日米における特許の有効性争いと戦略的対応:日本の無効審判と米国PTABの最新動向

株式会社IPリッチのライセンス担当です。本記事では、特許権の行使や防衛において避けて通ることのできない「特許の有効性争い」について、日本と米国における制度設計の違いや最新の実務動向を包括的に解説いたします。日本では、裁判所と特許庁によるいわゆる「ダブルトラック」制度のもとで、特許法第104条の3に基づく無効の抗弁や、それに対抗する訂正の再抗弁が頻繁に争われます。一方、米国では、地方裁判所における特許の有効性の推定と、特許商標庁(USPTO)に設置された特許審判部(PTAB)による当事者系レビュー(IPR)とで立証責任の基準が大きく異なります。本稿では、日米の法制度や最新の運用規則の変遷を浮き彫りにし、グローバルな特許訴訟およびライセンス交渉においてどのような戦略的アプローチが求められるのかを深く考察します。
企業の知的財産部門において、自社が保有する特許群からいかにして利益を生み出すかという「知財の収益化」は、極めて重要な経営課題として位置づけられています。特許権を活用して他社へのライセンスアウトや権利行使を通じた収益化を図る際、特許の有効性をいかに防衛し、相手方からの無効主張を退けることができるかが成功の鍵を握ります。特許権の売買やライセンスの機会を最大限に広げるためには、自社特許の強固さを客観的に評価するとともに、市場でのマッチングを促進する適切なプラットフォームを活用することが非常に効果的です。特許のマネタイズや活用を検討されている方は、特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」で特許権の売買又はライセンスの希望者に無料で登録することを強くお勧めいたします。こうした専門的なプラットフォームの積極的な活用と、本記事で解説する日米の有効性争いに関する深い法務的理解を組み合わせることで、より確実かつ戦略的な知財の収益化が実現可能となります。
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日本における特許の有効性争いとダブルトラック制度の構造
日本における特許の有効性に関する判断は、伝統的に特許庁の専権事項とされてきました。特許査定という行政処分によって発生した特許権は、特許庁における無効審決が確定するまでは何人もその効力を否定することはできないというのが基本原則です。しかしながら、実際の特許権侵害訴訟の実務においては、特許庁における無効審判の手続きと、裁判所における侵害訴訟の手続きが並行して進行する「ダブルトラック」と呼ばれる状態が頻繁に発生します。この二つの手続きが並走することによる法的安定性の欠如や、訴訟の長期化を防ぐため、日本の特許法には特有の制度設計がなされています。
その中核をなすのが、特許法第104条の3に規定される「特許無効の抗弁」です。この規定は、最高裁判所による画期的な判決であるいわゆる「キルビー事件」の法理を明文化したものであり、侵害訴訟において当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は相手方に対してその権利を行使することができないと定めています。立法担当者の説明によれば、この規定は二つの重要な観点に基づいています。第一に、特許権者に与えられた法律上の差止請求権等の行使を許さないとするには、無効理由が存在することが「明らか」であることが必要であるという点です。第二に、無効審判とその取消訴訟というルートが並行して存在する現行法の下で、双方の判断に齟齬が生じて法的安定性が著しく害される事態を防ぐためです。
さらに、訴訟実務において被告側から無効理由が20個も30個も提出されることによる審理の不当な遅延を防ぐため、特許法第104条の3第2項では、攻撃防御方法が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたと認められる場合には、裁判所が申立て又は職権で却下できる旨が規定されています。しかし、実務上はこの却下規定の適用は極めて慎重に行われる傾向があります。なぜなら、訴訟で却下したとしても結局は特許庁へ無効審判が請求されれば同じことであり、究極的な迅速審理の目的が達せられないためです。現在では、裁判所の訴訟指揮により無効理由をある程度絞り込み、順序を付けるなどの協力のもとで進行が図られていますが、最終的には特許庁の無効審判とのダブルトラックの整理が常に大きな課題となっています。
