大学発の発明と特許 – 私たちの生活に役立つ研究成果

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
本稿では、国内外の大学が生み出した医療、AI、環境、農業など多様な分野の発明・特許について、私たちの生活やビジネスにどう役立つかを具体的に紹介します。各技術の発明内容や特許の概要、そして社会実装の事例や実用化の現状を、信頼できる情報源に基づき解説していきます。
医療分野の研究成果と特許
医学・生命科学の分野では、大学の基礎研究から画期的な医療技術が生まれ、特許を通じて広く活用される例が多くあります。例えば、人工多能性幹細胞(iPS細胞)は京都大学の山中伸弥教授らの研究から2006年に世界で初めて樹立されました【1】。この技術により、皮膚など体細胞から様々な組織の細胞を作り出すことが可能となり、再生医療や創薬研究に新たな道が開かれました。京都大学はiPS細胞の基本技術に関する特許を日本・米国・欧州など世界各国で取得し【1】、大学の技術移転機関を通じて企業へ非独占的ライセンス供与を行っています。これにより企業は安心して研究開発に投資でき、iPS細胞を用いた新薬開発や細胞治療の実用化が加速しています【2】。実際、2014年には理化学研究所のチームが加齢黄斑変性症の患者に対し、世界初のiPS細胞由来細胞の移植治療を実施し、一定の安全性と有効性を示しました【2】。現在もパーキンソン病など難病への応用研究が続けられており、大学発の特許技術が再生医療の未来を切り拓いています。
AI・IT分野の研究成果と特許
情報技術や人工知能(AI)の分野でも、大学の研究成果が特許によって保護され、大企業のビジネスに直結した例があります。代表的なのがGoogleの検索エンジンの基盤技術です。スタンフォード大学大学院生だったラリー・ペイジ氏らが開発したウェブページの評価アルゴリズム「PageRank」は大学在学中の発明だったため、その特許権はスタンフォード大学に帰属しました。Google社はこの特許を独占的に実施するライセンスを大学から取得し、新会社の成長に結び付けました【3】。スタンフォード大学は対価として受け取った自社株1百80万株を2005年に売却し、3億3,600万ドル(約336億円)の収益を得ています【3】。これは大学にとって史上例のない巨額のライセンス収入となり、大学研究の価値を世に示す事例となりました。
また、AI研究においても大学発技術が企業に取り込まれています。ディープラーニング(深層学習)の先駆者であるトロント大学のジェフリー・ヒントン教授は、大学内の研究成果を元に2012年にスタートアップ「DNNresearch」社を設立しました。翌2013年、Google社はこの小さな大学発ベンチャーを買収し、ヒントン教授および大学院生らを迎え入れています【4】。トロント大学によれば、ヒントン教授のニューラルネットワーク研究は音声認識や画像認識、言語理解など幅広い分野に応用可能であり、Googleはこれらの先端技術を自社サービスに活用する狙いがありました【4】。このように、大学の研究者が開発したAIアルゴリズムやソフトウェアに特許やノウハウが付与され、大企業による買収やライセンス供与を通じて実社会で利用されるケースが増えています。大学発の特許技術はAIスピーカーの音声対話機能や画像認識、自動運転などにも活かされており、産業界のイノベーションを下支えしています。
環境分野の研究成果と特許
環境・エネルギー分野でも、大学の研究から生まれた発明が特許を経て社会に大きな貢献をしています。顕著な例の一つが青色発光ダイオード(青色LED)の開発です。1980年代、名古屋大学の赤崎勇教授(当時)と天野浩氏らの研究グループはガリウムナイトライド半導体を用いた高効率な青色LEDの開発に成功し、1986年に関連する特許を出願しました。その後、産学連携により豊田合成社で実用化が進められ、1990年代半ばには高輝度青色LEDが製品化されています【5】。青色LEDの発明は照明の省エネ化に大きく寄与し、「20世紀に白熱電球がもたらした光の革命に匹敵する」と評される技術革新となりました。
当時の日本では、大学の公的資金による研究成果の特許を大学自身が保有できるよう制度が整備されたこともあり(いわゆる日本版バイドール法の施行)、名古屋大学は青色LED関連の特許を活用してライセンス収入を得ることが可能になりました【5】。実際、青色LEDの特許実施料として名古屋大学には累計で14億円以上の収入がもたらされ、発明者である赤崎教授自身にも一定額が報奨として還元されました【5】。大学はこの特許収入を基金として蓄え、2006年に赤崎記念研究館(赤崎教授の名を冠した研究棟)を建設しています【6】。この研究館は次世代の光・材料分野の研究拠点となっており、大学発明の成果が新たな研究投資や人材育成に再循環する好例となりました。
青色LED以外にも、大学発の環境技術が社会実装されています。例えば、プラスチックごみ問題に対しては、米国テキサス大学オースティン校の研究チームが開発したプラスチック分解酵素が注目されています。この酵素はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂をわずか1〜数日で分解できる「FAST-PETase」と呼ばれる変異酵素で、2022年に論文発表されました。テキサス大学はこの酵素技術について国際特許出願を行っており、今後は企業と連携して工業規模でのプラスチックリサイクルへの応用が期待されています。大学の研究成果が特許を通じて環境産業に提供されれば、従来は困難だったプラスチック廃棄物の低コストリサイクルや大気中のCO₂削減、新素材の開発などにも道が開けるでしょう。こうした大学発の環境技術は、持続可能な社会の実現に向けた重要なイノベーションの源泉となっています。
農業・食品分野の研究成果と特許
農業・食品分野でも、大学の研究成果が特許技術として社会に応用され、人々の健康や食糧問題の解決に役立っています。最近の例では、筑波大学発のバイオベンチャーであるサナテックシード社が開発した高GABAトマトが挙げられます。このトマト品種「シシリアンルージュハイギャバ」は、筑波大学の江面浩教授のグループの研究成果をもとに、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によって通常の約5倍ものγ-アミノ酪酸(GABA)を蓄積するよう改良されたものです【7】。GABAには血圧降下やリラックス効果が期待されており、同社は2018年に大学から技術移転を受けて品種改良を開始、2021年には世界初のゲノム編集食品として家庭菜園向け苗の販売を開始しました【7】。この高GABAトマトは遺伝子組換え作物ではなく従来品種と同様に扱えるため、将来的には農家による大規模生産も視野に入っています。大学発の育種技術が特許などで保護されつつ実用化された好例であり、機能性食品という新たな市場を切り拓きつつあります。
