新製品発表前に確認すべき知財リスクとは?展示会・SNS公開の前にすべきこと

新製品発表前に確認すべき知財リスクと対策を解説する図。特許・意匠・商標の出願、秘密情報の管理、NDA締結など公開前に行う5つのステップを紹介

株式会社IPリッチのライセンス担当です。「新製品を発表したいが、発表前に何を確認すべきか分からない」とお悩みの企業の担当者様は多いのではないでしょうか。展示会でのデモンストレーション、クラウドファンディングでの資金調達、SNSを通じた情報発信、報道機関向けのプレスリリースは、自社の事業を拡大し、新たな顧客を獲得するための大きなチャンスです。しかしその一方で、特許・意匠・商標といった知的財産権の出願タイミングを逃す原因にもなり得ます。「まずは市場の反応を見てから、売れそうなら出願すればよい」と考える前に、必ず済ませておくべき実務上の確認事項が存在します。本記事では、公開行為がもたらす知財リスクの全貌と、技術ライセンスを通じた収益化を見据えた適切な知財保護の手順について詳しく解説します。

適切に保護された知的財産は、自社で利用するだけでなく、他社へライセンスアウト(実施許諾)することで新たな収益の柱となります。株式会社IPリッチが運営する未活用特許の収益化プラットフォーム「PatentRevenue」では、こうした知財収益化を強力にサポートしています。特許の価値評価からマッチング、ロイヤルティ交渉まで専門家が伴走しますので、知財をコストからプロフィットセンターへ変革したいとお考えの方は、ぜひPatentRevenueへの無料登録をご検討ください。

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新製品の公開前に出願を完了させるべき知財上の結論

新製品の開発が完了し、いざ世の中に発信しようとする際、「まずは市場の反応を見てから出願の判断をしよう」と考えるのは非常にリスクの高い判断です。知的財産権の制度において、特許権、実用新案権、意匠権を取得するための最も基本的かつ重要な要件の一つが「新規性」です。新規性とは、その発明やデザインが出願前に公知となっていないことを意味します。

展示会でデモ機を不特定多数の来場者に披露すること、クラウドファンディングの募集ページに製品の仕様や画像を掲載すること、自社の公式SNSアカウントで新製品の機能を紹介する動画を投稿すること、あるいはプレスリリースを公表すること。これらは、開示する内容によっては知的財産の新規性に影響する典型的な公開行為となります。発明やデザインの内容が公衆に利用可能な状態になれば、その内容について新規性を失い、原則として特許や意匠の権利取得が困難になります。特許法においては、出願前に日本国内または外国において公然知られた発明、公然実施された発明、刊行物やインターネット等を通じて公衆に利用可能となった発明などは、新規性を欠くものとされています。

したがって、新製品の発表前に何を先に済ませるべきかという問いに対する基本的な答えは明確です。外部に向けて発明やデザインの内容を公開する前に、必要な特許・意匠等の出願手続きを済ませておくことが、自社の技術やデザインを守るための大原則となります。ビジネス上の理由から早期に発表しなければならない場合であっても、公開予定日から逆算して出願を済ませておくスケジュール管理が重要です。当該発明等が出願書類に適切に記載されていれば、出願後の自己公開によって、その出願の新規性が失われることは通常ありません。

特許・意匠・商標の権利化における基本知識と違い

新製品に関する情報を公開する際、企業は特許、意匠、商標という異なる知的財産権ごとのルールとリスクを正確に理解しておく必要があります。それぞれの権利には審査において求められる要件に違いがあり、事前の公開がもたらす影響も大きく異なります。

特許と意匠において重大な問題となるのが、先述した新規性の喪失です。特許は「技術的なアイデア」、意匠は製品等の「デザイン」を保護するものですが、SNSへの投稿や展示会での説明であっても、守秘義務を負わない不特定の者が発明やデザインの内容を知り得る状態になれば、新規性に影響する可能性があります。意匠権においても、製品の独自のデザインがパンフレット等で公開されれば、そのデザインが公知となり、原則として登録を受けられなくなる可能性があります。

一方、特定少数の者との商談での説明が、NDAを締結していないという理由だけで直ちに新規性喪失となるわけではありません。特許庁も、特定少数の者で行われる商談での説明について、その事情によっては「公然知られた」と認められない場合があるとしています。ただし、後から秘密性や開示範囲を巡る争いを避けるためにも、未出願の重要情報を開示する場合はNDAを締結しておくことが実務上重要です。