こうした制度的背景の中、日本の知財高裁においては、特許権侵害訴訟の控訴事件と無効審判の審決取消訴訟が同時期に係属した場合、同じ部へ配点される運用がとられており、これにより判断の統一が図られています。被疑侵害者側にとって、口頭審理を通じて活発な議論ができる無効審判を請求することは訴訟戦略上極めて大きな意義を持ちます。特許庁が発行した『特許庁ステータスレポート2025』によれば、日本の特許出願件数は306,855件と回復基調にあり、また拒絶査定不服審判だけでも2万件規模に上るなど、活発な知財創出と権利化のプロセスが継続しています。これに伴い、権利化後の有効性争いも極めて重要な実務分野であり続けています。
日本の実務における防衛策「訂正の再抗弁」とその厳格な要件
侵害訴訟において被疑侵害者側から特許法第104条の3に基づく無効主張(無効の抗弁)がなされた場合、特許権者側の強力な防衛策となるのが「対抗主張」、実務上「訂正の再抗弁」と呼ばれる手法です。これは、無効理由が存在する特許であっても、特許請求の範囲を減縮あるいは訂正することによって当該無効理由を解消し、特許権の行使を維持しようとする主張です。
知財高裁の判例(切削方法事件など)により確立された訂正の再抗弁を認めるための要件は、大きく3点に整理されます。第一に、特許権者が適法な訂正請求又は訂正審判請求を行ったこと。第二に、その訂正によって被告が主張する無効理由が解消されたこと(新規性違反であれば主引用発明との相違点を立証し、進歩性違反であれば相違点の存在に加えて容易想到性の否定を立証すること)。第三に、被疑侵害者の製品や方法が、訂正後の特許請求の範囲にも依然として属していることです。
実務上、長年にわたり最も議論を呼んできたのが第一の要件であり、「実際に適法な訂正請求等を特許庁に対して行っていることが不可欠か」という点でした。これに対し、2014年の知財高裁大合議判決(共焦点分光分析事件)では、原則として「実際に適法な訂正請求等を行っていることが必要」であると明確に判示されました。その理由として、当事者間で訴訟の攻撃防御対象となる訂正後の範囲が一義的に明確になる必要があること、被告ごとに訂正内容を変えるような訴訟限りの相対的訂正を許せば予測可能性が害されること、そして訴訟上では無効部分を除外して利益を得る一方で対世的には広い権利が存続するという「二重の利益」の発生を防ぐことが挙げられました。
しかし、同判決は「特許権者が訂正請求等を行おうとしても、それが法律上困難である場合には、公平の観点から事情を個別に考察して要否を決すべきである」として例外の存在を認めていました。この例外要件を真っ向から取り上げたのが、2017年の最高裁判決(シートカッター事件)です。この事件では、控訴審において無効主張がされた時点で、別の無効理由に係る無効審判の審決取消訴訟が既に係属しており、事実審の口頭弁論終結時までに特許権者が訂正請求も訂正審判請求も法律上することができないという「特段の事情」がありました。最高裁はこのような場合、「訂正の再抗弁を主張するために、現にこれらの請求をしている必要はない」と判示し、「条件付不要説」を実務に定着させました。これにより、手続的な制約によって特許権者が不当に権利行使の機会を奪われる事態が回避され、より公平かつ柔軟な防衛戦略の構築が可能となりました。
紛争の蒸し返しを防ぐ特許法104条の4(再審における主張の制限)
侵害訴訟と無効審判のダブルトラックがもたらすもう一つの重大な問題は、判決と審決の「時間的なズレ」による法的安定性の揺らぎです。これを解決し、訴訟の終局的な解決を担保するための制度として、特許法第104条の4による「再審における主張の制限」が存在します。
この規定は、特許権の侵害に基づく損害賠償請求や補償金支払請求の訴訟において、本案に関する終局判決が確定した後に、特許庁で当該特許を無効にすべき旨の審決等が確定したとしても、当該訴訟の当事者であった者は、その無効審決を理由として確定判決に対する「再審の訴え」を提起することを禁じるものです。主張制限の対象となるのは、特許を無効にすべき旨の審決のほか、存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決、および願書に添付した明細書等の訂正をすべき旨の審決が含まれます。
この制度が設けられた背景には、極めて実際的なビジネス上の要請があります。長期間にわたる侵害訴訟を経て終局判決が確定した後に、後発の特許無効審決を理由として判決を覆すことができるとすれば、それまで多大な労力と費用をかけて行ってきた訴訟手続きが完全に無駄化してしまいます。さらに深刻なのは、既に支払われた多額の損害賠償金を返還させられたり、逆に支払う必要がないとされていた損害賠償義務が突如として生じたりすることで、企業の法的安定性や経営の基盤が大きく損なわれるという事態です。
