ライセンス料の決め方:特許の価値評価ポイント

株式会社IPリッチのライセンス担当です。
本記事では、特許のライセンス料(ロイヤルティ)はどのように決まるのか、そして特許の価値を評価する際の重要なポイントについて、経営者や個人事業主の方にも分かりやすく解説します。特許の価値を正しく評価し、適切なライセンス料を設定することは、自社の知的財産を有効活用し収益につなげる鍵となります。製造業から IT、医療分野まで幅広い業種の事例や評価モデル、交渉の実務的視点も交えながら説明していきます。
ライセンス料と特許価値評価の基礎
特許のライセンス料(実施料とも呼ばれます)は、特許権者(ライセンサー)がその特許の実施を他社(ライセンシー)に許可する対価として受け取る料金です。一般にライセンス料は製品売上高に対する一定の料率(ロイヤルティ)で設定されることが多いですが、契約によっては一時金やマイルストン(開発段階に応じた成功報酬)、年間最低保証額などが組み合わされる場合もあります [1]。ライセンス料は両者の交渉によって決まりますが、その根底には特許の持つ経済的価値があります。つまり、「その特許を使うことで生み出される利益や効果」がライセンス料設定のよりどころになるのです。
では、特許の価値評価とは何でしょうか。特許の価値評価とは、対象特許の技術内容や独自性、事業への貢献度などを分析し、それに基づいてその特許の経済的な価値(お金に換算した価値)を見積もることです [2]。特許を適正に評価することで、「どの程度のライセンス料が妥当か」を考えるための基盤が得られます [3]。例えば自社で使っていない特許を他社にライセンスする場合でも、その特許がもたらす便益を評価することで、適正な価格交渉が可能になります。
知的財産を収益化する重要性は年々高まっています。実際、世界的には特許ライセンス収入が企業収益の大きな柱となっている例もあります。大手通信機器企業クアルコム社は 2014 年度にライセンス収益で約 78.6 億ドル(約 8,600 億円)を稼ぎ出し、これは同社総売上の約 30 % に相当しました [4]。同じくエリクソン社は 2014 年に約 1,410 億円のライセンス収入を得ており、ライセンスによって利益率が倍以上に向上したと報じられています [4]。このように、特許をライセンスすることは低コストで得られる収益であり、企業収益への貢献度が大きいと指摘されています [4]。
特許の価値評価手法とライセンス料の決定
特許の価値を評価する方法にはいくつかのアプローチがあります。一般的に専門家の間で確立しているのは、大きくコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの 3 つに分類されます [5]。それぞれの概要は次のとおりです。
コストアプローチ(コストベースの評価)
その特許を取得・開発するのに要したコストや、同等の機能を持つ代替技術を開発・取得するための費用を基準に評価する手法です [6]。過去の研究開発費用や特許出願費用、人件費などから「この特許を再現するにはこれだけのコストがかかる」という金額を算定します。ただし開発費が高ければ価値も高いとは限らず、コストはあくまで価値の下限を示す目安に過ぎません。
マーケットアプローチ(市場ベースの評価)
類似する技術や特許が実際に取引・ライセンスされた事例を参考に評価する手法です [7]。いわば不動産鑑定のように「市場相場」を基準にしますが、技術内容や交渉条件が完全一致する比較対象を見つけるのは難しい点が課題です。
インカムアプローチ(収益ベースの評価)
特許を活用することで将来得られる利益やコスト削減効果をもとに評価する手法です [6]。代表的なのがロイヤルティ免除法(relief-from-royalty)で、予測売上高に適切なロイヤルティ率を掛けて算出した将来ロイヤルティを現在価値に割り引きます [8]。国内調査では多くの業種で平均ロイヤルティ料率がおおむね 3 % 前後と報告されています [9]。
以上の各手法には利点と限界があり、現実の特許価値評価ではこれらを組み合わせて価値のレンジを把握することが推奨されています [10]。評価手法の一つとして知られる「25 % ルール」(ライセンシー利益の 25 % をロイヤルティとする経験則)は近年裁判例で機械的適用が否定されつつあり、参考程度とされています [11]。
また、特許の価値評価モデルとしては定量的手法に加え、定性的要因を点数化するスコアリングモデルも提案されています [5]。
ライセンス交渉で考慮すべき特許価値のポイント
1. 特許の独占度・優位性
特許が代替困難なコア技術であれば、ライセンサーは高い料率を主張しやすくなります。逆に迂回技術が容易な場合、ライセンシーは低料率を要求しがちです。
2. 特許の権利範囲と残存期間
クレームが広く有効で残存期間が長い特許は長期にわたり利益を生む可能性が高く、価値も上がります。一方、残存期間が数年しかない場合は低料率になる傾向があります。
3. 特許の実施形態と貢献度 [6]
製造コスト削減に直結するプロセス特許か、製品付加価値を高める機能特許かで貢献度は異なります。売上や利益に対する寄与度を定量化することが重要です。
4. ライセンスの形態(独占か非独占か)
独占ライセンスは競合排除メリットがあり高料率、非独占ライセンスは料率が低めでも複数社から収入を得る戦略が取れます。
5. 双方のビジネス戦略と交渉力 [12]
ライセンシーが技術を切望しているか、ライセンサーが資金回収を急ぐかなど、交渉力の差で料率は変動します。BATNA(代替案)が鍵です。
6. クロスライセンスの可能性 [11]
