スタートアップが特許で収益化する5つのコツ

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

スタートアップや個人事業主、起業家の皆様に向けて、本記事では特許を活用して収益を上げるための5つのコツを紹介します。特許は自社技術の保護だけでなく、ライセンス供与や売却によって資金化できる重要な知的資産です。特許の収益化に役立つ基本戦略や価値向上の工夫、ポートフォリオ構築、交渉術、専門家・プラットフォーム活用まで、実践に役立つ知識を幅広く解説します。

目次

特許収益化のコツ①:ライセンスと売却の基本戦略

特許権は技術を独占するだけでなく、他社に提供して収益を得ることもできる重要な経営資源です。自社で使わない特許でも、他社へ有償で譲渡(売却)したりライセンス供与したりすることで収益を上げられます[1]。実際、自社では製品化せずに研究開発に特化し、得られた特許を他社にライセンスアウトして収入を得るビジネスモデルも成立します[1]。

ライセンスと売却にはそれぞれ特徴があります。ライセンス(実施許諾)は自社が特許の権利を保有したまま、他社にその発明を使用させる契約で、対価として継続的にロイヤリティ収入を得られます。一方、特許の売却(譲渡)は特許権の所有権を完全に移転することで、一度きりのまとまった資金を得る方法です。ただし売却した場合、元の権利者にはその特許に関する権利が残らない点に留意が必要です。また、自社で活用予定のない特許を売却すれば、毎年の特許維持費の負担を減らしつつ資金を調達できる利点もあります。逆に、自社の事業に不可欠なコア特許はむやみに手放さず、ライセンス供与によって他社に活用させながら自社も権利を保有し続ける方が長期的利益につながるでしょう。

効果的に特許収益化を図るには、特許の魅力や価値を相手に伝える工夫も重要です。検討している特許が有効に存続しているか(年金未納による権利失効がないか)を確認した上で、発明の優位性やビジネス上のメリットを整理し、提案資料などで相手企業にアピールしましょう。例えば「従来技術より性能が大幅向上する」「環境規制に適合したクリーン技術」「特許庁審査で競合の先行技術が引用されなかった唯一の発明」など、特許の強みがひと目で伝わるポイントを示すと関心を引きやすくなります。こうした準備を十分に行うことで、交渉を円滑に進め、より有利な条件でライセンス契約や譲渡契約を成立させる土台が築けます。

特許収益化のコツ②:技術範囲と請求項の工夫

スタートアップにとって、特許の「質」を高めることは収益化の鍵です。一つの特許から得られるライセンス料や売却価格は、その特許がもたらす経済的価値、すなわち「その特許を使用することで生み出される利益」に基づいて決まります。したがって、特許権の価値を高めるには、できるだけ広く強力な権利範囲で競合他社を排除し、技術の独占度を高めることが重要です。特許請求の範囲(クレーム)が広く有効で、残存期間が長い特許ほど、長期にわたり利益を生む可能性が高いため価値も上がります[6]。逆に、容易に設計回避できる狭い権利範囲や、存続期間が残りわずかな特許では、ライセンス料率も低く評価されがちです[6]。

特許出願の段階から、発明のどの点が事業上の「マネタイズポイント」(収益源)かを意識してクレームを作成することが重要だと指摘されています[1]。自社の製品・サービスの収益に直結する中核技術や優位性をしっかりと特許請求項に盛り込み、その部分を競合に真似されないよう幅広く権利化しましょう。また、主張したい技術的特徴を複数の観点からカバーするために、独立請求項と従属請求項をバランスよく構成することも有効です。クレームを適切に作成できていないと、せっかく特許権を取得しても侵害をカバーできなかったり無効理由を突かれたりするリスクが高まります。実際、特許請求項の作成精度は特許の有効性や実用性に大きく関わるため、専門家の知見を活用して正確かつ抜けのない権利範囲を確保することが肝要です[4]。

さらに、特許明細書の記載も特許価値に影響します。明細書には発明の詳細な説明や実施例を充実させ、クレームを広く解釈できるよう十分なサポートを与えることで、特許の安定性と技術的価値が高まります。これにより特許無効化を回避しつつ、より多くの実施形態を網羅してライセンシー候補の裾野を広げることができます。必要に応じて特許事務所の弁理士に依頼し、請求項の文言や明細書の内容をブラッシュアップすることは、特許の価値最大化につながる有益な投資と言えるでしょう。