また、法的な公平性の観点からもこの制限は正当化されています。損害賠償請求などの訴訟において、被告側(被疑侵害者)は訴訟の中で特許法第104条の3に基づく「特許無効の抗弁」を主張して特許権者の権利行使を阻止する機会が十分に与えられており、並行して別途無効審判を請求することも可能でした。このように争う機会が十分に確保されていたにもかかわらず、判決確定後に新たな無効審決を理由に再審を申し立てることを際限なく認めると、紛争の二重の蒸し返しとなってしまいます。なお、ここで対象となる「補償金請求権」とは、出願公開があった後に発明の内容を示して警告を行うことを条件とし、特許出願の特許権の設定登録がなされた後に、無断実施者に対して補償金を請求できる権利を指します。特許法第104条の4は、こうした広範な権利行使の終局的な安定性を守る防波堤の役割を果たしています。
米国特許訴訟における有効性の推定とPTABでの立証責任の非対称性
日本がダブルトラック制度の中で特許有効性のバランスを巧みに調整しているのに対し、米国では特許の有効性争いにおける「立証責任の基準」の明確な違いが、訴訟戦略の根本を決定づけます。米国の地方裁判所における特許侵害訴訟では、合衆国法典第35編第282条に基づき、特許には「有効性の推定(Presumption of Validity)」が与えられています。そのため、被告が特許の無効を立証するためには、「明白かつ説得力のある証拠(Clear and convincing evidence)」という極めて高い立証ハードルを越えなければなりません。
これとは対照的に、2011年のアメリカ発明法(AIA)によってUSPTO内に設立された特許審判部(PTAB)による当事者系レビュー(IPR)手続では、特許の有効性の推定は一切適用されません。IPRにおいて特許の非特許性(無効)を主張する請願者は、地方裁判所よりも一段低い「証拠の優越(Preponderance of the evidence)」基準を満たすだけで足ります。さらに、歴史的にPTABではクレーム解釈において「最も広い合理的な解釈(Broadest Reasonable Interpretation: BRI)」が適用されてきた経緯もあり(現在はPhillips基準に統合されていますが)、先行技術によって新規性や進歩性が否定される可能性が地裁よりも飛躍的に高くなります。これらの制度的な違いから、特許侵害で訴えられた被告の多くは、地裁での高コストな防御と並行して、無効化の確率が高いPTABへIPRを申し立てるという戦略を標準的に採用しています。
この立証責任の非対称性は、裁判所とPTAB間の「争点効(Issue Preclusion / Collateral Estoppel)」の適用にも重大な影響を与えます。連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)における最近のInland Diamond Prods. Co. v. Cherry Optical Inc.事件の判決は、この境界線を明確に示しました。この事件において、PTABはIPRにおいて特定の独立クレームを自明性により無効と判断したものの、いくつかの従属クレームは存続させました。その後、地方裁判所での訴訟において、被告はPTABでの無効に関する事実認定が地裁における残余のクレームに対しても争点効として拘束力を持つと主張し、一審の地裁はこれに同意しました。しかしCAFCはこれを真っ向から破棄し、PTABの低い立証基準(証拠の優越)に基づいてなされた事実認定は、より高い立証基準(明白かつ説得力のある証拠)が求められる地裁の判断を自動的に拘束するものではないと結論づけました。
さらに、Novartis Pharm. Corp. v. Watson Labs., Inc.事件においては、この基準の違いがもたらす究極的な帰結が示されました。この事件では、デラウェア州連邦地裁がクレームを有効(非自明)と判断し、CAFCもそれを支持したにもかかわらず、後に行われたPTABの審理において同じクレームが無効と判断されました。特許権者であるNovartisは、過去の判例(In re Baxter)を引き合いに出し、同じ証拠であればPTABは地裁と同じ結論に至るべきだと主張しました。しかしCAFCは、PTABの証拠記録が地裁と異なっていた点に加え、仮に記録が全く同じであったとしても、PTABは低い立証責任の基準を有しているため、地裁が有効と判断した特許であってもPTABが適法に無効と判断できる旨を宣言しました。米国最高裁のCuozzo Speed Techs事件判決にも裏付けられたこの強力な法理は、米国訴訟においてフォーラム選びがいかに決定的な意味を持つかを如実に物語っています。
米国PTABにおけるFintivルールの激しい変遷と裁量却下の実務
