米国OA対応でRCEに進むべきか?Final Rejection後の選択肢と2025年料金改定を踏まえた実務

米国OA対応におけるFinal Rejection後の選択肢を解説した図解。補正+意見書、RCE(継続審査請求)、審判、継続出願の4つの対応方法を比較し、それぞれの特徴や注意点を整理。2025年1月のUSPTO料金改定によるRCE・継続出願への影響や、判断時のチェックポイント、費用増加・審査長期化などのリスクも紹介している。

株式会社IPリッチのライセンス担当です。

米国のOA(オフィスアクション)対応では、審査官からFinal Rejection(最終拒絶理由通知)を受けた後に、「補正で通す」「RCE(継続審査請求)で審査を再開する」「審判に進む」「継続出願で別ルートを残す」などの重大な選択が必要になります。現地代理人からRCEを勧められてそのまま進めるケースは少なくありませんが、2025年1月に発効した米国特許商標庁(USPTO)の大規模な料金改定により、RCEや継続出願にかかる費用は大きく変化しました。この記事では、「現地代理人からRCEを勧められたが本当に必要か」「RCEを繰り返すと費用だけ増えないか」「補正・意見書・審判のどれがよいか」を判断するためのチェックポイントと、知財戦略を最適化するための実務対応について解説します。

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目次

米国特許審査におけるFinal Rejectionの性質とAFCP 2.0の終了

米国の特許審査におけるFinal Rejectionは、日本の特許法における「拒絶査定」とは異なり、直ちに審査が終了して特許の取得が不可能になるものではありません。実務上は、審査官が前回の拒絶理由を維持した場合や、出願人の補正によって生じた新たな拒絶理由についてFinalとするための要件を満たす場合に通知される、手続き上の区切りを意味します。ただし、Final Rejectionが通知された後は、特許請求の範囲(クレーム)を拡張する補正や、新たな論点を追加するような大幅な補正が厳格に制限されます。

これまで、多くの出願人はFinal Rejection後の対応として、AFCP 2.0(After Final Consideration Pilot Program 2.0)と呼ばれる制度を頻繁に利用していました。これは、クレームを拡張しない限定的な補正を行うことを条件に、追加の政府費用なしで審査官に再検討を促し、審査官とのインタビューを通じてRCEを回避しながら許可(Allowance)を探るための有用なプログラムでした。

しかし、USPTOの運営コスト負担などの理由から、AFCP 2.0は2024年12月14日をもって終了しました。USPTOは当初、このプログラムを維持するために100ドルから500ドルの新たな利用料金を導入することを提案していましたが、パブリックコメントで多くの懸念が寄せられた結果、有料化ではなく制度自体の廃止を決定しました。

このプログラムの終了により、AFCP 2.0によって審査官に付与されていた追加の検討時間を利用できなくなり、Final Rejection後の補正だけで許可を得ることは以前より難しくなりました。ただし、通常のAfter Final Responseや審査官インタビューが利用できなくなったわけではありません。そのため、現在の実務においては、RCEによる審査の再開、審判(Appeal)への移行、あるいは継続出願(Continuation)による別ルートの確保という基本選択肢の中から、よりシビアに次の行動を決定する必要があります。

2025年USPTO料金改定がRCEの選択に与える決定的な影響

USPTOは2025年1月19日に大規模な特許料金の改定を実施しました。全体として出願や審査にかかる基本費用が約7.5%から10%引き上げられましたが、実務上最も影響が大きいのは、審査の特定の段階で加算されるターゲット料金の大幅な値上げです。

特にRCEにかかる費用体系の変更は、今後の審査対応方針に直結します。RCEを適切に提出すると、USPTOは直前のOffice ActionのFinalityを取り下げ、新たな提出物を審査対象として考慮して審査を再開します。今回の改定で、1回目のRCEの政府費用は1,500ドル(大企業などの通常エンティティの場合、以下同様)に設定され、従来の1,360ドルから約10%の引き上げにとどまりました。USPTOの試算によれば、この1,500ドルという金額は実際の審査コストを50%以上下回っており、出願人に配慮した価格設定が維持されています。

しかし、2回目以降のRCE費用は従来の2,000ドルから2,860ドルへと、43%もの大幅な引き上げが行われました。USPTOの2023年度のデータによれば、RCEの処理にかかる実際のコストは約2,258ドルであったとされており、2,860ドルという新料金はコストを上回る設定です。

この改定の背景には、出願人がRCEを繰り返すことで審査が長期化し、審査官のリソースが圧迫される事態を防ぎたいというUSPTOの意図があります。これまでのように、審査官との見解の相違が埋まらないまま「少しずつクレームを補正して2回目、3回目のRCEを繰り返す」という戦略をとると、現地代理人費用と合算して多額のコストが発生することになります。

RCE(継続審査請求)を選択すべき具体的な基準と実務上の限界

RCEを適切に提出すると、直前のOffice ActionのFinalityが取り下げられ、After Finalでは認められなかった補正や、新たな証拠の提出などを審査対象とすることができます。ただし、元の明細書や図面に記載されていない新規事項を追加できるわけではありません。