特許収益化のコツ③:構築と優先順位づけ

特許は個別に価値を発揮するだけでなく、複数の特許を組み合わせたポートフォリオ(特許群)として戦略的に活用することで、より大きな競争力と収益機会を生みます。ただしスタートアップには資金・人材に限りがあるため、やみくもに特許出願を増やすのではなく、優先順位をつけた知財戦略が不可欠です[3]。事業の中核となる重要技術や製品に関する特許を最優先に取得・維持し、それ以外の領域は状況に応じて取捨選択することが求められます[3]。

典型的なアプローチとしては、まず自社の主力製品やサービスに直結する発明について広範かつ重要な基本特許を押さえ、その後に関連する周辺技術について複数の特許を取得して強力な特許網(いわゆる「特許フェンス」)を構築していく方法が推奨されています[3]。初期段階では自社の競争優位を決定づけるコア特許に経営資源を集中投入し、後から周辺特許で権利範囲のすき間を埋めることで、効率良く手厚い知財防衛ラインを築けます。また、リソースが限られる中では、特に市場規模が大きく収益性の高い領域に特許出願を優先し、自社の成長ビジョンに照らして重要度の高い発明から順に権利化していくことも重要です[3]。反対に、将来的な事業貢献度が低い周辺アイデアや、不採算となったプロジェクトの特許化は見送り、コストを節減する決断も必要でしょう。

既に保有する特許についても、定期的な棚卸しと戦略見直しを行いましょう。市場環境や自社の事業計画が変化した際には、特許ポートフォリオを再評価し、維持すべき特許と他社に活用させる(ライセンスアウトや売却する)特許を整理することが望ましいです。実際、特許権を他社に広くライセンスしてプレイヤーを増やし市場自体の規模を拡大するオープン戦略と、自社利益を確保するクローズ戦略を適切に組み合わせることで、市場拡大と自社利益の両立が図れる場合もあります[1]。自社で塩漬けになっている特許があれば、むしろ積極的に外部展開することでロイヤリティ収入や共同開発の機会を得られ、維持費負担の削減にもつながります。

さらに、特許を取得する国・地域の選定も重要です。自社の事業展開地域や将来提携したい企業が存在する主要市場では、できる限り特許を押さえておく方が望ましいでしょう。他国で模倣品が出回ると自社の収益が脅かされますが、該当国で特許権を取得しておけば模倣品排除によって収益を守れるためです[1]。特に競争が激しいグローバル市場を目指すスタートアップであれば、日本国内のみならず米欧中など主要国への特許出願も検討し、ポートフォリオの地理的な厚みを持たせることで、海外企業も含めたライセンシング機会を最大化できます。

特許収益化のコツ④:トラブルを避ける交渉戦略

他社とのライセンス交渉では、単なる料金交渉に終始するのではなく、双方にメリットがあるWin-Winの合意を目指す姿勢が重要です。自社の知的財産を活用してもらい収益を得るライセンサー側と、技術を利用して事業価値を創出するライセンシー側が、ともに利益を得られる関係を築くことが理想です。そのためにも、交渉に入る前の事前準備を徹底しましょう。自社の期待するロイヤリティ水準や許諾したい範囲(独占権の有無、用途・地域・期間など)といった譲れない条件と、妥協可能なポイントを社内で整理・共有し、代替案(BATNA)も用意しておきます。交渉中に社内意見の不一致が表面化すると相手に足元を見られかねないため、経営陣と実務担当者の間で「何を最優先するか」(例えば短期収益か将来の市場開拓か)をあらかじめ擦り合わせておくことも大切です。

交渉の過程では信頼関係の構築を意識し、相手の立場も尊重したコミュニケーションを図ります。一方的に自社の要求ばかり押し通すのではなく、相手企業にとっての利点も提示しながら歩み寄れるポイントを探りましょう。また、提案条件に対して相手から懸念や拒否反応が示された場合には、いたずらに対立せずに代替案を示す柔軟さも必要です。契約条件には、金銭面(一時金や継続ロイヤルティ、マイルストンなど)だけでなく、ライセンスの範囲(独占か非独占か、用途や地域の限定の有無)、サブライセンス権の扱い、契約期間、秘密情報の取り扱い、改良発明の権利帰属など多くの論点があります。これらについて相手と意見がぶつかった際も、視点を変えて互いに受け入れやすい解決策を模索する姿勢が望ましいです。こうした誠実で建設的な対応は相手からの信頼にもつながり、長期的なパートナーシップ構築に寄与します。