一方で、商品名やブランドロゴなどを保護する商標権においては、特許や意匠のような新規性の要件はありません。そのため、展示会やプレスリリースの後に商標登録出願を行っても、自ら公開した事実のみをもって登録が拒絶されるわけではありません。しかし、商標には「先願主義」という重要なルールが存在します。同一または類似の商品・役務について同一または類似の商標が複数出願された場合、原則として先の出願が優先されます。

この先願主義により、プレスリリースやクラウドファンディングで新しい商品名を大々的に発表した後に、第三者から同一・類似の商標を出願されるリスクが生じます。第三者による先取り的な出願が常に登録されるわけではありませんが、第三者の先願によって自社の商標登録やその後のブランド展開に支障が生じる可能性があります。新規性が問われない商標であっても、重要な商品名やブランドについて発表前の出願を検討すべき理由はここにあります。

新規性喪失の例外規定の制度設計と実務上のハードル

原則として公開前の出願が望ましいものの、展示会での発表やSNSでの投稿などにより自ら情報を公開してしまった場合、または意図せず情報が漏洩してしまった場合について、日本には「新規性喪失の例外規定」が設けられています。現在、特許や意匠では一定の要件の下、公開の日から1年以内の出願について例外規定が適用される場合があります。この制度の適用を受けると、対象となる公開について、新規性や進歩性等の判断で不利益を受けないよう取り扱われます。

しかし、この例外規定に頼ることは実務上リスクがあり、所定の手続きが求められます。自らの行為に起因する公開について特許法上の例外適用を受ける場合、原則として公開から1年以内に特許出願を行うことに加え、出願時に例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出し、さらに出願の日から30日以内に適用要件を満たすことを証明する書面を提出する必要があります。

証明書には、いつ、どこで、どのような内容を公開したのかなど、公開の事実と発明との関係を明確に記載する必要があります。特許の実務において、例外適用を受けようとする公開された発明が複数存在する場合には、原則としてそれぞれについて必要な手続きを行う必要があります。証明対象から漏れた公開が先行技術として評価されれば、拒絶理由につながる可能性があるため注意が必要です。

意匠法においては2024年1月1日以後の出願について手続きが緩和され、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因する公開について、最先の公開の日のいずれかの公開行為を証明することで、その日以後に公開された同一または類似の意匠についても例外適用を受けられる場合があります。一方、特許については複数の公開された発明が存在する場合、それぞれについての手続きが原則となるため、公開前に出願しておく方が安全であることに変わりはありません。

展示会やプレスリリースに備える知財保護と情報管理

展示会や見本市などの場はビジネスの絶好の機会ですが、同時に知財リスクが生じやすい場でもあります。ブースを訪れる来場者の中には、潜在的な顧客だけでなく、競合他社の担当者や技術者が含まれている可能性があります。説明員が製品の魅力を伝えるあまり、まだ出願を済ませていない核心的な技術ノウハウや製造方法まで詳細に語ってしまえば、その後の権利化や秘密管理に影響するおそれがあります。

このような事態を防ぐために重要なのが「オープン・クローズ戦略」に基づく情報管理です。発表の場に出る前に、社内で「広く公開してアピールする情報(オープン領域)」と「社外への開示を制限する秘匿情報(クローズ領域)」を明確に仕分けします。例えば、製品がもたらす効果、処理速度、ユーザーインターフェースといった外形的な強みはオープンにしつつ、それを実現するための内部の特殊な機構、ソフトウェアのアルゴリズム、温度管理のノウハウといった部分はブラックボックス化し、クローズ領域として管理するといった線引きが考えられます。

そして、展示会の担当者や営業スタッフに対して、どこまでなら回答してよいのかを明確に定めたマニュアルを用意し、事前の説明者教育を行うことが重要です。特に開発者自身がブースに立つ場合は、技術的な質問に対して未出願情報まで説明してしまわないよう注意する必要があります。「出願前の技術についてどこまで話せるか」「どの製造工程は企業秘密として回答を控えるか」という認識を社内で共有する仕組みづくりが、実務上の知財防衛につながります。

秘密保持契約と開発委託におけるガイドライン準拠の契約

展示会等の公の場ではなく、特定の顧客や共同開発のパートナー候補と個別の商談を行う場合でも、重要な未公開情報を開示する前には秘密保持契約(NDA)を締結しておくことが重要です。NDAを締結していない相手への開示が必ず法律上の「公開」となるわけではありませんが、秘密性を維持していたことを明確にし、情報漏洩や目的外利用を防ぐための重要な契約手段となります。