実務上、1回目のRCEを選択することが最も適しているのは「審査官の拒絶理由が明確であり、対応策の方向性について審査官と実質的な合意が形成できている場合」です。たとえば、拒絶理由通知の段階で行った審査官インタビューにおいて、「この特徴をクレームに限定すれば特許性を認める」という感触を得ているものの、その補正がFinal Rejection後には手続き上認められないといったケースです。このような状況でのRCEは、権利化への最短ルートとなります。

一方、同一の審査官に対してRCEを行っても、同じ先行技術文献と同じ解釈に基づく拒絶が繰り返される場合、追加のRCEによって審査結果が変わる具体的な見通しがあるかを慎重に確認する必要があります。2025年の料金改定により、2回目以降のRCEが2,860ドルに高騰した現在、明確な見通しの立たないままRCEを繰り返すことは推奨されません。

また、RCEの提出はPatent Term Adjustment(PTA:特許期間調整)にも悪影響を及ぼす可能性があります。PTAは、USPTOの審査遅延によって失われた特許期間を補填する制度ですが、原則としてRCEの提出後からNotice of Allowanceまでの期間は、出願から3年を超えたことに基づく遅延の算定から除外されます。結果として、RCEを提出しなかった場合よりも最終的な特許の存続期間が短くなる可能性があります。

したがって、論点が法律的な解釈や先行技術の技術的範囲の解釈にある場合は、無理にRCEを重ねるのではなく、審判への移行を検討する必要があります。

審判(Appeal)とPre-Appeal Brief Conferenceの戦略的活用

審査官との間に技術解釈や特許要件に関する根本的な見解の相違がある場合、PTAB(特許審判部)への審判(Ex Parte Appeal)が有効な選択肢となります。具体的には、審査官による先行技術の組み合わせが不合理である場合や、非自明性(Obviousness)の判断基準を誤って適用していると考えられる場合です。

審判手続きに進む場合、まずNotice of Appeal(審判請求書)を提出します。この費用は2025年改定で905ドルに設定されています。その後、Appeal Brief(審判請求理由補充書)を提出し、実際にPTABへ審判を転送するための費用(Forwarding an Appeal to the Board)として2,535ドルが加算されます。これらを合計すると政府費用は3,440ドルとなります。

注目すべきは、2回目のRCE費用が2,860ドルに引き上げられたことで、2回目のRCEと審判との間の費用差が以前よりも縮小した点です。見解を変えない審査官に対して無益なRCEを繰り返して代理人費用を浪費するよりも、早期に上位機関の判断を仰ぐ方が、結果的に総費用と時間を抑えられる場合があります。

また、本格的な審判手続に入る前の段階として「Pre-Appeal Brief Conference」という仕組みを利用することも検討に値します。これは、Notice of Appealの提出と同時に短い要約書面を提出し、担当審査官だけでなく管理審査官などを含むパネルに拒絶の妥当性を再検討してもらう制度です。この手続き自体に追加の政府費用はかかりませんが、Notice of Appealの提出費用は必要です。

審査官の明らかな事実誤認を正す手掛かりの一つになり、パネルの判断次第では本格的な審判に進むことなく審査が再開される場合もあります。

継続出願(Continuation)による権利化ルートの確保と新設サーチャージ

RCEや審判と並行して、あるいはそれらに代わる手段として極めて重要なのが、継続出願(Continuation Application)や分割出願(Divisional Application)の戦略的活用です。

継続出願は、親出願が係属中、すなわち原則として親出願が放棄される前または特許として発行される前に提出する必要がある独立した出願です。親出願の開示内容の範囲内で、異なるクレームを追求することができます。実務上は、親出願で早期に権利化できそうな狭いクレームで特許を取得して自社製品を保護しつつ、係属中の継続出願を残しておく手法がとられます。これにより、将来の事業環境の変化に対応する余地を残すことができます。

しかし、2025年の料金改定において、この継続出願の戦略を大きく揺るがす「Earliest Benefit Date(EBD:最先の利益主張日)」に基づく高額なサーチャージ(追加費用)が新設されました。

具体的には、EBDから「6年以上」経過した後に継続出願や分割出願を行う場合、通常の出願費用に加えて2,700ドルの追加料金が課されます。さらに「9年以上」経過している場合は、4,000ドルの追加料金が必要となります。ここでいうEBDとは、米国特許法第120条、第121条、第365条(c)、第386条(c)に基づく最先の利益主張日を指し、仮出願(Provisional Application)の利益を主張する日は計算に含まれません。

この改定により、審査の進行状況を見守りながらギリギリのタイミングで分割出願を行うと、多額の追加料金を伴う可能性があります。企業は、親出願の審査が長引いている場合でも、EBDから6年が経過する前に、戦略的に必要な継続出願や分割出願を前倒しで提出するかどうかを検討する必要があります。

クレーム数とIDS(情報開示陳述書)の適切な管理によるコスト抑制

Final Rejection対応やRCE提出と同時に見直すべき実務上のポイントとして、クレーム数とIDSの管理が挙げられます。これらも2025年の料金改定で大幅に費用が上昇しています。