知財交渉においては、可能な限り紛争を事前に防ぐことが肝心です。他社の特許侵害リスクを減らすため、自社技術に関連する他社権利を事前調査(FTO調査)し、必要に応じて交渉による実施許諾を得ておくと安心です。また、自社の重要技術については先んじて特許権を取得しておくことで、競合他社による特許の囲い込みを防ぎ、自社事業が他社特許によって差し止められる事態を避けられます[1]。仮に自社が他社特許を一部実施している状況でも、こちらも強力な特許ポートフォリオを保有していれば、互いに権利を出し合って和解する余地が高まります[1]。知的財産は紛争の抑止力になると同時に、交渉決裂時の防御カードにもなり得るため、日頃から自社にとっての交渉力の源泉として知財を蓄えておくことが有効です。契約締結後も、合意したライセンス条件を順守し、相手との良好な関係を維持することで、トラブルの発生を未然に防ぎましょう。

特許収益化のコツ⑤:専門家・プラットフォームの活用

知的財産の収益化を成功させるには、専門家の知見や外部プラットフォームを上手に活用することも重要です。スタートアップ内部に十分な知財経験がない場合でも、外部の力を借りれば効果的な戦略を構築できます。例えば、特許の出願やライセンス契約の交渉にあたっては、弁理士や知財に詳しい弁護士に相談することで、適切な権利範囲の確保や契約条項のリスクヘッジが期待できます。また、特許の市場価値評価や売却先の探索については、知財コンサルタントや仲介業者(ブローカー)を活用する手もあります。専門家をうまく巻き込むことで、自社だけでは見つけられない活用アイデアやマッチング機会が得られるでしょう。

公的な支援策も積極的に利用しましょう。独立行政法人INPITが全国に設置している「知財総合支援窓口」では、中小企業やスタートアップを対象に知財戦略策定や権利活用について専門家(知財戦略エキスパート)の無料サポートが受けられます[5]。実際、特許庁のスタートアップ支援プログラムでは知財メンターの派遣や、大企業との連携支援なども行われており、こうした公的サービスを使うことで限られたリソースでも高度な知財戦略に取り組めます。困ったときは遠慮なく公的機関の窓口を活用し、有益なアドバイスをもらうのがおすすめです。

さらに、インターネット上の特許プラットフォームを活用すれば、自社では接点のない企業にも効率的にアプローチできます。特許庁では、特許権者からの申出により「当該特許をライセンス・譲渡する用意があります」という情報を特許公報に掲載するサービスを提供しています[2]。この制度を利用すれば、保有特許のライセンス希望を公にアピールでき、思わぬ企業から声がかかる可能性もあります。また、民間の特許マッチングサイトを利用するのも有効です。例えば特許流通プラットフォーム「PatentRevenue」では、特許情報を登録しておくことで国内外の企業からライセンスや買収の打診を受けることができます。専門家が仲介に入ってくれるサービスもあり、契約実務に不慣れなスタートアップでも安心して活用できるでしょう。

知財の収益化はスタートアップにとって大きな成長チャンスです。これまで紹介した5つのコツを参考に、自社の特許を眠らせず積極的に活用してみてください。特に、「宝の持ち腐れ」になっている特許がある方は、PatentRevenue(https://patent-revenue.iprich.jp)に登録してみましょう。自社の技術に価値を見出してくれるライセンシー企業や買い手企業と出会い、知財から新たな収益を生み出すきっかけになるはずです。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献

  1. 日本弁理士会「中小企業・ベンチャー・スタートアップの知財戦略ガイド」 (日本弁理士会, 2021) – https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/07/Intellectual-Property-Strategy-Guide.pdf
  2. 特許庁「権利譲渡又は実施許諾の用意に関する公報掲載申込みについて」 (特許庁ウェブサイト) – https://www.jpo.go.jp/system/laws/koho/kenri_jyouto_kouhou_moushikomi.html
  3. 近畿経済産業局「スタートアップの知財・法務ガイドブック」 (2025年) – https://www.kansai.meti.go.jp/2-4bio/Startup/Startups_Intellectual_Property_and_Legal_20250304.pdf
  4. 叶野 徹「特許請求項とは?請求項の書き方や注意点を弁理士が徹底解説」 (知財の杜ブログ, 2023年) – https://brandagent.jp/blog/2023/04/19/tokkyo_seikyuko/
  5. INPIT「スタートアップ知財支援窓口について」 (INPITウェブサイト) – https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ip_startup/index.html
  6. 株式会社IPリッチ「ライセンス料ってどう決まるの?特許の価値を評価するポイント」 (PatentRevenue一般向け記事, 2025年) – https://patent-revenue.iprich.jp/一般向け/1397/
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