生成AIで作った広告画像が他社キャラクター風になるリスクと対策

AI生成画像を広告に使う前に、既存キャラクターや他社作品との類似性を確認し、必要に応じて修正・不採用とする知財リスク対策

株式会社IPリッチのライセンス担当です。昨今、広告制作やランディングページ(LP)、SNS運用の現場において、画像生成AIを活用して業務効率化やクリエイティブの多様化を図る企業が急速に増加しています。しかし一方で、「AIで生成した画像を自社の広告に使いたいが、既存のキャラクターや他社のブランドロゴに似ていないか不安だ」というマーケティング担当者からのご相談を非常に多くいただきます。生成AIの特性上、プロンプトに具体的なキャラクター名や企業名を入力していなくても、一般的な特徴の組み合わせを指示した結果、既存の知的財産(IP)に類似した出力が生じる場合があります。この記事では、広告やSNS投稿にAI画像を使う前に確認すべき「似すぎ」「商標的な使用」「著作物風」「ブランド毀損」といったチェック項目と法的リスクを整理し、安全な運用体制を構築するための実務的な指針を解説します。

知的財産を安全に活用し、他社の権利侵害を未然に防ぐことは企業防衛の基本ですが、それは同時に自社の技術や特許を守り、攻めの経営へと転換するための重要な要素でもあります。株式会社IPリッチでは、企業や大学が保有する特許などの知的財産をライセンスや売却といった形で市場に流通させ、新たな収益機会を創出することに特化した特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」を運営しております。PatentRevenueでは、特許番号をもとにAIが関連資料や市場情報を収集・分析し、特許の市場価値や収益化の方向性を検討するための仕組みを提供しております。自社特許の収益化やライセンス展開にご関心のある方は、プラットフォームへの無料登録をご活用ください。

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目次

生成AIによる広告画像が他社キャラクターに類似する問題の結論

企業が広告やプロモーション、LPなどに生成AIの画像を利用する際、その画像が既存の著名キャラクターやブランドロゴに似ている場合には、利用態様によって著作権、商標権、不正競争防止法などの問題が生じる可能性があります。「AIが自動的に生成したものだから」「意図して他社のキャラクターに似せたわけではないから」という事情だけで、著作権侵害などが当然に否定されるわけではありません。

ただし、法的責任の要件は一律ではありません。著作権侵害の成否では、生成物と既存著作物との類似性や依拠性などが問題となり、差止請求については故意・過失がなくても認められる場合があります。一方、損害賠償では原則として故意・過失が必要であり、刑事責任についても故意など別の要件があります。そのため、「意図していなかったから安全」とも、「似ていれば必ず多額の損害賠償責任を負う」とも一概にはいえません。

画像が既存の知的財産に類似している場合には、著作権侵害、商標権侵害、不正競争防止法上の問題などが検討対象となります。権利侵害が成立すれば、広告の配信停止などを求める差止請求や損害賠償請求の対象となる可能性があります。また、法的責任とは別に、他社のブランド資産への便乗と受け取られれば、SNS等で批判され企業の信用を損なうリスクもあります。したがって、AI生成画像を商用利用する際には、出力画像が第三者の権利を侵害していないかを事前に確認し、リスクが高い場合には修正または不採用とする運用が重要です。

キャラクター保護と著作権法における基本知識

生成されたAI画像が他社のキャラクターに似ている場合、まず問題となるのが著作権法です。著作権侵害が成立するかどうかは、従来の判例法理に基づき、「類似性」と「依拠性」が重要な判断要素となります。類似性については、単に雰囲気が似ているかではなく、既存の著作物の「表現上の本質的な特徴を直接感得できる」かどうかなどが個別具体的に判断されます。

ここで重要になるのが、著作権法におけるアイデアと表現の区別です。著作権法が保護するのは創作的な「表現」であり、抽象的なアイデアそのものではありません。最高裁平成9年7月17日判決、いわゆるポパイ事件でも、漫画の具体的な表現から離れた登場人物の抽象的なキャラクター自体を、独立した著作物として当然に保護するものではないという考え方が示されています。

したがって、「特定のキャラクター風の画風や作風」という抽象的な特徴が似ていることだけで、直ちに著作権侵害が成立するわけではありません。一方で、顔や服装、構図、色彩、特徴的な形状などの組み合わせによって、既存著作物の創作的な表現上の本質的特徴を直接感得できる場合には、類似性が認められる可能性があります。