さらにさかのぼれば、飢餓や栄養失調の克服を目的とした大学発の発明も存在します。ゴールデンライスは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校とフライブルク大学(ドイツ)の研究者らが1990年代に開発した遺伝子組換えイネで、体内でビタミンAに変換されるβカロテンを多く含むよう米粒を改良したものです。ゴールデンライスの開発には複数の特許技術が絡んでいましたが、発明者の意図はあくまで発展途上国のビタミンA欠乏症対策に供する人道目的にありました。そのため、ゴールデンライスのプロジェクトでは大学・研究機関と企業が協力し、必要な特許の利用許諾を無償で得るためのパートナーシップ契約が結ばれています【8】。種苗会社のシンジェンタ社が仲介して関連する特許権者(発明者の大学や協力企業)から人道目的での利用に関する包括的なライセンス許諾を取り付け、開発途上国の公的な育種機関がゴールデンライスを自由に開発・栽培できる体制が整えられました【8】【9】。その結果、特許は商業的利害の障壁とはならず、ゴールデンライスの系統はフィリピンなどで規制当局の承認を経て農民への無償配布が進められています。こうした取り組みは「特許と公益」の両立モデルとして注目され、2015年には米国特許商標庁の「Patents for Humanity賞」がゴールデンライス発明チームに贈られました。大学発の研究成果である発明と特許が社会課題の解決に直接寄与した好例と言えるでしょう。
まとめ:大学発明の価値とその支援
ここまで見てきたように、大学から生まれた発明と特許は、医療からAI、環境、農業に至るまで幅広い領域で私たちの生活やビジネスに恩恵をもたらしています。大学は新技術の揺籃であり、その成果を適切に知的財産として保護し、産業界に橋渡しすることで、研究室の発見が社会実装へとつながります。特許制度は発明者(大学)に一定期間の独占権を与える代わりに公開を促し、ライセンス供与を通じて技術が普及する道筋を作ります。大学発特許の活用は、企業にとってはイノベーションの源泉を得る手段であり、大学にとっては収益を得て次の研究投資や人材育成に繋げるサイクルとなります。産官学の連携や技術移転機構の支援を活用しつつ、今後も大学発の優れた技術が社会に実装されていくことが期待されます。
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(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
- 京都大学 CiRA ニュース「Kyoto University granted its first iPS cell patent by the United States Patent and Trademark Office」(2011-08-11)
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/e/pressrelease/news/110812-150837.html - 山中伸弥「Using patents to ensure access to pioneering cell technology」WIPO Magazine(2015)
https://www.wipo.int/web/wipo-magazine/articles/using-patents-to-ensure-access-to-pioneering-cell-technology-39231 - Associated Press「Stanford Earns $336 Million Off Google Stock」RedOrbit(2005-12-02)
https://www.redorbit.com/news/education/318480/stanford_earns_336_million_off_google_stock/ - Computerworld「Google acquires Toronto University startup focused on neural networks」(2013-03-13)
https://www.computerworld.com/article/1400799/google-acquires-toronto-university-startup-focused-on-neural-networks.html - 発明通信社コラム「ノーベル物理学賞と特許ロイヤリティについて(上)」(2014-10)
https://www.hatsumei.co.jp/column/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AD%A6%E8%B3%9E%E3%81%A8%E7%89%B9%E8%A8%B1%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%EF%BC%88/ - 名古屋大学「名古屋大学キャンパスマスタープラン 2010」(PDF, 2010)
https://web-honbu.jimu.nagoya-u.ac.jp/fmd/06other/guideline/image/campusmaster/CMP2010ALL.pdf - Sanatech Seed プレスリリース「Sale of 1st CRISPR-Cas9 gene edited tomato seedlings begins in Japan」(2021-10-11)
https://sanatech-seed.com/en/211011-2/ - Golden Rice Project「Golden Rice and Intellectual Property」
https://www.goldenrice.org/Content2-How/how9_IP.php