まずクレーム数について、合計クレーム数が20を超える場合の超過費用は、1クレームあたり従来の100ドルから200ドルへと倍増しました。独立クレームが3を超える場合の超過費用も、1クレームあたり480ドルから600ドルに引き上げられています。RCEを機に新たな論点を網羅しようとクレーム数を不用意に増やすと、多額のクレーム超過費用が発生します。事業の根幹に関わる重要な権利範囲に絞り込み、不要なクレームを削除する判断が求められます。

次にIDSについて、米国特許実務では特許性にとって重要な情報をUSPTOに開示する義務(Duty of Disclosure)がありますが、今回新たに「累積の提出文献数」に基づく段階的な追加費用が導入されました。一つの出願における累積文献数が50件を超えると200ドル、100件を超えると500ドル、200件を超えると800ドルの政府費用が段階的に発生します。

重要な情報を開示しないことは、後の特許の権利行使に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、開示義務そのものを軽視することはできません。一方、同一文献の重複提出や、外国対応出願などから受領した文献を管理しないまま繰り返し提出する運用は見直す必要があります。RCEと並行して新たな文献を提出する際は、開示義務を適切に履行しながら、提出済み文献との重複がないかを社内および現地代理人と事前に確認する運用が重要です。

なお、Terminal Disclaimer(ターミナル・ディスクレーマー:自明型二重特許を解消するための放棄書)についても、USPTOは提出時期に応じた大幅な値上げを提案していましたが、実務への影響が大きすぎるとの批判を受け、この提案は撤回されました。結果として、基本費用が170ドルから183ドルへ小幅に引き上げられるにとどまりました。

係属中の出願維持が技術ライセンスや特許売却に与える付加価値

審査対応のコストが増加する中で、それでも継続出願を通じて出願を係属させ続けることには、技術ライセンスや特許売却において極めて大きな付加価値があります。

特許のライセンスや売却を検討する際、すでに成立した特許(親特許)だけでなく、係属中の継続出願が存在することは、将来の拡張性を示す裏付け材料として評価される場合があります。なぜなら、競合他社が自社の親特許のクレーム文言を回避するような製品を市場に出してきた際、係属中の継続出願があれば、親出願の開示内容の範囲内で、その競合製品の仕様をカバーするクレームの権利化を検討できるからです。

ただし、継続出願を活用する上で留意すべき点として、Double Patenting(二重特許)の拒絶とTerminal Disclaimerの提出があります。審査において自明型二重特許の拒絶を受け、それを解消するためにTerminal Disclaimerを提出した場合、親特許と継続出願の特許は「存続期間が同一になる」だけでなく、「権利者が同一である期間に限り権利行使できる」という法的な紐付けが行われます。

この紐付けが行われると、一方の特許だけを別の所有者へ譲渡して共通所有関係が失われた場合、Terminal Disclaimerの対象特許を権利行使できなくなる可能性があります。そのため、実務上は一方の特許だけを切り離して売却することが困難になる場合があります。また、ライセンス交渉においても、関連する特許群を不可分なポートフォリオとして扱う必要が生じる場合があります。

継続出願のクレームを作成する際は、安易にTerminal Disclaimerに頼るのではなく、親特許とは明確に異なる発明として審査を通過できるかを検討し、クレームドラフティングを工夫することが重要です。

米国特許の収益化を見据えて審査対応を最適化するための次の一手

USPTOの2025年料金改定とAFCP 2.0の終了は、「拒絶されたらとりあえずRCEで粘る」という受動的な審査対応が、以前より高い費用を伴うようになったことを示しています。特許取得にかかる総コストを適正に管理し、事業に貢献する知財を構築するためには、自社の出願ポートフォリオに対する能動的な介入が必要です。具体的には、以下の行動から着手することが推奨されます。

まずは、自社が米国で係属中の特許出願ポートフォリオを棚卸しし、EBDから5年以上経過している案件を抽出してください。6年経過による2,700ドルの継続出願サーチャージを回避するため、ポートフォリオ上重要な案件については、直近の審査結果を待たずに、必要な継続出願や分割出願の手続きを前倒しで進めるかを判断することが重要です。

次に、現在Final Rejectionを受けており、2回目のRCEを検討している案件については、審査官の見解がすでに固まっているかを確認してください。論点が法律的・技術的な解釈の相違にある場合は、無益なRCEを避けてPre-Appeal Brief Conferenceや審判への切り替えを検討する必要があります。また、今後の審査対応においては、クレームを事業保護やライセンス交渉に真に必要となる核心部分に絞り込み、超過クレーム費用を抑制する指示を現地代理人に出すことも重要です。

強固な審査対応を経て取得された特許と、適切に管理された継続出願の存在は、企業価値を高める重要な資産となります。特許権の売却やライセンスによる活用先を探す場合は、候補企業との接点を増やす手段の一つとして、PatentRevenueに無料登録することも検討できます。自社の事業展開とライセンス戦略から逆算して米国での審査対応ルートを選択することが、特許ライセンスによる収益化に向けた現実的な第一歩となります。

(この記事はAIを用いて作成しています。)

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