利用者がプロンプトで「青い猫型のロボット」や「赤い帽子をかぶった人物」のような一般的な特徴だけを入力した場合でも、最終的な出力が特定の著名キャラクターの具体的表現に近づく可能性はあります。著作権上の判断ではプロンプトの文言だけを見るのではなく、実際に生成され、広告等で利用される画像そのものを確認する必要があります。

文化庁の「考え方」に見る著作権制度と依拠性の問題

類似性に加えて、著作権侵害のもう一つの重要な要素が「依拠性」です。依拠性とは、既存の著作物に接して、それをもとに作品を作成した関係があるかという問題です。文化庁が2024年3月に取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」では、生成AIをめぐる問題を「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けて整理しています。

なお、この「考え方」は法的な拘束力を持つガイドラインではなく、公表時点における文化審議会著作権分科会法制度小委員会の一定の考え方を整理したものです。生成AIと著作権については裁判例の蓄積も十分ではないため、実際の侵害の成否は個別具体的な事案について司法判断などを踏まえて検討する必要があります。

開発・学習段階では、著作権法第30条の4により、情報解析など著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない利用について、一定の範囲で権利者の許諾なく著作物を利用できる場合があります。ただし、非享受目的と享受目的が併存する場合には同条の要件を満たさないと考えられており、著作権者の利益を不当に害することとなる場合にも適用されません。

文化庁の「考え方」では、特定のクリエイターの作品について、その創作的表現を出力させることを目的として意図的に過学習させるような追加学習については、享受目的が併存すると考えられる例として整理されています。このため、「AI学習ならすべて30条の4で自由に利用できる」という理解は正確ではありません。

生成・利用段階では、AI生成物についても、従来の著作物と同様に類似性と依拠性が問題になります。利用者が既存著作物を認識し、その画像自体をImage to Imageの入力として使った場合や、既存著作物の題号など特定の固有名詞を入力し、その創作的表現を生成させた場合には、依拠性が認められる方向に働きます。

さらに文化庁の「考え方」では、利用者自身が既存著作物を認識していなかったとしても、その著作物が生成AIの開発段階で学習されており、それに類似する生成物が出力された場合には、通常、依拠性が推認され得るという整理が示されています。一方、モデルが当該著作物を学習していない場合などには判断が異なり得ます。そのため、「自分は元のキャラクターを知らなかった」という事情だけで依拠性の問題がなくなるとは限りません。

広告やSNS運用に求められる実務上のチェックポイント

こうした法的な枠組みを踏まえ、企業が広告、ランディングページ、SNS投稿などにAI画像を安全に活用するためには、制作フローの各段階にチェック体制を組み込むことが重要です。社内の運用ルールを明確化し、制作者だけに判断を任せない仕組みを整える必要があります。

第一に、プロンプト入力時のルールです。特定の既存作品や著名キャラクターの名称を入力したり、「〇〇風」と特定の作品や作家を直接指定したりする行為は、生成物の内容によっては依拠性を判断する際に不利な事情となる可能性があります。また、自社に利用権限のない既存画像をAIに読み込ませて改変するImage to Imageも、元画像の具体的表現を直接入力することになるため、特に慎重な判断が必要です。

企業の広告制作では、権利処理されていない既存作品やキャラクターを意図的に再現するようなプロンプトを避ける社内ルールを設けることが現実的です。ネガティブプロンプトなどを利用して特定の要素が出力される可能性を下げる方法も考えられますが、技術的な対策だけで第三者の権利侵害を完全に防げるわけではありません。

第二に、生成された画像そのものを人間が確認する工程です。既存キャラクターや企業のロゴマークに似ていないか、制作者だけでなく、案件のリスクに応じて法務・知財・コンプライアンス担当者も確認します。逆画像検索などを使って類似画像を調べることも補助的な確認手段になります。ただし、検索で一致する画像が見つからなかったからといって、第三者の権利を侵害していないことが保証されるわけではありません。

第三に、問題のある表現が見つかった場合の修正です。AIが生成した画像をそのまま使用せず、人間が加工や加筆を行うことで、既存著作物との類似性を解消できる場合はあります。ただし、単にトリミングしたり色を変えたりしただけで、既存著作物の表現上の本質的な特徴が残っているのであれば、侵害リスクがなくなるとは限りません。重要なのは加工したという事実ではなく、最終成果物が既存の創作的表現とどの程度異なっているかです。

また、人間による加工を加えたからといって、完成したAI生成物に自動的に著作権が発生するわけでもありません。文化庁の整理では、AI生成物の著作物性は、人間に創作意図があり、生成過程にどの程度の創作的寄与をしたかなどを個別具体的に判断するとされています。プロンプトの量や加工回数だけで決まる問題ではない点にも注意が必要です。