また、外部の委託先と試作品製造を行ったり、他社と共同開発を行ったりする場合には、成果として生じた知的財産の帰属や取り扱いを契約で明確にしておく必要があります。この点について、中小企業庁の「知的財産取引に関するガイドライン」では、適正な知財取引の考え方が示されています。同ガイドラインでは、相手方の意思に反して、秘密保持契約を締結せずに相手方の秘密を知り得る行為をしないことや、製造委託本来の目的に照らして合理的に必要な範囲を超える技術情報の提供を求めないことなどが示されています。また、製造委託の目的物とされていない金型の設計図面やCADデータなどの技術データについて、当事者の意に反して提供を強制しないことも示されています。

共同開発によって得られた特許を両社の「共有」とする場合にも注意が必要です。日本の特許法上、共有特許は契約で別段の定めをしていない限り、各共有者が他の共有者の同意を得ずに自ら実施できますが、持分を第三者へ譲渡したり、第三者に専用実施権や通常実施権を許諾したりする場合には、原則として他の共有者の同意が必要です。中小企業が開発を担い、大企業が製造販売を行うようなケースでは、一方のみが実際に事業上の利益を得る構造となることもあります。このような不均衡を避けるため、一方が実施しないことを前提とする場合などには、不実施側への対価を含め、実施条件や収益配分を共同開発契約・共同出願契約の段階で検討することが重要です。

例外規定に依存することで生じる事業と海外展開のリスク

新規性喪失の例外規定が存在するからといって、出願前の公開を前提とする事業戦略を立てることはリスクがあります。この制度は各国・地域で要件や期間が異なるため、日本で例外適用を受けられるからといって、海外でも同様に救済されるとは限りません。

特に重要なのが海外展開への影響です。日本や米国には一定範囲の自己公開を救済する制度がありますが、欧州では一般的な自己公開を広く救済するグレースピリオドはなく、EPOで新規性を害さないものとして扱われるのは、出願人等に対する明白な濫用や、一定の公認国際博覧会での展示など限定的な場合です。中国にも出願前6か月以内の一定の国際展示会、所定の学術・技術会議、本人の同意を得ない漏洩等について例外がありますが、通常のSNS投稿や自社ウェブサイトでの自己公開を一般的に救済する制度ではありません。したがって、日本国内で新製品をSNSや展示会で発表し、日本で例外規定の適用を受けられたとしても、海外での権利取得に支障が生じる可能性があります。グローバル市場での事業展開を見据えている企業にとって、公開前出願は特に重要です。

第二のリスクは、公開から出願までの間に第三者による独自の先行出願や先行公開などが生じる可能性です。新規性喪失の例外規定は、自己の公開があったからといって出願日そのものを公開日に遡らせる制度ではありません。第三者が同じ発明を独自に完成させて先に出願していた場合や、第三者による別の先行技術が存在する場合などには、自社が特許を取得できないことがあります。また、公開された技術を踏まえて第三者が新たな改良発明を生み出す可能性もあります。そのため、例外規定を前提に公開を先行させるより、可能な限り出願日を早く確保することが基本となります。

取得した特許を活用する技術ライセンス戦略と契約の要点

適切な手続きを経て知的財産権を取得した後は、自社の事業でその技術を実施するだけでなく、他社に技術を利用させることでロイヤルティ(実施料)を獲得するライセンス戦略も選択肢となります。ライセンス契約を締結する際、権利をどのように許諾するかによってビジネスの展開は大きく変わります。以下に、技術ライセンスにおいて実務上確認すべき重要な要素を解説します。

まず、ライセンスの形態として利用されるものの一つが「独占的通常実施権」です。特許権のライセンスには、設定登録によって法律上の効力が生じる「専用実施権」と、契約によって設定される「通常実施権」があります。独占的通常実施権は、通常実施権について契約上「指定したライセンシーにのみ実施を許諾し、他の第三者には許諾しない」などと定めるものです。専用実施権とは法的性質が異なりますが、特許権者自身の実施を認めるかどうかを含め、契約によって柔軟に条件を設計できる点に特徴があります。

次に、ライセンスの対価となる「ロイヤルティ」の設定です。経済産業省が過去に実施した特許権のライセンス契約に関するアンケートでは、集計対象452件のロイヤルティ料率について全体平均3.2%、中央値3.0%との結果が示されています。ただし、これは過去の調査に基づく参考値であり、現在の個別案件にそのまま当てはめられる相場ではありません。技術分野、特許の強さ、市場規模、独占性、対象地域、ライセンシーの事業への寄与度などによって適切な料率は大きく異なります。ライセンス交渉では、こうした参考資料に加え、個別案件の経済的価値を検討し、頭金(一時金)と売上等に応じたランニング・ロイヤルティを組み合わせるなど、双方にとって持続可能な条件を設計することが求められます。

