限定の権利です。日本で特許権を取得しても、その効力は日本国内にしか及びません。同じ発明を海外でも保護したければ、その国ごとに特許出願を行い権利化する必要があります。当然ながら、出願・取得コストも国の数だけ増加します。
近年は製品やサービスのグローバル展開が当たり前になりつつあり、日本企業の海外特許出願件数も年々増加傾向にあります【4】。自社のコア技術を主要市場すべてで独占するには、日本だけでなく米国、欧州、中国などへの特許出願が欠かせません。しかし各国の特許取得にはそれぞれ数十万〜数百万円規模の費用がかかるため、中小企業が網羅的にグローバル特許を押さえるのは現実的に難しいのが実情です。
また、手続きを各国で行うための事務負担や現地代理人との調整なども経営者にとって大きな負荷となります。仮に主要国すべてに出願すれば資金も労力も膨大になり、その間に市場機会を逃すリスクもあります。特許には国際的な保護範囲の限界があることを踏まえ、参入国の選定やコスト配分を慎重に検討する必要があるでしょう。
特許の存続期間と技術陳腐化による価値低下の懸念
特許権には存続期間(有効期限)が定められており、原則として出願日から20年間で権利は消滅します【1】。20年経てば発明はパブリックドメインとなり、誰でも自由に実施できるようになります【1】。しかし実際のビジネスでは、20年よりずっと短い周期で技術や市場トレンドが移り変わる場合が少なくありません。
特にIT・ソフトウェア、電子機器、Webサービスなどの分野では製品や技術のライフサイクルが極めて短く、数年で陳腐化してしまうこともしばしばです。近年は製品ライフサイクルの短期化が進み、多くの商品が市場投入から数年で淘汰される傾向があると指摘されています。例えばある調査では、2000年代には新商品発売から3年以内に約75%が市場から姿を消していたとのデータもあります。せっかく特許を取得しても、市場が急速に移り変われば特許が有効なうちに十分収益化できない恐れもあります。
また、特許権の有効期間中でも技術的優位性が時とともに薄れる場合があります。他社が代替技術を開発したり、市場ニーズ自体が変化したりすると、特許が切れる前にその価値が低下してしまうこともあるのです。特許は取得後に時間が経つほど価値が目減りしやすい資産でもあります。技術分野によっては「特許が権利として存続している期間=稼げる期間」とは限らない点に留意が必要です。
特許の収益化は難しく、取得してもビジネス成功は保証されない
「特許を取れば儲かる」「画期的な発明があれば大企業にライセンスして一攫千金」といったイメージを持たれることがあります。しかし、特許の収益化は現実には容易ではありません。特許権そのものは独占権に過ぎず、それだけでお金が生まれるわけではないからです【5】。発明自体に十分な市場価値と需要があって初めて、特許による独占が利益につながります。言い換えれば、発明が売れて儲かるかどうかが本質であり、特許はその利益を守るための手段に過ぎないのです【5】。
実際の統計でも、取得された特許のうち半数程度しか事業に活用されていないとの報告があります【4】。残りの未活用特許の多くは、自社事業を守るために他社に使わせない「防衛的な特許」にとどまっており、直接的な収益を生んでいません【4】。特許を製品化・事業化して初めて売上につながりますが、そのハードルを超えられる発明はごく一部なのが現状です。
また、特許を他社にライセンスして収入を得る道も簡単ではありません。特に個人やベンチャーが大企業に特許技術を売り込んで契約を結ぶのはハードルが高く、「特許を取得するよりライセンス契約を結ぶ方が100倍難しい」といった声もあるほどです【5】。仮に興味を示す企業が現れても、今度は適切なロイヤリティ(実施料)の交渉という難関があります。技術の市場貢献度や代替手段の有無によって特許の値段交渉は複雑で、合意に至るまでに時間がかかったり決裂したりするケースも少なくありません。
このように、特許権は取得しただけでは宝の持ち腐れになり得ます。むしろ毎年の維持費用や権利管理コストだけが嵩み、ビジネス上の成果に結び付かない例も多いのです。特許はあくまで事業を支援するツールであり、取得したからといって事業の成功が約束されるものではありません。特許出願の際は「この特許でどう収益を生むのか?」という視点を持ち、取得後の活用計画まで見据えることが重要です。
特許にはこのように様々なデメリットが存在します。もちろん特許権は自社の技術を守り競争優位を築く上で強力な武器となり得ますが、良い面ばかりではなく悪い面もしっかり踏まえた上で戦略的に活用することが肝要です。知財戦略を検討する際には、以上のポイントを参考に特許を取るべきか・取らざるべきかを慎重に判断してください。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 知財タイムズ「特許出願(申請)するべき?特許のメリット・デメリットを徹底解説!」 – https://tokkyo-lab.com/co/merit
- 弁理士法人大島特許事務所「特許権を取得するメリット/デメリット」(2023年11月14日) – https://www.oshpat.jp/topics/1132/
- PatentRevenue「弁護士に聞く特許訴訟の実情:裁判費用とかかる時間は?」 – ※PatentRevenueサイト内記事(2020年代)
- 中小企業家同友会 全国協議会「特許を巡る最近の状況」(経営者のための知的財産入門 第4回 , 2013年8月21日) – https://www.doyu.jp/topics/20130821-101323
- ISOKANET「個人が特許のライセンス契約から利益を得るのは難しい」 – https://www.isokanet.com/tokususu/rieki.html