制作委託と技術ライセンスに向けた契約上の防衛策

AI画像を広告に利用する際には、使用するツールや外部パートナーとの契約関係も確認する必要があります。生成AIサービスの利用規約はサービスやプランによって異なり、商用利用の可否、生成物に関する権利、第三者から権利侵害を主張された場合の責任分担や補償の範囲も一律ではありません。

そのため、企業利用では「商用利用可能」という表示だけで判断せず、利用規約の最新版を確認することが重要です。商用利用が認められていることと、そのサービス事業者が生成物について第三者の権利を侵害しないことを保証していることは別の問題です。補償制度が設けられている場合も、対象となるプラン、補償の条件、上限、対象外となる利用方法などを確認する必要があります。

外部の制作会社へAIを利用した広告制作を委託する場合には、納品物の権利関係や第三者の知的財産権を侵害した場合の責任分担を契約で明確にすることが有効です。第三者権利を侵害していないことに関する表明保証をどの範囲で求めるかについても、制作会社が利用する生成AIや素材の調達方法、案件規模などを踏まえて検討します。

こうした防衛策を整えた上で、自社の独自技術を他社に提供する技術ライセンスを検討する場合には、AI画像の利用とは別に、通常の知財契約として整理する必要があります。外部パートナーとの技術ライセンスや共同事業の交渉で秘密情報を開示する場合には、必要に応じてNDA(秘密保持契約)を締結し、開示する情報の範囲を管理します。

自社の特許技術を第三者が使用している疑いがある場合には、対象製品やサービスと特許の請求項との対応関係を確認した上で、クレームチャートなどを用いて交渉材料を整理する方法があります。また、ライセンス契約では、地域や分野を限定した独占的な通常実施権を設定することが交渉上の選択肢となる場合がありますが、独占性を付与すれば必ず高いロイヤルティを確保できるわけではありません。契約期間中の実施料計算を確認するための監査条項についても、取引内容に応じて検討することになります。

視覚生成AIの技術的リスクと商標・ブランド毀損問題

プロンプトで指定していないにもかかわらず、既存作品に近い画像が生成される可能性については、視覚生成AIの技術面からも研究が進められています。ただし、この現象をすべての生成AIに共通するものとして一般化することはできません。

拡散モデルに関する研究では、一部のモデルが学習データに含まれる個別画像を記憶し、生成時に元の画像に非常に近い内容を出力することが実証されています。USENIX Security 2023で発表された研究では、実際の拡散モデルから1,000件を超える学習データの例を抽出できたと報告され、その中には人物写真や企業ロゴなども含まれていました。これは、生成AIが常に学習画像を複製するという意味ではありませんが、学習データの記憶と再生成が現実に起こり得ることを示しています。

また、ECCV 2024で発表された研究では、テキスト画像生成型の拡散モデルにおける記憶現象とクロスアテンションとの関係が分析され、記憶が生じる際に特定のトークンの埋め込みへ不均衡に注意が集中する現象などが報告されています。2025年に公開された別のプレプリント研究では、初期のデノイジング過程における学習サンプルの過大評価が、生成軌道を記憶された画像へ収束させるメカニズムも提案されています。これらは研究途上の知見であり、個々の生成AIサービスについて同じ現象やメカニズムが存在すると直ちに断定できるものではありません。

このような技術的背景によって既存のロゴやキャラクターに近い画像が生成され、それを広告に使用した場合には、著作権だけでなく商標法や不正競争防止法も検討対象となります。

商標法では、画像内に登録商標と同じ図柄が偶然含まれているというだけで直ちに商標権侵害になるわけではありません。登録商標と同一または類似する標章が、指定商品・指定役務またはその類似範囲との関係で、商標法上の「使用」に当たる態様で利用されているかなどを確認する必要があります。広告内で他社のロゴを自社の商品・サービスの出所を示すような形で使用している場合には、商標権侵害のリスクが高まります。

不正競争防止法では、第2条第1項第1号が、需要者の間に広く認識されている他人の商品等表示と同一または類似する商品等表示を使用し、他人の商品・営業と混同を生じさせる行為を規制しています。

同項第2号は、著名な他人の商品等表示と同一または類似するものを「自己の商品等表示として」使用する行為などを規制し、1号と異なり混同の発生を要件としていません。著名な商品等表示が持つ顧客吸引力へのフリーライドや、その識別力・ブランド価値を損なう行為から保護する趣旨があります。