米国においてPTABのIPRは被疑侵害者にとって極めて強力な武器ですが、PTABは提出されたすべての請願を無条件に受理するわけではありません。PTABは特許法第314条(a)に基づく「裁量による却下(Discretionary Denial)」の権限を有しており、並行する地方裁判所や国際貿易委員会(ITC)での訴訟の進行状況を理由にIPRの開始を拒否することができます。この裁量判断の基準となるのが、近年特許実務家の間で最大の関心事となっている「Fintivルール」です。
Fintivルールに基づく評価軸としては、主に6つの非排他的な要素が総合的に考慮されます。具体的には、第一に裁判所による手続中止命令の有無やその可能性、第二に裁判所の公判期日とPTABの法定決定期限の近接性、第三に裁判所と当事者が並行手続に費やした投資の程度、第四に請願と並行手続における争点の重複度合い、第五に当事者の同一性、そして第六に本案の強力さなどその他の状況が含まれます。
このFintivルールの運用方針は、USPTOの政権交代や政策変更に伴い、ここ数年で劇的な転換を繰り返してきました。2022年6月、当時のKathi Vidal USPTO長官は、Fintivによる裁量却下を制限し、請願者に明確な指針を与えるための暫定手順(Vidal Memo)を発出しました。このメモランダムは、請願者が地裁やITCでIPRと同じ無効理由(または合理的に提起できたはずの理由)を主張しないことに同意する「Sotera制約(Sotera Stipulation)」を提出した場合や、請願自体が「説得力のある非特許性の証拠(Compelling merits)」を含んでいる場合には、原則として裁量却下を行わないという、請願者にとって極めて有利なセーフハーバー(安全地帯)を提供するものでした。
しかし、2025年に入り事態は急転直下します。2025年2月28日、USPTOはこの2022年のVidal Memoを公式に撤回し、初期のFintivフレームワークへと回帰する決定を下しました。この撤回により、以前のような明確なセーフハーバーは失われ、PTABは請願者が幅広いSotera制約を提供したり強力な無効理由を提示したりした場合であっても、Fintivの要素に基づいて自由にIPR請願を却下できる裁量権を取り戻しました。
続く2025年3月24日に出されたScott R. Boalick主任行政特許判事のメモランダムは、この方針転換をさらに補強するものでした。同メモによれば、Sotera制約は依然として「極めて関連性が高い」要素ではあるものの、それ単独で裁量却下を免れる絶対的な条件ではなくなりました。また、「説得力のある証拠」の存在も全体的なバランス評価の一部に格下げされ、それ単独で結論を左右するものではないと明言されました。さらに、並行するITCの調査手続に関しても、ITCの最終決定目標日がPTABの決定期限より早い場合には、重複と費用の観点から裁量却下の可能性が高まることが明示され、裁判期日の近接性が再び強力な武器として復活しました。
これに追い打ちをかけるように、わずか2日後の2025年3月26日、Coke M. Stewart長官代行は新たなワークロード管理に関するメモランダムを発出しました。これにより、Fintivに関するブリーフィング手続が厳格化され、特許権者は請願通知から2ヶ月以内に裁量却下を求めるブリーフ(14,000語以内)を提出でき、請願者は1ヶ月以内に反対陳述(5,600語以内)を行うという新たな制約が設けられました。最も注目すべきは、開始決定プロセス自体が二段階の「分岐型アプローチ」に変更された点です。まず長官と3名のPTAB判事が政策的・裁量的な観点からFintiv却下の是非を判断し、そこで却下されなかった場合のみ、別の3名のパネルが実体的な非特許性の判断を行うという新しい枠組みが導入されました。これらの連続的な変更により、米国でのIPRを取り巻く予見可能性は再び大きく低下し、特許権者にとってはFintivを理由とした却下を狙う戦略的余地が劇的に広がる結果となっています。
最新統計が示す米国特許無効化のリアルな脅威と今後の知財戦略
こうした複雑なルールの変遷に加え、米国市場における知財マネタイズ戦略を最適化するためには、実際のPTABの統計データに基づいた客観的なリスク分析が不可欠です。AIA制定以降の歴史的なデータに目を向けると、当事者系レビュー(IPR)の開始率(Institution Rate)は概ね67パーセント前後で安定して推移してきました。しかしながら、最新の運用状況においてはこの統計に特異な変動が見られます。