そして、具体的なライセンス交渉に入る前、特に相手方に未公開の技術情報を開示する場合には、NDA(秘密保持契約)の締結が重要です。ライセンス交渉の過程では、特許公報に記載されている内容だけでなく、それを実用化するための周辺ノウハウや未公開の改良技術まで踏み込んだ議論になることがあります。目的外使用の禁止や秘密保持の対象・期間などを定めずに交渉を進めると、交渉が決裂した際に自社のノウハウが相手方に残るリスクがあります。

交渉を進める際の資料として活用されるのが「クレームチャート」です。クレームチャートとは、自社の特許の各構成要件と、相手方が実施している、または実施を検討している製品・サービスの仕様等を要素ごとに対比させる分析文書です。どの構成が特許請求の範囲との対応関係を持つのかを整理することで、対象技術と特許との関係について具体的な議論を行いやすくなります。ただし、クレームチャート自体が特許の有効性や侵害成立を確定するものではなく、個別案件では法的・技術的な検討が必要です。

最後に、売上高等に応じたランニング・ロイヤルティを採用する場合には、「監査条項(オーディット条項)」も検討すべき重要な条項です。監査条項では、ライセンサー(特許権者)または指定する専門家が、契約で定めた範囲においてライセンシーの帳簿や関連記録を確認できる仕組みを定めます。報告された売上高等の正確性を検証する必要がある契約では、監査の対象、頻度、費用負担、秘密保持などを含め、実効性のある条件を定めておくことが重要です。

自社特許を収益につなげる次の一手

展示会やSNS、クラウドファンディングを通じた新製品の発表は、事業を飛躍させる大きなチャンスであると同時に、重要な知財リスクを伴います。「重要な技術やデザインを外部公開する前に出願を検討する」という基本動作を徹底し、オープン・クローズ戦略やNDAによる適切な情報管理を行うことが、自社の技術とブランドを守るための第一歩です。新規性喪失の例外規定は利用できる場合がありますが、手続上の負担や海外出願への影響もあるため、原則として例外規定に依存しない公開スケジュールを組むことが重要です。

適切に保護され、権利化された知的財産は、競合に対する事業上の防御手段となるだけでなく、技術ライセンスを通じた新たな収益の柱へと発展する可能性があります。自社の事業では十分に活用しきれていない特許技術であっても、他業界で価値を持つ場合があります。自社の保有する知財の価値を再評価し、ライセンス活動を検討していくことも有効な選択肢です。

知的財産の収益化に向けた具体的なアプローチにお悩みの場合は、未活用特許の収益化に特化したプラットフォーム「PatentRevenue」の活用をご検討ください。専門的な知見に基づくマッチングから、ライセンス条件やロイヤルティの検討、クレームチャートの作成、契約条件の設計まで、自社特許を収益につなげるための取り組みをサポートしています。知財を価値ある資産として活用するための次の一手として、ぜひ無料登録をご検討ください。

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(この記事はAIを用いて作成しています。)

参考文献リスト
  1. 特許庁「発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について」
    https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/hatumei_reigai.html
  2. 特許庁「特許・実用新案審査基準 第III部 第2章 新規性・進歩性」
    https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/ht/03_0200.html
  3. 特許庁「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について」
    https://www.jpo.go.jp/system/design/shutugan/tetuzuki/ishou-reigai-tetsuduki/index.html
  4. 特許庁「商標制度の概要」
    https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/chizai08.html
  5. 特許庁「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」
    https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/trademark/tanin_shutsugan.html
  6. 中小企業庁「知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形について」
    https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/chizai_guideline.html
  7. 経済産業省「ロイヤルティ料率に係るアンケート調査結果」
    https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/pdf/royalty_result.pdf
  8. European Patent Office「Article 55 – Non-prejudicial disclosures」
    https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/html/epc/2020/e/ar55.html
  9. 中国国家知識産権局「不丧失新颖性的公开」
    https://www.cnipa.gov.cn/jact/front/mailpubdetail.do?sysid=6&transactId=440198
  10. 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)「知っておきたい知的財産契約の基礎知識」
    https://www.inpit.go.jp/katsuyo/ip-contract.html
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