ただし、世間で有名なキャラクターに画像が似ているという事情だけで、当然に同号が成立するわけではありません。対象となるキャラクターやデザイン等が不正競争防止法上の「商品等表示」に該当し、著名性や表示の類似性、自己の商品等表示としての使用など、各要件を満たすかを個別に判断する必要があります。

いわゆるマリカー事件でも、著名な「MARIO KART」等の表示やキャラクターに関係する使用態様について、不正競争防止法上の問題が争われました。重要なのは、「有名キャラクターに似ている画像ならすべて同じ結論になる」ということではなく、広告で何をどのように表示し、それが消費者にどのような表示として認識されるのかまで確認することです。

知財リスク管理から特許ライセンスによる収益化への展開

他社の知的財産を侵害しないための「守り」の体制を整え、AI生成画像の技術的・法的リスクをコントロールすることは、企業が生成AIを継続的に業務利用するための基盤となります。しかし、企業の知財戦略はリスク回避だけで完結するものではありません。自社で独自に開発した技術や、適切な権利処理を経て構築したクリエイティブなどについては、その性質に応じて特許、著作権、商標、営業秘密などによる保護を検討できます。

企業が特許や著作権、商標権などの知的財産を適切に管理し、ポートフォリオを構築することは、競合との差別化や事業上の交渉力につながる場合があります。特に、自社が研究開発によって取得した特許技術については、自社製品への実施だけではなく、他社へのライセンスによって収益化するという選択肢があります。

自社単独では十分に活用できていない特許でも、他業界の企業や海外のパートナーに利用可能性がある場合があります。未活用特許を維持するだけでは維持費等のコストが発生しますが、適切なライセンシーを見つけ、条件について合意できれば、自社で製造や販売を行わずにライセンス収入を得られる可能性があります。知財コンプライアンスの体制を整えることは、こうした自社知財の活用を進める上でも重要な基盤となります。

自社特許を収益につなげる次の一手

広告画像におけるAI活用リスクを正しく理解し、社内のコンプライアンス体制を整備した上で、経営層や知財担当者が検討できる次の課題の一つが、自社が保有する無形資産の収益化です。特に、過去に特許を取得したものの、事業戦略の変更などによって自社製品への実装に至らず、未活用のまま維持費を払い続けている知的財産を保有する企業もあります。

こうした特許の活用を検討するための選択肢として、株式会社IPリッチでは特許売買・ライセンスプラットフォーム「PatentRevenue」を提供しています。PatentRevenueでは、特許の売却やライセンスを希望する権利者と、特許の取得・利用を検討する企業とのマッチングや取引支援を行っています。

また、AIを活用した特許価値評価の仕組みにより、特許番号をもとに関連資料や市場情報を収集・分析し、特許の強みや市場価値、収益化の方向性を検討するための情報を提供しています。PatentRevenueへの特許登録や初期相談は無料で、実際に売却・ライセンスが成立した場合には所定の仲介手数料が発生する仕組みです。具体的な利用条件や費用については、利用時点の最新情報をご確認ください。

生成AIを広告制作に活用する際には、「AIが作ったから安全」と考えるのではなく、最終的に公開する企業自身が、著作権、商標権、不正競争防止法、利用規約などを確認できる体制を持つことが重要です。その上で、自社が適切に保有する特許については、事業利用だけでなく売却やライセンスを含めた活用方法を検討することで、知財をコストから収益機会へ転換できる可能性があります。

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(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献リスト
  1. 文化庁「AIと著作権について」
    https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
  2. 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」
    https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
  3. e-Gov法令検索「著作権法」
    https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
  4. 裁判所「裁判例検索」
    https://www.courts.go.jp/hanrei/search1/index.html
  5. 特許庁「商標権の効力」
    https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/shotoha.html
  6. 経済産業省「不正競争防止法の概要」
    https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/unfaircompetition_new.html
  7. Carlini et al., “Extracting Training Data from Diffusion Models,” USENIX Security 2023
    https://www.usenix.org/conference/usenixsecurity23/presentation/carlini
  8. Ren et al., “Unveiling and Mitigating Memorization in Text-to-image Diffusion Models through Cross Attention,” ECCV 2024
    https://www.ecva.net/papers/eccv_2024/papers_ECCV/html/9937_ECCV_2024_paper.php
  9. Kim et al., “How Diffusion Models Memorize”
    https://arxiv.org/abs/2509.25705
  10. Reissinger et al., “Safer Prompts: Reducing IP Risk in Visual Generative AI”
    https://arxiv.org/abs/2505.03338
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