双方が特許を保有する場合、価値差分だけ支払うか、相殺してロイヤルティなしとするケースもあります。
産業別のライセンス料率と価値評価事例
国内アンケート調査(2009 年)では、特許ライセンス料率の全体平均は 3〜4 % と報告されています [13]。分野別には バイオ・医薬で 5〜6 %、機械・電子で 3 %、日用品・食品で 2〜3 % 台といった傾向があります [13]。
大学が医薬系シーズ特許を企業に供与する際は、一時金+成功マイルストン+売上ロイヤルティが典型的です。製造業では製造コストを 10 % 削減できるプロセス特許で、その削減額の 20〜30 % をロイヤルティに設定する利益配分方式が用いられることもあります。
ハイテク分野では特許ポートフォリオ同士のクロスライセンス交渉が多く、仮想ライセンス料を算定して損害賠償額を決める裁判例も存在します [7][11]。
公的ガイドラインに見るライセンス価値評価
日本弁理士会は 「知的財産権価値評価ガイドライン」 を公表し、評価プロセスや定量・定性バランスを標準化しています [14]。特許庁や経済産業省の報告書によれば、多くの企業が「客観データ不足」を課題と感じており、ロイヤルティ料率データベース整備が進められています [12]。INPIT の特許総合評価書発行支援なども活用可能です。国際的には WIPO や LES がライセンスのベストプラクティスを発信し、FRAND 原則やスタッキングロイヤルティ対策を示しています [15]。
特許価値評価とライセンス戦略の重要性
特許価値評価はライセンスアウトと自社独占利用の判断材料になるだけでなく、ポートフォリオ最適化や知財金融にも直結します [16]。客観的評価をもとに適正なライセンス交渉を行えば、知財が真に「IP リッチ」な収益源となるでしょう。
特許をお持ちの方でライセンスに関心がある場合は、ぜひ特許マッチングプラットフォーム「PatentRevenue」(https://patent-revenue.iprich.jp)への登録もご検討ください。
価値ある特許を眠らせず、適正なライセンス料で活用することが、知的財産を収益につなげる近道です。
(この記事はAIを用いて作成しています。)
参考文献
[1] 特許庁『知的財産の価値評価について』(2017年) https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/developing/training/textbook/document/index/Valuation_of_Intellectual_Property_JP.pdf
[2] 経済産業省『知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書』(2010年) https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/pdf/honpen.pdf
[3] INPIT『特許流通講座(実務編)流通のための特許評価・実習』(2008年) https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/training/1_03.pdf
[4] Ericsson & Qualcomm Annual Reports(2014年) https://www.qualcomm.com/company/investors
[5] Deloitte『知的財産価値評価』 https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/strategy/solutions/ipa/ip-valuation.html
[6] 発明推進協会『実施料率データブック』 https://www.jiii.or.jp
[7] 特許庁『実施料率調査報告書』(2009年) https://www.jpo.go.jp/resources/report/
[8] WIPO『Successful Technology Licensing』 https://www.wipo.int/about-ip/en/studies/publications.html
[9] 日本弁理士会『知的財産権価値評価ガイドライン(第1号)』(2007年) https://www.jpaa.or.jp/activity/ipvaluation
[10] WIPO/CSIC『Negotiating Royalties – Commercializing IP Assets』(2013年) https://www.wipo.int/amc/en/docs/zamoranoalicante.pdf
[11] WIPO Arbitration Case Notes(25 % ルール裁判例) https://www.wipo.int/amc/en/
[12] 経済産業省『ロイヤルティ料率データハンドブック』(2024年版) https://www.meti.go.jp
[13] 経済産業省「日本企業におけるライセンス料率アンケート調査」(2009年) https://www.meti.go.jp
[14] 特許庁委託『知的財産取引に関するガイドライン』(2021年) https://www.jpo.go.jp
[15] LES International『FRAND & SEPs Best Practice Guide』(2020年) https://www.lesi.org
[16] INPIT『知財金融事例集』(2023年) https://www.inpit.go.jp