2025年秋に制度開始権限を自らの直轄としたJohn Squires USPTO長官は、就任直後の10月から11月にかけて、34件のIPR請願に対して実体的な理由を一切示さない簡略な命令のみで開始を拒否しました。これにより、歴史的に67パーセントであった開始率が一時的とはいえ0パーセントとなる極めて異例の事態が発生しています。これは、特許権を強力に保護し、無用な有効性争いを抑制するという明確な政策的意図が制度運用に直接的に反映された結果と解釈されており、AIAが当初想定した「地裁の安価な代替手段」としての機能が根本から変質しつつあるとの懸念や議論を呼んでいます。
一方で、ひとたびIPRが開始され、最終書面決定(Final Written Decision)に至った場合のクレーム無効化率(キャンセル率)は、依然として特許権者にとって致命的な水準にあります。過去数年間のIPR、CBM、PGRにおける開始クレームの累積平均キャンセル率は約74パーセントに達しています。特に特許権者にとって厳しい月であった2025年4月の詳細なデータによれば、22件の決定において、開始されたクレームの実に84.64パーセント(237クレーム)が無効と判断されました。事件単位で見ても、開始されたすべてのクレームが無効となったケースが64.71パーセントを占め、すべてのクレームが生き残ったケースはわずか23.53パーセントに過ぎません。エクスパルテ(査定系)審判における特許維持率が55.9パーセントから59.8パーセントの間で安定しているのに対し、IPRにおける無効化率がここ5年間で16パーセントも上昇して変動しているという事実は、ひとたびPTABの土俵に引きずり込まれた際の特許権喪失リスクがいかに巨大であるかを物語っています。
さらに、技術分野によってもIPRの開始率には顕著な差異が存在します。USPTOが発表した『PTAB Trial Statistics March 2026』によれば、2026会計年度の第2四半期において全体で325件の請願(うち92パーセントがIPR)が提出されましたが、技術分野別の開始率を見るとその傾向は一目瞭然です。バイオテクノロジーおよび医薬品分野では53パーセント、化学分野では54パーセントと過半数が開始決定を受けている一方で、電気およびコンピュータ分野では32パーセント、機械およびビジネスモデル分野では40パーセントにとどまっており、特許の技術領域によって防衛の難易度やPTABの判断傾向が大きく異なる実態が明らかになっています。また、当事者間の和解率(Settlement Rate)は過去数年間で26パーセントから32パーセントの間を推移しており、多くの当事者が最終決定という致命的なリスクを回避し、ライセンス合意等による早期の紛争解決を選択している実態も読み取れます。
これらの客観的な統計データと、日米の法制度の根本的な差異から導き出される教訓は、グローバル市場における知財の収益化において「漫然と訴訟を提起するだけでは自らの足元をすくわれる多大なリスクを伴う」ということです。特許権者は、権利行使に踏み切る前に、自社の特許がPTABの低い立証基準や広いクレーム解釈に基づく厳しい審査に耐え得るかを徹底してシミュレーションする必要があります。同時に、Fintivルールの揺り戻しや技術分野ごとの開始率の傾向を巧みに利用し、PTABでの手続きそのものを回避する、あるいは有利な条件でライセンス和解に持ち込むための高度かつダイナミックな訴訟戦術の構築が急務となっています。日本国内における無効審判とのダブルトラック対応や訂正の再抗弁の実務に関する緻密な管理と併せて、日米双方の法域における制度の機微を深く、そして最新の状態で理解し実践することが、グローバルな知財ビジネスを成功に導くための絶対条件と言えるでしょう。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献リスト
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- 特許法第104条の4「再審における主張の制限」詳細解説 http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo101-200/yougo_detail190.html
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- 特許法第104条の4に規定されている「再審における主張の制限」 http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo101-200/yougo_detail190.html
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